2019年12月14日「空の東海道」羽田ー伊丹線始発便搭乗記(ANA985便 羽田―伊丹線搭乗記)

搭乗記2019

900番台の便名が割り当てられる早朝便

国内の大手航空会社であるANA、JAL共に、便名の割り振り方にはある程度の規則性を見出すことができます。例えば羽田空港発着のANAの国内線ですと、3桁の便名は以下のように分類することができます。

200番台…福岡、徳島、鳥取 →西方面

300番台…北海道、日本海側路線(富山、オホーツク紋別、根室中標津、米子、庄内)→主に北方面

400番台…秋田、神戸、佐賀、沖縄

500番台…西日本路線(高松、高知、萩・石見、松山)、函館、稚内 →主に西方面

600番台…西日本路線(宮崎、鹿児島、岩国、熊本、岡山、長崎、広島、山口宇部)→西方面

700番台…北陸路線(能登、小松)、釧路、大館能代、大分 →主に北方面

といった具合です。一部例外はありますが、ある程度まとまった法則があることがお分かりいただけると思います。以前はより纏まりが良かったのですが、2014年の夏ダイヤから、羽田空港発着の国内線の一部で便名が変更となり、特に北海道や東北、北陸地方便に割り当てられていた700、800番台の便名のうち、800番台の便名は軒並み国際線向けの便名に変更されてしまいました。

そして、上記で触れなかった900番台の便名。こちらは、早朝深夜便や便名が飽和している路線の増便分の便などに割り当てられています。かつては、羽田ー那覇線の早朝便に991便・993便、羽田ー関西線の始発便に973便、羽田―福岡線の始発便に981便が割り当てられていました。現在は、6:15発の羽田ー新千歳線始発便に987便、6:40発の羽田ー那覇線に993便、そしてこれから搭乗する羽田ー伊丹線の始発便に985便が割り当てられています。羽田―伊丹線は基本的に2桁の便名が割り当てられており、”985″という便名だけは異彩を放っています。

修行僧の朝は早い

航空界隈のTwitterで時々目にするこのフレーズ、1日で多くのフライト数をこなすことが至上命題とも言える航空会社のステータス修行を行う”修行僧”の方が考えられたものであるとは思いますが、羽田空港発の始発便に乗るとなるとそれなりに早い時間帯に羽田空港へ到着している必要があります。

今回搭乗するANA985便は6:20の出発ですが、これはまだ”ぬるい”方で、乗客が修行僧か観光客かで占められているであろう石垣空港行の始発便は6:10発、那覇空港行の始発便は6:05発となっています。保安検査締め切り時刻は前者が5:50、後者が5:45ですので、羽田空港や蒲田付近に前泊しないと間に合わないというレベルです。私は以前京浜急行沿線の横浜市内某所に住んでいたのですが、その駅から始発に乗ってきても羽田空港到着が5:41でしたので、少しでも電車が遅延してしまうと乗り遅れ確定という事態となってしまいます。そのような条件下の元、這ってでも朝から空港にやってくるという修行僧の皆さんを私は一周回って心から尊敬します。

こんなところにもクリスマスツリー

羽田空港にあるクリスマスツリーと言えば、第1ターミナル、第2ターミナル共に2階のエスカレーター付近にある大きなツリーが思い浮かばれますが、ANA PREMIUM CHECK-INの脇にもこのようにやや小ぶりなツリーがディスプレイされています。装飾がややシンプルなのがまた高級感を感じさせてくれます。

ツリーはさておいて肝心なのは保安検査場の通過なのですが、土曜早朝でも、この中の優先保安検査場にはそこそこ行列が発生していました。待つのはあまり好きではないので、この写真だけを撮影して一般の保安検査場Bへと逆戻りです。保安検査をスムーズに通過することがステータス保有の目的の1つですので、それが達成できないのであれば一般レーンに並んでも同じです。もっとも、この時間帯は一般レーンの方が空いており、最近導入されたスマートレーンのおかげで優先レーンに並んでいる「ステータスにしがみついている」オッサンの皆さんをごぼう抜きすることに成功しました。

保安検査場ど真ん前、61番ゲート発

日中の運航便は基本的に保安検査場に近い搭乗口が割り当てられている羽田ー伊丹線、この始発985便も例外なく保安検査場Bの正面にある61番搭乗口が割り当てられていました。今回でANA985便への搭乗は4回目なのですが、今回を含め3回は61番搭乗口からの出発、他の1回も59番搭乗口が割り当てられていたと記録が残っていました。

もう一つ、大幹線の羽田ー伊丹線の特徴と言えば、搭乗口前に出来上がる優先搭乗の列が挙げられます。こちらに関しては休日の早朝便でも立派な行列が出来上がっており、朝から61番搭乗口前は殺気立っていました。レッドブルやリポビタンDを飲んで気合を入れていかないと雰囲気に圧倒されて死んでしまいます。

今回アサインした座席は後方の34Kです。例の殺伐した雰囲気はそのまま前方席に引き継がれますので、時間に余裕がないという理由以外では前方席はあまりお勧めできません。今回は隣の34H、34J共に他の方がいらっしゃるようで、機内後方までぎゅうぎゅう詰めのようです。座席指定の画面を見ても空席は殆どなく、ほぼ満席での運航となるようでした。羽田ー伊丹線の中でも始発便の985便は個人的には空いているイメージが強かったのですが、そのイメージが裏切られてしまいややブルーな気持ちです。

この985便ですが、便が設定されたのは2011年の夏ダイヤからとなっており、そこまで歴史は古くありません。当初は961便という便名で、機種は767やA320、また国際線仕様の787(機種コード78R)で運航されることも多かった便でした。いつからか、伊丹空港到着後に伊丹ー那覇線始発の763便か、時期によっては伊丹ー新千歳線始発の771便へアサインされる飛行機を送り込むという運用になってからは、国内線仕様の787での運航が目立つようになりました。

空が明るくなると同時に出発

この985便の出発時刻は6:20ですが、秋から冬にかけてはこの時間帯はまだ夜明け前です。まだ空が暗いうちに搭乗、定刻よりも早い6:16にドアクローズとなり、6:24にプッシュバック開始となりました。少しずつ空は明るくなってきていますが、依然西の空にはお月様が見え、空港内の照明もついているという状況の中で出発します。

航空各社では例年元日に”初日の出を空から見よう”という初日の出フライトを企画していますが、このように早朝に出発する定期便でも、相当な遅延が発生しない限りは初日の出を拝むことができると思われます。

この日の羽田空港は冬らしく北風運用、西へ向かう便はD滑走路からの離陸となります。61番スポットからの移動ルートはR、M2、C、G、E、S、S1、D1。M2?マイクツー?某トヨタ車みたいな名前の誘導路ですねえ…これまで82番スポットと83番スポットの間を通っていたZ誘導路がM2誘導路へと名称変更となったようでした。前日のANA410便の到着時に一部の誘導路の名称が変更となったことには気づいていたのですが、様々変更がなされているようでした。

無事に羽田空港を離陸

6:42、羽田空港RWY05から離陸となりました。空に上がると787の主翼独特の”しなり”が強調されます。離陸後は大きく揺れることもなくのんびりと上昇が続きました。

離陸後はすぐに右へ旋回します。やや見えづらいですが、写真左側上部に見えているのは富士山です。富士山の麓から下は雲やらモヤやらではっきりと見ることができないのがまた撮影意欲をそそらされました。

毎回恒例、羽田空港が詳細に見渡せるところまでやってきました。国内線の拠点となる羽田空港、これから全国各地へ向けて飛行機が飛び立つわけですが、7時前の時間帯であればそこまで出発便も多くありません。スポットには所狭しと並べられた飛行機の姿がよく見えます。この光景は早朝便ならではと言ったところでしょう。

また、C滑走路の34R側を見ると、着陸するパイロットに進入角度が的確であるか否かを伝えるPAPIの灯火も見えています。PAPIの灯火は4個が横に並んでおり、飛行機側から白、白、赤、赤と見えていれば適切な進入角度、全色赤であれば進入角度が低い、全色白であれば進入角度が高いことを示します。このようにべらぼうに高い場所から見ると、勿論全色白で見ることができます。というかこんなところからでも視認することができるとは思いませんでした。

京浜地域の大都会っぷりを見ながら上昇を続ける飛行機からは続いて横浜の景色が見えました。ちょうど真ん中がみなとみらい地区、そこから南側が山手、根岸、磯子といった名の知れた地域となります。散々見慣れた光景ですが、日本で最も人口の多い都市だけあり、何度見ても見ごたえがあります。

富士山を拝みながら巡航開始

6:55、巡航高度の28,000feetに達しました。ちょうど進行方向の右側からは富士山の姿を見ることができました。既に師走も半ばを迎え、富士山はすっかり冠雪しています。夏場の冠雪していない富士山よりも、こちらの方がしっくりきますよね。横浜同様、何度見ても写真に収めてしまいてくなる魅力的な山です。

朝ならではの自然現象を視認

7:01、何やら広大な川のようなものが姿を現しました。現在地は静岡県上空、浜名湖と富士山の中間地点を飛行中なのですが、空からはっきりと見えるこのような川はありません。この正体は雲、霧、もや…とりあえず水滴の塊であることは確かです。長野県南西部の伊那盆地の標高が低い地域がすっかりこのように覆われてしまっています。

よく晴れた夜間は、地表の熱が上昇し、地表付近には冷たい空気が残ることになります。温度によって飽和水蒸気量が異なり、気温が低いほどその値は小さくなります。空気が抱えきれなくなった水蒸気がこうして雲として現れます。この辺のお話は中学理科の内容ですので、そこまで詳しく解説する必要もないでしょう。

離陸から25分でセントレア~降下

7:07、愛知県の西尾市上空付近で飛行機は降下開始となりました。この付近でコックピットからアナウンスが入り、7:29に着陸予定、到着スポット13番、目的地天候は晴れ3度と伝えられました。西日本と言えども12月ともなれば朝はどこでもクソ寒いようです。

その後数分で、伊勢湾に浮かぶ中部国際空港の姿が見えました。海上空港で24時間運用の空港ではありますが、そこまで早朝便は多くない中部国際空港、先ほどの羽田空港同様、たくさんの飛行機が駐機している様子が見えます。

28,000feetと羽田―伊丹線にしてはやや高めの高度を飛行していたせいか、心なしか降下の角度がやや急に感じられました。伊勢湾上空を約2800fpmで降下して、志摩半島上空へと入っていきました。降下中の主翼への日光の当たり具合が、特徴的な787の主翼を一層綺麗に見せてくれました。

三重県の内陸部を飛行していると、山にたくさん風力発電の風車が生えているのが見えました。その数ざっと50基弱はありそうです。上空から見てもある意味このような異様な光景はかなり目立ちます。我が地元の秋田県でも山間部に風車が自生している光景を目にするようになりましたが、最近はいたるところで風車が増殖しているように思います。このように標高の高いところに設置されている風車は関係あるか分かりませんが、秋田県某所では、海沿いに風車を設置しすぎた結果電波障害が発生しているようです。

ここ最近、逃げ恥ならぬ「飛び恥」という言葉がはやっているようで、”二酸化炭素を出しまくっている飛行機で移動するのは地球に悪い”という主張が展開されています。あたかも飛行機が最も二酸化炭素を排出しているという言いがかりをつけられているような印象さえ受けてしまいますが、勿論飛行機よりも石炭火力発電に代表される火力発電の方が地球に悪いですので、そのような言いがかりなど真に受けず、飛行機に乗りまくりましょう。「飛ぶのは恥どころか役に立つ」来春あたりドラマ化待ってます。

生駒山の紅葉を見ながらアプローチ

7:22、生駒山上空までやってきたところで右に旋回、ここまで来ると伊丹空港は目と鼻の先です。

12月中旬ではありますが、標高642mの生駒山を覆っている木々はまだ紅葉した葉をつけており、短い時間ではありますが空から紅葉を楽しむことができました。11月に羽田ー秋田線で上空から紅葉を楽しもうと意気込んでいた時には殆ど何も見えませんでしたから、こういったものは意識の外において狙わずにいると不意に見ることができるものであると再認識しました。

7:26、淀川の上空を通過しました。淀川に差し掛かろうかというところでギアダウン、風切り音が変化しました。その後も土曜日の早朝、まだお布団にくるまってむにゃむにゃされている大阪市民の皆さんの住宅の上を降下していきます。

大阪上空を飛行していると、大阪らしい雰囲気の建物や看板を多数目にすることができるので、空の上からでも大阪感を感じることができるのがいいですね。わざわざ空港からでなくとも空から見ることができればもう十分です。

トラフィックが混雑する伊丹空港へ着陸

7:27、伊丹空港のRWY32Lへ着陸となりました。飛行時間は45分でした。787の主翼は着陸時には、アウトボードエルロン、インボードエルロンも共に上へ立ち上がり、揚力の相殺に貢献してくれています。

飛行機はW8誘導路で滑走路をバケート、丁度主翼の脇に見えているJ-AirのE170が離陸したところで待ち時間なくA滑走路を横断し、スポットへと向かいました。約30分前の7:00よりこの日の運用がスタートした伊丹空港、A滑走路、B滑走路へと向かう出発機で遠くの誘導路が混雑している様子も見受けられました。

7:31、ほぼ定刻通りに伊丹空港13番スポットに到着となりました。飛行機に乗り慣れた乗客が多い羽田ー伊丹線、降機もスムーズに進み、満席便かつ後方座席でも到着から5分で機外へと出ることができました。

到着した13番スポットは、到着ロビーに最も近いスポットの一つですので、前方席を陣取っていれば7:42発の大阪モノレールへも余裕で乗ることができます。蛍池駅で阪急宝塚線へと乗り換え、大阪梅田駅へは8:13に到着することができます。東京と大阪間の移動は新幹線が一般的であることは言うまでもありませんが、東京駅を6:00に出発するのぞみ1号へ乗車すると大阪駅到着は8:30頃の到着ということですので、飛行機が定刻通りに運航さえすれば、東京から大阪へ先に到着することができるようです。

因みに、Yahoo乗り換え案内で”東京ー大阪 始発”と検索すると、東京駅4:55発の京浜東北線で東神奈川駅へ、その後横浜線に乗り換え新横浜駅、そして新横浜駅6:00発のひかり493号で向かうというルートが出てきました。もっとも、のぞみ1号で移動しても到着時間の差は5分ほどしかないため、あまり現実的な移動ルートではありません。

まだ乗ったことがない787への搭乗を期待して…

最後に今回の搭乗機についてご紹介。今回搭乗したのは787-8、JA824Aでした。今回が2回目の搭乗で、前回もこのANA985便で搭乗していたようでした。

私がこれまでに搭乗しているANAの787-8は、JA802A、JA816A、JA818A、JA819A、JA821A、JA824A、JA825Aの7機なのですが、国内線仕様機に関しては、バッテリートラブルで運航停止を余儀なくされていた期間以前に導入されたJA817Aよりも古い787に殆ど乗ったことがありません。それらの787は、プレミアムクラスの座席に国際線のビジネスクラス、「ANA BUSINESS CRADLE」の座席が装備されていることでも知られています。羽田―伊丹線の普通席の搭乗記にもそろそろ飽きが来たので、次回は787のプレミアムクラス、それも「ANA BUSINESS CRADLE」の座席の搭乗記でもお届けすることができたらな、と思います。

因みに、前々回記事でお伝えした最新のプレミアムクラスですが、投入予定機材として777-200と787-8が選ばれています。「ANA BUSINESS CRADLE」を積んだ787-8も国内線仕様機材としては姿を消すことになってしまうと思われますので、路線に関わらず早めに乗り潰しておきたいですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

コメント

  1. Justin Hamilton より:

    Long time reader, first time commenter — so, thought
    I’d drop a comment.. — and at the same time ask for a favor.

    Your wordpress site is very simplistic – hope you don’t
    mind me asking what theme you’re using? (and don’t mind if I steal it?

    :P)

    I just launched my small businesses site –also built in wordpress like yours– but the theme slows (!) the site
    down quite a bit.

    In case you have a minute, you can find it by searching for “royal cbd” on Google (would appreciate any feedback)

    Keep up the good work– and take care of yourself during the coronavirus scare!

    ~Justin

    • JA707Ana より:

      Dear Mr.Justin

      Thank you for your comment,and reading me for a long time!
      I use “Cocoon Child”. I’m a biginner of using wordpress. So I don’t know detail it. But it may get free.

      I seem to face its scare all over the world. Plaese take care of yourself during it,too.

      RJSK

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