ANA410便 秋田ー羽田線搭乗記 話題の最新キャビン777「722」続いて普通席へ

搭乗記2019

秋田県民が秋田タッチを開拓します

ANAの新仕様777である「722」を堪能するフライト、今回は2フライト目です。羽田空港から秋田空港まではプレミアムクラスで移動しましたが、秋田空港からは普通席で戻ります。当初は、このANA410便の普通席のみを予約していましたが、諸事情によりその前便であるANA407便にも搭乗することにしたというのは前回記事でご紹介の通りです。というわけで、この日は秋田空港まで乗ってきた飛行機でそのまま戻るという秋田タッチで「722」を余すところなく堪能したいと思います。

航空会社のステータスを獲得するために、1日中頭が狂ったように飛行機に乗りまくる”修行”という奇怪な行為を繰り返す方にとっては馴染み深い”タッチ”。タッチとはその名の通り、空港から出ることなく飛行機で折り返す行為を指します。通常は、那覇空港や石垣空港といった修行先の空港に選ばれる空港で発生する現象ですが、私は今回秋田空港でそれを遂行しました。秋田に自宅がある人間が秋田空港から出ずにどこかへ折り返すというのは、これまた奇怪な行為そのものですが、今回は「722」に乗ることが目的ですので、家には用事がありません。

再び搭乗機はJA715A

ANA407便で秋田空港に到着後、すぐにANAのカウンターへ折り返し、ANA410便のチケットを発券しました。到着ロビーからその足でカウンターに出向くという意味不明な行動をとっている人の姿は他にありません。しかしながら、他人の視線を気にしていると、この趣味はやっていられません。

羽田―秋田間のチケットと秋田―羽田間のチケットは勿論別で発券していたため、一度制限エリアを出る必要があったのですが、せっかくなので送迎デッキで写真も撮ることにしました。ボーディングブリッジはL1ドアとL2ドアの2か所に接続され、カーゴドアもフォワードとアフターの両方が展開されています。今さっき搭乗してきた羽田空港からのANA407便は修学旅行で満席だったため、開けることができる蓋はフル展開で折り返し便の準備が行われています。よく見たらバルクカーゴドアは開いていないようにも見えますが…(笑)

JA715A自体は既に秋田空港で撮影済みの飛行機でしたが、秋田空港から搭乗するのはこれが初めてとなります。

絶望的な混雑の保安検査場

搭乗機の写真を撮影してすぐに2階の保安検査場へと引き返します。この保安検査場が大混雑しており、秋田空港の構造が分かっていらっしゃる方であればこの説明で察しが付くとは思いますが、2階のANAFESTA前まで行列ができていました。このくらいの混雑になるとすかさず「只今、保安検査場が大変混雑しておりますが、ご搭乗予定の全てのお客様が揃い次第出発いたしますので、列にお並びのままお待ちください」というアナウンスが入りました。

ANAでは、2019年10月より国内線の就航する全ての空港で保安検査場通過締め切り時刻を15分前から20分に繰り下げました。このような看板も立てられ喚起されていたのですが、大混雑の保安検査場ではその概念が崩壊しています。

ようやく保安検査場を抜けると、搭乗口の前が今度は大混雑。往路の修学旅行需要を満たすための777投入ということであると思っていたのですが、この復路でも数日前にシートマップを見た限り300人近くの乗客が乗る予定となっていました。767でも乗りきれない混雑っぷりですので、搭乗口前の混雑も納得です。秋田空港の制限エリアは開港から殆ど構造が変わっていないと思われますが、かつては満席のジャンボ運航便も捌いていた実績があります。それを考えると秋田空港の制限エリアは狭いと感じざるを得ません。

777運航便の特権、L2ドア接続のPBBから機内へ

今回の座席は後方の44Aをアサインしていました。前便が満席の運航だったため、ボーディングブリッジは勿論L1、L2の両ドアに接続されています。座席番号のアルファベットが若いため、今回はL2ドアから機内へと入ります。

日本の地方空港は、1970年代から1980年代にかけてジェット化され、九州の地方空港を中心に、当時から747をはじめとする大型機が多く運航されていました。そのため、それらの空港ではL2ドア用のボーディングブリッジを備えた空港が多く存在します。一方、90年代以降に2,500m以上の滑走路が整備された空港では、それが備えられていない空港もあり、777が比較的多く就航する空港の中でも岡山空港や高知空港がそれに当たります。(岡山空港はL2ドア対応のPBBがあるようです。岡山県民の皆さん、大変失礼いたしました。)2本接続された方が乗り降りがスムーズとなるためその点はメリットではありますが、ダウンサイジングが進む国内線では2本のボーディングブリッジを接続できる機体が幹線を中心に運用されている777、787とA350しかない状況ですので、宝の持ち腐れ感も否めません。

777や787で運航される便であれば、毎回L2ドアにボーディングブリッジを接続するかというとそのようなことはなく、乗客が少ない便であれば、L1ドアのみの扱いとなることもしばしばあります。特に787運航便でL2ドアにボーディングブリッジを接続している光景は、秋田空港では殆ど見たことがありません。

モニターの多さに圧倒される普通席区画のキャビン

機内の通路をぐんぐん後ろまで進み自席までやってきました。優先搭乗で機内後方までやってくる人はあまり存在しないため、モラルの範囲内でキャビンショットも撮り放題です。プレミアムクラスクラス同様、全席にシートモニターが備え付けられた普通席。ANAの国内線機材で全席シートモニターが備え付けられるのは、A321neoに続いて2機種目ですが、キャパシティが全く異なります。3-4-3の10列にモニターが並ぶ光景はまさに国際線のエコノミークラスのそれ同然です。

なお、このJA715Aは2016年まで国際線機材でした。一時期は羽田空港発着の国際線のフラッグシップ機として、ロサンゼルスやフランクフルトへも飛んでいた時期もある機体だけあり、国際線機材に返り咲いたような感覚を勝手に受けていました。

ご存知トヨタ紡織製の普通席座席

着席して真っ正面にモニターがあるのはまだあまり慣れませんね。大きさは11.6インチだそうです。さすがにプレミアムクラスのそれよりも小さいです。こちらのモニターもプレミアムクラスと同じくA321neoやA380と同様のものとなっていますが、A321neoの普通席よろしく、リモコンはありません。

モニターの下にUSBポートとイアホンジャックがあるのもA321neoと同様です。電源はこちらのUSBポートと座席の下にユニバーサルタイプの電源が備えられていました。(一枚上の写真、座席下に見えている白いもの)
一度に複数の端末を充電することができるのはプレミアムクラスだけの特権であると思っていたのですが、普通席でもそれができるようです。今のご時世、交通機関に電源とWi-Fiは標準装備になりつつあります。

普通席の座席はトヨタ紡織製。2015年から比較的機齢の若い(とは言っても殆ど20年選手でしたが)国内線仕様の767-300/300ERに搭載される座席メーカーとして航空機の座席産業に参入したトヨタ紡織、今回はそのノウハウを踏まえて新しい座席を生産したようで、こうして777のキャビンでまたお目にかかることができました。

背面のテーブルを固定するパーツに入っている「TB」ロゴが誇らしげです。因みに、トヨタ紡織製の座席を搭載していた767は一部機材が既に引退しています。座席自体はまだ数年しか使っていないものであると思うのですが、一体どうなってしまったのか気になるところです。

個人用モニターの設置に伴いシートポケットは下へ移動しました。2005年に登場した「新普通席」では、シートポケットを座席上部へ移動することで足回りのスペースを拡大したことが売りでしたが、15年経ち再び下へと戻ってきました。機内誌などは確かに下にあった方が取りやすいかもしれませんね。
機内誌類を入れるポケットの外側にもう一つポケットがあり、ご覧のようにペットボトルなどを収納することができます。メッシュ状となっており、忘れ物が少しは減りそうです。

右の膝の先に見えているのが、上述のユニバーサルタイプの電源です。今後シートモニターが設置されるのは777-200/200ERの8機と787-8の11機となっていますが、こちらの電源に関しては767や737-800でも備え付けられる予定となっており、既に電源が設置された767や737がデビューしているとTwitterで見かけました。

僅かに変わる窓からの景色

窓からの景色はこんな感じ。従来仕様機とまるで変わりません。強いて言えば、夜間少しシートモニターが写り込んでしまうと言う点は、新仕様機ならではといったところでしょうかww
お隣2番スポットに入っているのはJ-AirのE170。777からリージョナルジェットを見るとかなり小さく感じてしまいます。

搭乗時刻は19:50でしたが、定刻通りの20:00にドアが閉まり20:03には機首を西へ向けてプッシュバックとなりました。着陸してきたRWY28ではなくRWY10方向へのプッシュバックということですので、風に倣ってRWY10から離陸するようです。

出発30分前にカウンターで座席の空き具合を確認したところ、私の隣である44Cは空席のままでした。これは人権確保で好き勝手()できそうだぞ、と思って期待していると、搭乗終了間際になって隣に他の方がいらっしゃいました。あまり期待しているとこれですよ……機内での快適性はシートピッチよりも隣人の有無だと思っているので、少しガッカリです。こればかりはどうしようもありませんが…

離陸性能が優等生の777

2019/12/13 NH410 離陸

離陸は20:12。なんと滑走路の末端であるT-5誘導路ではなく、その1つ手前のT-4誘導路から滑走路へline upとなりました。(証拠の動画を添付します)

秋田空港の滑走路は2,500mあり、T-4誘導路からの離陸でも約2,000mの長さは確保することができますが、767でもここから離陸したことは微かに1回あったかなかったというくらいですので、777でこのインターセクションテイクオフを経験することになるとは思いもしませんでした。777と2,000m滑走路と言えば、富山空港や石垣空港が連想されます。石垣空港へは9月に777で着陸しましたが、富山空港はまだ訪れたことが無いので、いつか777でターニングパットをぐるりとやりたいですね。

工夫が加えられるテーブル

離陸後は山形県にあるMUSHAポイントまで直行、その後他の羽田空港行きの飛行機と間隔を取るため仙台上空まで迂回しつつ南東に進路を向けているようでした。

離陸後しばらくで雲に突っ込み、それ以降あまり景色を見ることができませんでした。撮るものがないので安全のしおりと茶を撮りました。シートモニターの設置は勿論テーブルのサイズに影響を与えますが、やや小さくなった印象を受けました。A321neoでは折りたたみ式のテーブルとなっていますが、こちらは折りたたみ式は採用されていません。

何気なく使っているテーブル備え付けのカップホルダーですが、こちらにも工夫がなされています。ホルダーのふちに数か所のくぼみがつけられています。こちらは「カップホルダーをクローバー型に変更し、紙コップが取り出しやすいように改善」したとのこと。そういえば何となく取り出しやすかったような気がしなくもありません。

飛行時間の短い国内線では、わざわざテーブルを展開して云々という時間もそこまで無いため、テーブルの外側にカップホルダーを付けるという手法も良いとは思うのですが、今後の座席で採用されるのを期待しています。

やはりチョイスはコックピットビューのルートマップ

仙台上空で右旋回後機首を南西方向へ向け、なおも巡行が続きます。先行機は帯広空港発のADO68便、737-781(巡航高度:40,000feet)と新千歳空港発のANA78便、777-381(巡航高度:34,000feet)です。往路同様フライトレーダーとこの画面の二刀流でフライトをモニターします。これに無線機があれば完璧なのですが、あいにく持ち合わせていないので、そのうち手配したいところです。

夜景を楽しむ羽田アプローチ

20:47、北方面から羽田空港方面へと延びる航空路Y10の終点かつ羽田空港のSTARの一つであるGODIN Arrivalの開始点であるGODINポイント付近を通過しました。既に飛行機はかなり高度を下げており、この付近では12,000feetで飛行しているようでした。茨城県の霞ケ浦らしき暗闇の北側に広がる水戸市周辺の夜景を綺麗に見ることができました。全国魅力度ランキングではあまり思わしくない成績を残しまくっている茨城県ですが、こうして夜間上から見るとなかなか見ごたえのある景色を提供してくれます。

この後も降下を続けて羽田空港へ近づいて行ったわけですが、この先暫くは雲上の飛行となっていしまいました。景色が見えなくとも個人用モニターにWi-Fiまで揃ってる新仕様の777であれば、まったく退屈することもありませんでした。

雲を抜けたのは、房総半島上空をやり過ごし、木更津上空から東京湾上空へ出ようかというところでした。左手に千葉県富津市と、浦賀水道を挟んだ向こう側に三浦半島の姿を見ながらアプローチしていきます。

飛行中にコックピットからのアナウンスがあった通り、雲の中を降下したためところどころ揺れながらの飛行となりましたが、そこまで大きく揺れるといったこともなく「天使のいたずら」程度の物に終始していました。この日は、15時から仙台ー東京ー秋田ー東京とひたすら南北に移動を繰り返してきたため、その適度な疲労感に眠気を助長させるにはバッチリの揺れ具合でしたね。最後まで寝ずに堪えましたが(笑)

東京湾を横断し、羽田空港へと帰ってきました。着陸はC滑走路RWY34R、着陸時刻は21:08でした。前便のANA407便で羽田空港を離陸した時刻が18:26でしたので、2時間42分ぶりに羽田空港へと舞い戻ってきたことになります。

幼いころは、秋田から東京までの移動だけでも大きなイベントで、飛行時間の45~50分もかなり長く感じられたものですが、同じ飛行機で1日で1往復してしまうようになると時間の感覚もだいぶ変わってしまったように感じますね。機内での時間の経ち方を一層早く感じさせられる要因の一つは、なんといっても機内エンターテインメントの充実に他なりません。ネットやらマップやらを見ているとあっという間に時間は過ぎてしまいます。

58番スポット着で準優勝

羽田空港の到着スポットは58番でした。到着時刻は21:13、定刻より3分の遅れをもっての到着です。

比較的夜の遅い時間帯に到着する便かつ777のような大型機で運航される便であれば、ターミナルの正面に到着する場合が多いので、到着後一目散に帰路につきたいという方は大型機で運航される便をお勧めします。もっとも、必ずこの法則が当てはまるということもなく、大型機で運航される便でも到着ロビーから遠く、遠く、果てしなく遠く離れたスポットへ到着するということもありますので、日ごろの行いを良くしておくに越したことはありません。

「722」普通席外観

最後に普通席の写真を撮らせていただいたので少々ご紹介。

機内に入り、プレミアムクラスの区画を抜け、真っ先に目に入る普通席の特徴は、席の柄が各々異なっているという点が挙げられます。これまでも窓側席と通路側席で座席の色が異なるなどといった違いがある機種の座席はありましたが、柄をここまでアレンジした普通席はこれまでのANAの機体にあったでしょうか…少なくとも私の記憶にはありません。新仕様機投入を伝える ANAプレスリリース 2019年5月29日 でも「シートファブリックはスタイリッシュなデザインで、シート毎に異なる多様な柄をお楽しみ頂けます」と記載があります。この辺の遊び心は特に未来の飛行機ヲタク、ちびっこにウケがよさそうです。

また、上述のプレスリリースによると、座り心地の向上のため背もたれのフレーム構造の最適化が図られたり、座席の使いやすさ向上のためテーブルやアームレストの角度、高さに工夫が加えられているようです。私はどうもその辺には鈍感ですので、あまり違いを感じることはできなかったのですが、この点については百聞は一見に如かずということわざがあるように、実際に乗って感じるしかありません。

搭乗時にも撮影しましたが、機内後方から再度前方を撮影しました。やはり3-4-3の10アブレストで並べられた普通席の全てに個人用モニターが装備されている光景には、まだ慣れるまで時間がかかりそうです。

この個人用モニター装備に伴い、天井にあったモニターなどが取り外されたようで、機内上部はややすっきりとした印象を受けました。機内仕様改修の様子については、ANAの公式FaceBookでも取り上げられていたので、目にされた方もいらっしゃるとは思いますが、電気配線の改修など目に見えない部分でも多くの手が加えられているようです。

「722」搭乗とAXTouchを終えて

様々写真も撮り終え、到着ロビーへと足を進めました。21時過ぎの羽田空港第2ターミナル、既に出発便は殆ど終了しており、到着ロビーのある1階とB1階のみが繁盛()している状況です。

というわけで、新仕様の777-200を体験するべく羽田ー秋田線を往復で搭乗する会はこれにて終了です。プレミアムクラス、普通席共に従来の座席と変更が加えられた点などについて様々感じることができたと思います。

これから国内線仕様の777-200に関しては、この仕様がスタンダードとなっていくため、近い将来は便を狙わずとも搭乗機会が増えそうな「722」仕様の777ですが、やはり座席がまだ新品に近い状態の方が座り甲斐もありそうですので、是非1月や2月の閑散期にでも乗ってみてはいかがでしょうか。因みに2020年2月末の運航スケジュールを確認すると、羽田ー福岡線を中心に3機の「722」が就航する予定となっているため、「722」に乗るとなると自ずとディスティネーションは修羅の国、福岡ということになりそうです(笑)

最後までお読みいただきありがとうございました。

(記事の一部はANAプレスリリース 2019年5月29日、ANA.Japan Facebook 2019年12月12日投稿分を参照)

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