2019年9月20日 ANA675便 羽田ー広島線搭乗記 みんな大好き767で2年ぶりの広島空港へ

搭乗記2019

初めて767で広島へ

ANA402便で秋田空港から羽田空港へやってきましたが、この日の最終目的地は広島空港です。到着ロビーから制限エリアを出ずに直接出発ロビーへ向かうことができる導線を通り、今度は第2ターミナル本館の出発ロビーへとやってきました。

今回搭乗するのは広島行きANA675便、9:20発のこの便は羽田空港8:35着のANA402便から乗り継ぐことができる最も早い便、402便と675便は乗り継ぎ運賃である”ANA Value Transit”適用の乗り継ぎパターンでもあり、2区間合わせて一度に購入した方が購入時期、運賃種別によっては安くなります。

本日2レグ目の機材は767-381ER、JA607Aです。私はこれで広島空港を訪れるのは4回目となります。これまでの訪問目的を以下にまとめてみました。

・1回目…ANAの787に乗ろう、どうせなら就航機材が豊富で行ったことがない広島にしよう(2012)

・2回目…初期の777が引退し始めたからまだ乗ってないJA8967に乗ろう(2016)

・3回目…暇だから777に乗りに広島に行こう(2017)

と、このような具合で、積極的な目的で訪れた経験は0、これまでの3回とも搭乗機材目的での訪問が続いていました。羽田―広島線は、主要幹線に次いで便数が多く、新幹線と競合する区間でもあることから直前購入でも価格が控えめです。そして、そもそもの需要が大きな路線ですので私の好む777がよく投入される路線ということもあり、なにかと”ヲタ活に都合のいい空港”なのです。今回は、広島観光も控えていたため、初めて飛行機が主目的ではない広島訪問となるわけですが、そうなると機材にもこだわる必要はありません。今回広島空港発着便では初めて767に乗ることになりました。

ここ最近は、国内線の機材ダウンサイジングが進み、羽田―広島線もその例外ではありません。近年は737-800やA321で運航される便も増え、ややつまらない印象となってしまいましたが、この675便に関しては、一貫して767での運航が続けられています。675便で広島空港に到着した767は、この後那覇空港へ向かうという運用が組まれているためです。広島ー那覇線は、搭乗率が67.1%(2018年度)となっており、年間を通してワイドボディー機で運航されている路線としては頑張っている方なのではないかという印象を受けます。

今回アサインされた搭乗口は、ターミナル南側の71番搭乗口。すぐ隣の72番搭乗口は第2ターミナル改修工事の犠牲を食らい閉鎖されていますが、この71番搭乗口も半分その改修工事の影響を受けているようで、通常改札機の天井付近に掲げられている出発便を表示するモニターも、このように下にお引越ししています。

殺伐した搭乗口前を抜けて機内へ

09:05、搭乗となりました。今回の座席は11Kです。ここ数か月は767に乗らないヒコーキライフを送っており、最後に搭乗したのは5月のことでした。実に4か月ぶりに慣れ親しんだ767のキャビンへと帰ってくるにあたり、やはり767と言えばご自慢のCF6-80Cエンジンだろう、とエンジン音を楽しむことができるようにエンジンよりも前の席をアサインしました。

こちらはすっかりお遊びムードですが、平日午前の広島行きともなるとスーツに身を固めた社畜の方々が多数見受けられ、優先搭乗の列もさすがビジネス路線というだけの様を呈していました。そのような方々に混じって優先搭乗するのはなかなか気が引けましたが、私のモットーは”人が働いているときに遊び、人が休んでいるときに働く”ですので、ちょっとだけいい気分だったのもまた確かです。性格が悪くて申し訳ないです。

定刻は9:20ですが飛行機に乗りたくて殺気立っている()乗客が多いおかげで、定刻よりも5分早くドアが閉まりました。むしろ、貨物の搭載の方に時間がかかっているようで、そちらを待ってからの出発となりました。前方のカーゴドア使用しているということは、比較的貨物も多いのかもしれませんね。秋田空港発着便は後方のカーゴドアのみを使用して貨物の取り扱いを行うということも結構頻繁に見られますので、なんだか羨ましいです。

9:21、機首を西に向けてプッシュバックとなりました。R誘導路からD滑走路方向へ向かうことができるように、比較的長めのプッシュバック、2つ隣の69番スポットの脇まで押し出されました。

69番スポットには函館行きANA553便の787-8がスタンバイしています。羽田ー広島間の区間マイルは414、そして羽田ー函館間の区間マイルは424とこの両者は羽田空港からの距離がほぼ等しいことが分かります。北海道新幹線が新函館北斗駅まで開業し、航空機との競合の観点でこの2都市がしばしば比較されますよね。方や東京から博多までを結ぶ大動脈の東海道・山陽新幹線の途中駅、方や暫定開業で本数もそこまで多くない北海道新幹線を一概に比較することはできませんが、今のところ東京―函館間は航空機優位、東京―広島間は新幹線優位ですよね。やはり広島は空港の位置があまりにも分が悪いようです。

お天気の羽田空港を離陸

9:35、プッシュバックから14分でD滑走路RWY05へline upとなりました。D滑走路自体はそこまで混雑しておらず、待ち時間はほとんどなく滑走路へと入ることができました。先行機は広州行きのANA923便、767-381ERでした。国際線ターミナルからのD滑走路までの移動ですと、そもそもの距離が離れている上、A滑走路の横断というイベントもあり時間がかかってしまいますが、第2ターミナル南側からですとD滑走路も近くていいですね。

09:36、羽田空港D滑走路、RWY05から離陸となりました。ここ最近A321や長距離国際線のまったりとした離陸ばかりを経験していたため、767の勢いのあるパワフルな離陸上昇に心が洗われました。やはり国内で乗ることができる飛行機の中で、離陸が一番楽しい飛行機は767だと思います。エンジン音もいいですし、離陸とは何ぞやということを体現している旅客機である、そのように思います。異論は認めません。

D滑走路を離陸する飛行機は基本的には西方面への出発機に限られますので、離陸後は大きく右に旋回します。高度を稼ぎつつ右旋回を続けるとやがて進行方向右側からは羽田空港の全景が見えてきます。よく搭乗する伊丹線や沖縄線では、旋回はここで終了、三浦半島上空、駿河湾上空を通過する航路を採りますが、中国、瀬戸内、九州北部へと向かう便はここからさらにもう一旋回し、川崎市内上空から陸地上空を飛行するようになります。

滑走路方位から約270度旋回しながら東京湾上空で高度を稼ぎ、前述の通り川崎市沿岸の工業地帯上空から神奈川県上空へと進路をとります。羽田空港の国際線ターミナルの展望デッキで撮影していると、時々上空を通過していく飛行機のエンジン音が聞こえますが、それらのエンジン音の主からはこのような景色が広がっています。

進行方向右側からは羽田空港の様子をより近くに見ることができます。離陸からここまで約5分ですが、右側席からは終始羽田空港が見えており、目を凝らすと離着陸する飛行機の姿も目にすることができます。羽田空港のような巨大な空港をほぼ真上から比較的低い高度で見下ろすことはなかなか機会がないため、個人的に好きな眺めの一つであります。

言うまでもなく羽田空港の北側には東京都心が広がっています。東京都心であれば、ある程度の知識を持ち合わせている方であれば、土地勘がなくとも、皇居やら東京ドームやら、新宿の副都心エリアやら容易に見つけて楽しむことも可能です。しかし、この日は生憎都心上空には雲が点在しており、綺麗に景色を眺めるということはできませんでした。やはり太平洋側で綺麗な眺望を狙うのであれば、空気が澄んで天気もよろしい冬場がベストですね。

9:44、ベルトサインが消えました。飛行機は21,000feetを超えてなお上昇継続中。都心上空にも雲はところどころありましたが、西へ向かうにつれて雲の量が増えてきましたね。中央自動車道なんかも見えたのですが、すぐに雲に隠れて見えなくなってしまいました。

地理のアウトプットに最適な晴れたフライト

9:49、甲府盆地の上空を通過しました。伊丹空港や那覇空港ばかりへ飛んでいるとこの航路を飛ばないためなかなか新鮮です。盆地自体は開けていますが、少し山の方に視線を移すと扇状地が広がります。扇状地の土地利用としては果樹栽培が筆頭に挙げられますから、山梨県がフルーツ産地として名を馳せているというのはこうして上空から景色を見るとなるほどというわけです。

因みに羽田空港から西へ向かう便からは、富士山の景色を眺めることが楽しみの内の一つに数えられると思います。羽田空港から西へ向かう便が使用する航路は複数ありますが、今回搭乗している羽田ー広島線では、基本的に富士山の北側を通る航空路Y20を通過しますので、富士山を見るためには進行方向左側の席でなければ見ることができません。ちょうどこの付近を飛行中に、反対側の窓からは富士山が見えていることでしょう。

10:02、濃尾平野上空にやってきました。巡航高度の40,000feetからだと雲がかかってきてしまいましたが、下界はうっすらと見ることができました。航空自衛隊の岐阜基地の滑走路が濃尾平野に達した目印です。フライトレーダーによるとこの付近では100ktsの向かい風を受けて飛行していたようで、さすが西行き便といったところ。夏場は偏西風の影響も少なく、往路と復路で所要時間に差はありませんが、偏西風が強まる冬場は羽田ー広島間程の距離でも往路と復路で10分ほど所要時間に差が生じます。

偏西風はさておいて、ここまでは揺れもなく快適なフライトが続きました。前日にホノルルから戻ってきた際には、38,000feet以上でも時々強く揺れることがありましたが、この日はここまで揺れとは無縁。揺れが飛行機の醍醐味でもありますが、時には揺れのないもんびりとしたフライトもいいものです。

10:07、琵琶湖上空を通過しました。日本一大きな湖だけあって、湖面の真上上空を通過しても窓からは北側の半分ほどを見ることができました。あいにく薄い雲がかかっていますが、その薄い雲に我がB767の影が反射し、琵琶湖に飛行機の影が写っているような図が出来上がりました。

機内内部は雰囲気が殺伐しているため、あまり目を向けたくなかったのですが、窓の外をずっと眺めていると時々このような希少性の高そうな光景に遭遇するものです。これだから窓側席は外せません。

10:14、遠目に工業団地らしき街並みが広がってきたので写真を撮ってみました。周囲を山に囲まれ、一体どこの地域なのか…と地図を漁るとJR福知山線で名前は知っている京都府福知山市だということが分かりました。この付近は、長田野工業団地というエリアで、地元も雇用維持に一役買っているとのことです。

Googleマップで詳細を見てみると、この付近にはSECカーボン京都工場、神戸製鋼福知山工場、武田ヘルスケアといった企業がこの地で操業しているとのこと。後者2社は名前を知っていますが、失礼ながらSECカーボン様は存じ上げなかったため、ウィキペディアで調べてみると、アルミニウム製錬用尾黒鉛電極で世界シェアの半分を占めているという企業であるとの記載がありました。高校の化学の電気分解の項目に載っている”アレ”か、と納得しました。ご丁寧にウィキペディアには主要取引先のページまであり、金属製錬、電池製造メーカーが殆どとのこと。BtoB企業であれば一般的な知名度は劣ってしまいますが、我々の生活に欠かすことができない企業の一つであることに間違いなさそうです。

10:26、飛行機は高度を下げながら岡山空港の北西を通過しました。23,000feet上空からでも日本海側の大山や中海の様子が見えました。今回の目的地は山陽地方ですが、山陰もいいですよねえ、基本的に西日本ならどこでもテンションが多少はあがります。

広島空港を象徴する景色を見ながらアプローチ

10:34、飛行機は広島空港の北側を通過して高度を下げ続けます。空港の北側から回り込んで着陸するということは、着陸滑走路はRWY10で確定です。ここまでの3回の訪問では、いずれも空港東側のRWY28への着陸でしたので、こちら側からの着陸も初めてとなります。

本日搭乗のJA607A号機にはWi-Fiアンテナが装備されているため、全国の空港のチャートを閲覧することができるAIS JAPANに接続して、その到着経路とフライトレーダーに示される航路を比較しながら着陸に備えます。着陸前にどういった光景が広がるのか…窓に目をくぎ付けにしました。

10:35、広島空港の北西にあるSEIWAポイントで飛行機は左に旋回、ここでもまだ高度は5,500feet(=1,700m)ありますから、空港の西にある広島市街地の様子も見ることができるのではないか…と期待していましたが、案の定見ることができました。

遠目に見ているせいか、人口120万人の大都会の割には街の規模が小さいような印象を受けました。そういえば、広島市は山がちな地形であるため、山の斜面や丘陵地にも住宅地を配置しているということを思い出しました。(それが原因で、大雨に伴う土砂崩れで被害が出てしまったということもありました)どこまでも平野が広がり待ちを広げ放題の我が秋田市は、街を馬鹿みたいに広げすぎた結果問題が生じていますが、地形上街を広げるのに制約があるにも関わらず無理に街を広げたことによる問題がここでは発生しているのかもしれません。ここまで至近距離に広島市街地を生で見るのは初めてなのですが、やけに真面目なことを考えてしまいました。

3,000m滑走路に余裕のlanding

10:42、広島空港RWY10に着陸しました。飛行時間は1時間6分でした。着陸前はやはり広島空港らしく山の上を低空で飛行するという”らしさ”を感じることができました。

因みに広島空港には、計器着陸装置(ILS)のうち、国内の空港では最高の水準を誇るCAT-Ⅲタイプの物が設置されています。基本的に日本の地方空港では滑走路の片側にのみILSが設置されており、広島空港の場合は、今回着陸したRWY10側がILS対応となっています。広島空港の標高は331mとかなり高い場所に位置しており、その分霧が発生しやすいのです。2015年にアシアナ航空が着陸に失敗、ILS装置のうち一つであるローカライザーを破壊してしまった際には、暫くこのILS CAT-Ⅲの運用を行うことができず、多数の欠航便が発生してしまったことは記憶に新しいですね。

そのようなことを考えているうちに飛行機はT3誘導路で滑走路をバケート、5番スポットに入りました。到着時刻は定刻通りの10:45、時間に厳しいビジネス旅客を下支えする路線としては時間どおりが一番です。

機内前方の座席を陣取ってはいますが、荷物をピックアップするという作業が待っているため、例のごとく今回も最後の方に降機しました。

最後にオーディオのコントロールパネルがお亡くなりになっていたことをご報告します。確かにボタン類は使用することができなかったのですが、イアホンジャックにイアホンを差し込むと音楽は聞こえてきたので、単純にこのボタンのみが逝かれてしまっていたようです。ひじ掛け上部のボタンというのは確かに押しやすさという観点ではひじ掛け横のボタンよりも軍配が上がりますが、意図しないボタン操作や、隣の方にひじ掛けが占領されてしまった場合、何も操作することができないという弊害もあります。私としては、ひじ掛け上部のこの設置方法は反対です。とは言っても、このJA607A号機は数年前に国際線仕様機から国内線仕様機に転換され、この座席が搭載され始めたばかり。引退するまでこの座席を使用し続けることになりそうです…

というぼやきを残して飛行機を後にしました。冒頭でお伝えの通り、この767はこの後ANA1861便として那覇空港へ向かいます。かつては、ANAの那覇空港や新千歳空港発着の地方路線では767が数多く活躍していましたが、現在は737-800をはじめとする小型機やソラシドエア、エアドゥといった航空会社に機材変更、路線移管されているのが殆どです。3大都市圏以外を出発地、目的地とする路線でワイドボディー機に乗ることができる路線はあまりありませんので、767で飛ぶ広島―那覇線、こちらもかなりお勧めです。乗ったことはありませんが(笑)

荷物をピックアップして到着ロビーへ出ました。2017年10月以来約2年ぶりの訪問となった広島空港ですが、2年前とさほど変わらず、この大きな液晶モニターも懐かしく感じられました。

広島空港は大阪と福岡という大きな主要都市の間に挟まれているという位置関係上、航空路線を運航してまともに新幹線と競合することができるのは東京以北のエリアとなります。そのため、到着便案内板にも”東京”の文字が羅列されています。ここに表示されている就航地以外の国内路線は、あと那覇線と新千歳線がありまして、特に広島―新千歳線はローカルtoローカルの路線としては初めて747SRが就航した路線としても有名です。10年ほど前までは777-200で運航されていたのですが、一時運休を経て現在は大幅ダウンサイジングで737-800にて運航されています。またしても関係のない路線の紹介になってしまいましたが、広島空港はいろいろとネタが豊富な空港ですので、皆さんも是非様々ネットを漁るなり、現地に赴くなり楽しんでみてはいかがでしょうか。

今回は初めて観光メインの広島訪問ですので、このままリムジンバスに乗車して広島市内まで移動しました。今回はここまでにします。最後までお読みいただきありがとうございました。

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