2019年11月23日 早朝フライトで雪山ウォッチング(ANA401便 羽田ー秋田線搭乗記)

搭乗記2019

手っ取り早く、空から紅葉狩り

11月と言えば紅葉シーズン真っ只中。紅葉で有名な観光地は国内に多数存在しますが、有名どころに限って休日は多くの人出で混雑してしまうのが難点です。そんな混雑を回避するのが”空から紅葉を眺める”こと。綺麗に色づいた山々を空から俯瞰するのは混雑知らずで、かつ、空からでしか堪能することができない景色が目を楽しませてくれます。11月のフライト予定は2フライト、うち1フライトは1週間前のナイトフライトでしたので、日中時間帯に飛ぶ今回のフライトが紅葉を楽しむことができる今年最初で最後の機会となります。予約した段階から狙いを紅葉に定めて搭乗日を待っていました。果たして綺麗な紅葉を見ることはできるのか…

全日空ボーイング767で行く、晩秋の紅葉観光、スタートです。

絶望的に混雑する羽田空港

羽田空港を朝の7:50に出発するANA401便に乗るためには、仙台から来るとなると東京へ前泊する必要があります。今回は、横浜市中区、みなとみらい近隣に新たに開業したアパホテル&リゾート横浜ベイタワーへ宿泊し、フライトに備えました。今回の搭乗記とは関係ありませんが、新規開業のホテルだけあり、館内の設備はかなり充実しており、久々にまた泊まってみたいホテルランキングへ堂々ランクインすることになりました。

そんなところで朝6:30にホテルを出て、出発時刻の30分前に羽田空港着。出発便案内版には既に我が401便が上から3番目に並んでいますが、20分前までに保安検査場を通過すれば良いことに加え、仮に保安検査場が混雑していても上級会員用の優先レーンは空いているだろうとタカを括ってのんびり保安検査場へと向かいました。

自動チェックイン機で紙のチケットを発券しいざANA PREMIUM CHECK-INへ向かうと、なんと渋滞ができていました。プレミアムカウンターの室内で列ができていることはよくありますが、外にまで列が出来上がっている場面には初めて遭遇しました。土曜日であればビジネスマンも少ないだろうし、上級会員もそんなにいないだろうとナメてかかるとこのザマです。テレビ番組でも取り上げられているように、飛行機に狂ったように搭乗し、航空会社の上級会員になる”修行”が市民権を獲得しつつある今、上級会員のインフレが発生していると言わざるを得ません。

列に並んでいると、早速”7:50までにご出発の方はお知らせください”と声がかかったため、何人かゴボウ抜きして荷物を預け、優先保安検査場のそのまた優先レーンに並んだのですが、そこでも行列ができており、なんだかんだで国内線の景気もいいんだなあと感じました。

優先ゲートアサイン

保安検査場をなんとかやり過ごし、搭乗口に向かいました。今回アサインされている搭乗口は60番です。60番です。(大事なので2回言いました)

保安検査場からは1分もかからずに到達することができるという好立地の搭乗口です。保安検査場の通過までにはだいぶ時間を要しましたが、そこから機内まではかなりスムーズ。保安検査はすぐに通過し、保安検査場から搭乗口までが遠いという普段のケースとは真逆の状況です。

景色目当てなら前方席へ

搭乗時刻は7:38、今回は風景写真狙いですので、エンジンの排気で写真がボケないよう、エンジンよりも前の9Aをアサインしました。前日までは普通席の残席が30席以上を示す◯表示だったのが、当日になると29席以下の△に変わっており、私の隣の席にも他の方がいらっしゃるようでした。そんな時は優先搭乗でさっさと機内に入ってしまうのが1番です。

久々に前方席をアサインしてみましたが、優先搭乗の有資格者で占められており、雰囲気もなんとなく殺伐しています。上級会員資格を与える条件の一つに、大らかそうな顔というのも加えてほしいですね。

雨の羽田空港から出発

そんな満席近い状況でも、搭乗はスムーズに進んだようで、定刻の1分前にドアクローズしました。しかし、なかなか飛行機が動き出しません。モニターでセーフティービデオの放映が終了してしばらく経った8:01、グランドハンドリングスタッフの方が主翼脇に置いていたカラーコーンを退かし、指差喚呼。ようやくトーイングカーに押し出されて出発となりました。飛行機の出発時刻は、飛行機が動き出す時間ですので、11分の遅れをもっての出発です。

ご覧の通りの悪天候の中でも、地上で飛行機を支援する方の力なしには飛行機の運航はできません。今回は隣に他の方がいましたが、滑走路へと動き出すときに手をブンブン振り返しました。それくらいしか労いの気持ちをお伝えする手段がないのが残念なところです…

この日は朝から北風運用の羽田空港、北行き便の離陸滑走路はRWY34Rです。C2誘導路から滑走路へとline upします。天気の良い日であれば、東京都心のビル群が滑走路の奥に一望できるのですが、生憎この日は何も見えませんでした。視界が悪いことは、朝っぱらから滑走路の灯火が点灯されていることからも明らかです。

窓に雨水が付着しており、カメラもAFではピントが全く合いません。自分の指と目を信じてMFに切り替えなんとかピンボケを回避しつつ写真に残すことができました。

離陸は8:14、この日は睡眠が浅く少々眠かったのですが、全日空ボーイング767ご自慢の米GE製、CF6-80Cエンジンの”飛行機らしい”エンジン音が睡魔を吹っ飛ばしてくれました。そんなエンジン音に浸っていると早くも機首が持ち上がり、今さっき出発してきた第2ターミナルが見える頃にはこんなところまで上昇していました。相変わらずの離陸の早さは流石としか言いようがありません。

もっとも、この時は、滑走路に正対する風が23ノットで吹いていたようで、エクストリーム離陸に一役買っていたようです。離陸と同時に私の睡魔と一緒に窓についていた水滴も一気に後方へ吹っ飛ばされ、あっという間に雲に突入。景色は全く見えなくなりました。

雲と富士山と雲

東京上空にあった雲を抜けたのは8:19、下には一面の雲の絨毯が広がります。雲の中でもあまり揺れず、雲から出ると同じく揺れず、8:21にはベルトサインも消えました。この付近はまだと東京や千葉の平野部上空ですので、こちらの期待している景色とは無縁の場所。さっさと雲が切れてくれることを願いつつ、北上を続けます。

離陸から9分で巡航高度の23,000feetに達しました。上昇性能に優れる767であれば、羽田ー秋田線でも31,000feetまで上昇することもよくありますので、それを考えると低めの高度。下界の景色を楽しむにはもってこいなのですが、まだまだ雲は切れません。既に栃木県と群馬県の境にあるハート型遊水池、渡瀬遊水池の東まで来ており、雲が無ければ何かしらの色づいた景色が見えたに違いないのですが、全く持って見ることはできませんでした。変わりに富士山が雲の上からひょっこり顔を出しているのが見えました。頂上は既に冠雪し、雲と同化しているのですが、すぐにその存在はバレます。

8:31、積雲に混じって笠雲のような雲が点在しているのに風情を感じ、写真を撮りました。このような雲は表面がツルツルしているような様を呈しており、触り心地も良さそうですよね。(雲のさわり心地なんて言ってる時点で知能レベルが知れそうですがw)

もはや今回のテーマはどこかへ行ってしまいました。現在地は福島県猪苗代湖の南、11月の下旬ともなると既に紅葉シーズンが終わっている地域までやってきてしまいました。ホテルで確認した天気予報では、”台風に伴う帯状の雨雲が、関東南部まで伸びてきている”ということだったので、羽田空港から北に向かえば雲は取れるだろうと勝手に解釈していたのですが、自然はそう甘くありませんでした。

紅葉狩りから雪山ウォッチングへ

8:40、山形盆地の西上空付近で降下開始。北上するにつれてだいぶ雲も取れてきましたが時すでに遅し、頂上付近が冠雪した冬仕様の山しか見ることができません。冠雪した山を見ると、その輪郭が一層はっきりして鋭利でかっこいい雰囲気が出てきますよね。寒いのは嫌いですが、冠雪した山を見るのは好きです。完全に今回のテーマから逸脱し、最終的には雪山を鑑賞するフライトになってしまいました(笑)

それから1分で山形県月山の上空を通過しました。完全に雪が積もっています。いかにも冬といったところです。言われてみればあと1週間で師走に入り、2019年も終わってしまうんですよねえ。今年はなんだかあっという間に終わってしまった気がします。冠雪した山を見て、1年間を振り返る。四季折々違った風景がある日本だからこそのものかもしれません。相変わらず微妙に雲が被っているのが写真を撮る身としては困ってしまいましたが…

今回唯一まともに見ることができたのではなかろうか、というのが庄内平野の景色。平野部だけ綺麗に雲が被っていません。きっと酒田、鶴岡周辺にお住まいの方の日頃の行いがよろしいのでしょう。写真中央に最上川の河口、全日空も就航している庄内空港は、写真左端に微かに写っているか写っていないかという位置にあります。

冬場の日本海側は絶望的に天気がよろしくないため、たまにお天気の日があると普段以上にテンションが上がりますよね。私だけではないはずですよ。

8:46、秋田県と山形県の県境を超え、秋田県上空までやってきたところでベルトサインが点灯しました。この日の秋田空港は東からの風ということで、一旦日本海上空に抜けて西側からアプローチしていきます。

月山同様すっかり冠雪した鳥海山の脇を、12,000feetで通過します。相変わらず雲が頂上を阻みますが、麓だけでもかなりインパクトがあります。なんだか木の幹を見ているようなそんな印象さえ受けますね。夏場に鳥海山を見てもそのような感覚にはならないので、これもやはり雪効果なのかもしれません。そんな雪が積もりに積もった鳥海山では、勿論紅葉のこの字もありません。

秋晴れの秋田上空へ

鳥海の脇を山を超えると、秋田県南部、にかほ市を左手に日本海上空へと進路をとります。僅かに木々が色づいているのがお分かりいただけるでしょうか?今回のテーマであった「紅葉を空から眺める」一応目的は達成しました!当初の予定ではこのような規模で終わるはずではなかったのですが…(笑)

そして紅葉した山々の上には風力発電が並びます。秋田県に限らず、自然エネルギーによる発電が積極的に行われるようになった昨今、風力発電がかなり増えたような気がします。秋田県では、現在、洋上風力発電の計画が進んでいるようで、将来的には秋田沖の日本海に風力発電の風車がゴロゴロ並ぶということになるとかならないとか。これからの時代、電力供給の手段についての議論は欠かすことができません。紅葉ネタがなさ過ぎて再び話が脱線してしまいました。

日本海上空で高度をさらに下げ、右旋回して秋田空港の方へと機首を向けます。進行方向左側からは秋田市内の様子を眺めることができるというのは何度もご紹介の通りです。天気がよろしくなかった関東地方とは打って変わって、秋田市内はお天気に恵まれています。旋回中には、日本海に突き出た男鹿半島の様子もよく見ることができました。

先程、にかほ市上空の風力発電について書きましたが、秋田市南部の山間部でも同様に風力発電が林立するようになり、日本海側から秋田空港に着陸する際にはその様子を見ることができます。かつて秋田市内の風力発電と言えば、秋田市の割山地区にある旧秋田空港跡地の風力発電群と秋田港の周辺に数基があるくらいでしたので、それを考えるとだいぶ増加した印象を受けます。クリーンな発電方法という大きなメリットがある風力発電ですが、景観という観点ではあまり造りすぎるのもいかがなものか、ということも考慮に入れる必要がありますよね。

当初の目的も果たします

秋田空港に着陸する寸前には空港周辺の木々が紅葉している様子も一瞬ですが見ることができました。序盤から中盤は雪山について、終盤は風力発電についてダラダラ述べるということをやってきましたが、勿論今回の主題について完全に忘れたわけではありません。まだまだ奥羽山脈の山間部などと比較すると気温が高い秋田市、この数日前位に若干積雪があったようですが、雪にも耐えて残ってくれていました。この後は、国際教養大学を横目に秋田空港と着陸します。

Landing

8:58、秋田空港RWY10に着陸しました。飛行時間は44分でした。

この前日は仙台から東京まで新幹線で2時間かけて移動したわけですが、それを考えるとやはり飛行機は速くていいですよね。出発地から目的地までのトータルの所要時間で考えると、確かに東京ー秋田間は航空機の圧勝というわけでもないのですが、同じ乗り物に乗り通している時間は短い方が良いのでなんだかんだで飛行機です。それに加えて、秋田市内から秋田空港まで30分弱かかるわけですが、30分って長いですかねえ?秋田市民の皆さんは空港から10分ほどのところにある某大型ショッピングセンターによく足を運ばれるようですが、それを考えると秋田空港へ行くのも大したことではないような気がするのですが…

秋田空港周辺の天候はご覧の通り良好で、風もそこまで強くありませんでした。しかしながら、接地のタイミングがやや遅れたのか、滑走路の反対側の端まで滑走してようやくバケートとなりました。大抵はこの一つ手前の誘導路T2でバケートするのですが、時々T1まで転がる飛行機を目にします。今回は誘導路が取り付けられているのとは反対側の窓側だったのですが、何となく”T1まで行きそうだな”と察していると、本当にT1まで転がってしまったので心の中で笑ってしまいました。体も慣れているのかもしれません。

定刻よりも7分遅れて9:02に3番スポットへ到着となりました。T2誘導路で滑走路をバケートすることができていれば、あと数分は早着することができていたかもしれませんが、止まることができないものは仕方ありません。世の中仕方ないの精神です。これを機に秋田空港にも高速脱出誘導路を整備していただきたいところです。

そんな冗談はさておいて、エプロンの脇にある除雪車にご注目。これから数か月間の積雪シーズンに備え、既にご覧のようにスタンバイしています。青森空港の除雪部隊には「ホワイトインパルス」という愛称が付けられているそうですが、秋田空港でもそれに倣って「雪戦隊なまはげ」と愛称を付けました。何故なまはげかというと、作業される方がなまはげの格好をされているからです。嘘です。どうやら公募で決まったそうですよ。2018年度のウインターシーズンは、積雪量が少なく、欠航便も少なかったようですが、今年度はどうなんでしょうかねえ…大雪で欠航多発は勘弁ですが、なまはげの皆さんには是非頑張っていただきたいです。よろしくお願いします。

増加する国内線仕様767-300″ER”

最後に本日の搭乗機についてご紹介。今回はANAの767の中では中間管理職の部類に入る767-381ER、JA615Aに搭乗しました。2007年1月導入のこの機体、ご存知の通り当初はビジネスクラス”CLUB ANA Asia”とエコノミークラスの2クラスで国際線に就航していましたが、2018年5月より国内線仕様に転換され、以後は国内線機材として日本各地を飛び回っています。この機体へは今回が初めての搭乗となりました。

ANAでは2009年以前に導入された国際線仕様767-300ERの国内線仕様転換を進めており、11月現在はJA617Aがシンガポールで改修中。これをもって、ウイングレットを装備していない旅客型767は全て国内線で運用されることになります。これまでは、成田空港や関西空港などでか見ることができず、地方空港ではレアな部類だった”JA60xA”、”JA61xA”の767がここ数年で一気に身近なものとなり、時代の移り変わりを感じますね。

荷物を受け取って到着ロビーへ出ました。満席近い便ということもあり、バゲージクレームにも人だかりができていました。毎回このような大盛況であれば機材大型化が視野に入ってくるのですが、自分が乗っている便は空いている方が良いですよね。最後に自己中極まりない発言を残して締めたいと思います。(あ、雪山は綺麗だったので、11月末に北上される方は雪山目当てで機窓の景色を眺めるといいと思います)

最後までお読みいただきありがとうございました。

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