35分の乗り継ぎで仙台へ
今回の一連のヲタク活動は、ANA国内線最新仕様の777に搭乗することが一番の目的でした。前日のうちにそれを果たすことができたので主目的は達成となりました。
そして2つ目の目的に挙げたのが、伊丹ー仙台線で777に搭乗することです。ここ5年ほど、毎年11月から12月にかけての修学旅行シーズンに合わせ、伊丹ー仙台線には777が投入されています。2019年冬ダイヤでは、伊丹発の731便と737便、仙台発の734便と740便の2往復4便に投入され、その需要に応えていました。基本的に仙台発、仙台着での利用が多いと思われるため、仙台午前発の734便と仙台午後着の737便が混雑している印象でした。一方伊丹午前発の731便は比較的空いており、乗るならこの便しかない。というわけで、羽田空港から乗り継ぐことができる985便に乗るべく、わざわざ睡眠時間を削って移動していたのでした。
ラウンジで祝杯をあげる
985便で伊丹空港へ到着したのは07:31でした。ほぼ定刻通りの到着、時刻表上では35分しか乗り継ぎ時間が確保されていないため、伊丹空港到着後すぐに731便の搭乗口へ向かおうと考えていました。
しかし、985便で伊丹空港に着陸した際に、731便の搭乗機を確認したところ、ANAの777-200/200ERの中では唯一未搭乗であったJA710Aがアサインされていることに気づき、これはラウンジで祝杯だ!ということで、急遽こちらへ向かうことになりました。
羽田空港のANA LOUNGEではクリスマスツリーが鎮座していましたが、伊丹空港の方はこのようにリボンで飾り付けられていました。シンプルなのがまた高級感を漂わせています。
因みに、731便の搭乗口は、南ターミナルでも端の端、7番搭乗口でした。保安検査場の脇に移転したANA LOUNGEからは最も離れた位置にあるため、あまり時間がありません。早速中に入って飲むことにしました。
まあ飲むと言ってもいつもの緑のやつなんですけどね(笑)
ANAの777-200/200ER完全制覇のお祝いに飲む青汁、普段以上に効能が発揮されるような気がしました。あまり時間がありませんのでこのような感想もほどほどに、そそくさとラウンジを撤収し、7番搭乗口まで歩いて向かうことにしました。
まだまだパタパタが活躍する伊丹空港
伊丹空港名物であった「パタパタ」も、とうとう南ターミナルの保安検査場から撤去され、今はこのように一部の搭乗口で細々と活躍するのみとなりました。というわけで7番搭乗口に到着です。
この731便へ搭乗するのは今回が2回目、前回は2019年の1月3日でした。その時の機材は737-800、通常も737-800で運航される便であるため、年末年始などの繁忙期よりも、世間的には「なんでもない」期間に集中して777が投入されるという機材ヲタク的には面白味があるのがこのANA731便です。
搭乗機 JA710Aとご対面
搭乗口の脇の窓からは、これから搭乗する777が大迫力で見ることができました。ギアドアに書かれた「710」の数字が、JA710Aであるなによりの証拠です。
丁度ラウンジから搭乗口へ移動している間にスポットへトーイングされている姿が見えていたのですが、このJA710Aは、前日も伊丹ー仙台線で運航されており、20:26に伊丹空港へ着陸したというデータがありました。21:00で運用時間が終了する伊丹空港の中では、比較的遅い時間の到着となる便ですが、それでも伊丹空港到着後にトーイング作業が待っているのですね。こじんまりとしている空港での混雑時間帯のトーイング作業はまさに時間との勝負と言えそうです。
ガラガラのキャビンへ潜入
07:54、搭乗となりました。今回の座席は7Aです。窓からは頼もしいPW4090エンジンを眺めることができます。
前述の通り、ANA731便は通常737-800で運航されている便だけあり、約2.5倍も座席数が多い777-200は実際のところオーバーキャパシティーです。それに加えてこの日は土曜日ということもあり、ビジネス需要も拾うことができないせいか、座席指定の画面でも殆ど席が埋まっていない状態でした。そのため、搭乗口前で出発を待つ方の姿もまばらであり、搭乗口前でもノンストレスで機内へ入ることができました。因みに同じ777-200で出発する羽田空港行の16便では、オーバーブッキングが発生していたようで、様々アナウンスがなされていました。
07:59、定刻よりも6分早くドアが閉まり、08:07にプッシュバック開始となりました。日中の時間帯は羽田線以外殆どが小型機での運航となる伊丹空港ですが、早朝や運用時間終了間際の時間帯は777や787が目立ちます。こちらからも見える範囲でANAの787が2機、JALの777と787が1機ずつ、そして我が731便も777での運航ですので賑やかです。
ここ最近、伊丹空港では保安検査場でのトラブルが相次いで発生しており、それに伴っての措置か、全国的に保安検査が強化されていました。そのため、保安検査場の通過に時間がかかり出発が遅れるということも見られるようになったようですが、この便はもともと空席だらけですのでしっかりほぼ定刻通りの出発を決めたのでした。
こちらが滑走路へ向けてタキシングを始めるのと同時に、奥のスポットに入っていた福島空港行のANA1695便、737-500がプッシュバック開始となったようで、こちらからもその姿を見ることができました。間もなく引退を迎える737-500、それを記念して機首やエンジンのイルカくんに装飾が施されているとのこと。是非撮影したかったのですが、カメラを用意したときには残念ながらこちらにお尻を向けており、撮影することができませんでした。
737-500に関しては2019年冬ダイヤ以降、基本的に伊丹、福岡両空港をベースに運航されており、機数は少ないものの見ようと思えばいつでも見れる存在。またの撮影機会に持ち越しです。(と、余裕をこいていると失敗するのがいつものパターンです)
伊丹空港名物?”あの”標識
次の文章を訳しなさい(334点)
Thank you for observing rolling take off and take off course restriction.
私は、様々な交通機関に興味があるのですが、その中でも特に「標識」が大好きです。標識というと、道路標識が真っ先に思い浮かばれますが、空港内にも誘導路や滑走路を示す標識がたくさんありますよね。空港内の標識は、地面の低い位置に最低限の情報を書いているのみですが、伊丹空港のこちらは誘導路から離れた場所にあるため、そこそこの大きさで文字がびっしり記されています。いかにも道路標識のようなこの標識、伊丹空港の中にある物の中では5番目には好きです。
大阪の街並みを見ながら離陸、上昇
離陸は08:22、先ほど着陸したのと同じRWY32Lからとなりました。伊丹空港着陸から離陸までは55分でした。たまには「逆ラン」ことRWY14Rからの離陸も体験してみたいですが、こればかりは運に身を委ねるしかありません。
RWY32Lを離陸するとお決まりの左旋回で進路を一旦南にとります。進行方向左側からは大阪平野の景色がばっちり見ることができます。雲の切れ間から日光が差し込む薄明光線に照らされ、特に河川が目立ちますね。
写真中央にはいつ滋賀県民によってせき止められてもおかしくない淀川、その隣には淀川水系に含まれる神崎川、同じく猪名川、藻川が流れています。神崎川や猪名川は知っていたのですが、(特に後者は土手が伊丹空港の撮影スポットとなっているため有名ですね)藻川は今回調べて初めてその名を知りました。一旦猪名川から分かれながら、再び猪名川と合流するといいうなかなか面白い河川です。特に猪名川の旧河川というわけでもなく、共に最初から独立した川ということで、両者に挟まれた地域はまさに島の状態です。
近畿、中部地方上空を横断するフライトならではの光景
伊丹―仙台線のSIDはMINAC THREE DEPARTURE NAGOYA TRANSITION。伊丹空港離陸後は東北東に進路を採り、一路名古屋上空を目指します。離陸から6分で京都市の南上空を通過しました。空気がやや霞んでいるのと、雲に景色がやや遮られているのが残念ですが、特徴的な碁盤の目状の街並みの姿を見て取ることができました。
初めて京都を訪れたのは高校の修学旅行でのことでしたが、歴史的な建造物は実際に見てナンボの物であると実感しましたね。個人的におススメなのは三十三間堂、写真撮影が禁止ということもあり、実際に見ることの価値がより感じられる場所であるように思います。
08:35、名古屋上空を通過しました。ここから航空路Y88でTENRUポイントまで向かいました。写真中央にはかなり見えづらいですが、羽田発高松行きANA531便、A321の姿が見えています。こちらの高度が27,000feet、531便は22,000feetということで高度差5,000feet。結構下に見えますよね。
名古屋上空を飛行しているため、機内から名古屋の街並みを見ることはできません。代わりに写真右下の通り、航空自衛隊の岐阜基地が見えました。上空から見ると自衛隊の基地が併設されている名古屋空港と似たような雰囲気の岐阜基地、時々両者を混同してしまうのですが、すぐ脇に山があるのが岐阜基地です。
「ご当地プレーン」として活躍するJA710A
今回搭乗のJA710Aをもって、ANAの777-200/200ER全機への搭乗を果たすことになると冒頭でお伝えしましたが、正直特別塗装機でもない限り、機内の内装は一緒。強いて言うならば、機内のモニターに表示されるマップに若干の違いを見出すことができるくらいです。
しかしながら、ANAの777では一部機材が「ご当地プレーン」として活躍しており、まさにこのJA710A号機はそのうちの1機となっています。JA710Aが広報活動を展開しているのは鹿児島県東部にある肝付町。鹿児島県へは鹿児島空港へ1度訪れたのみの私にとって、名前は聞いたことはあるものの、勿論訪れたことがない自治体ですので、じっくり読んでみました。
早速目に入ったのは「ロケットのまち」という表記。国内のロケット発射場と言えば、同じく鹿児島県の種子島が有名ですが、こちらにあるロケット発射場も長い歴史を持つ発射場なのだそうです。そして、鹿児島県と言えば、食の宝庫。鹿児島黒牛に海老、柑橘類など何でも揃っています。朝食がまだだったのでかなりそそられました。
因みにこのリーフレットの紹介ですが、伊丹空港で離陸を待機している間にCAさんから紹介されていました。離陸前の時間帯は、Wi-Fiに接続することができないため、正直やることがありません。生意気ながら大変お上手な紹介であると感心しました。
両サイドの景色をおさえたいフライト中盤
08:42、TENRUポイントで左に旋回。続いて航空路Y15で進路を北東に向けました。丁度窓からは諏訪湖の様子が見えています。諏訪湖と言えば、断層がずれた窪地に水が溜まってできる断層湖として有名です。丁度この付近は糸魚川ー静岡構造線が位置している地域でもあり、その断層活動の結果生じたのがこの諏訪湖というわけです。
08:41にはコックピットからアナウンスが入りました。「巡航高度は27,000feet…」とだけ伝えられたのち、アナウンスが切れてしまいました。え、これだけですか??と不思議に思っていると左に旋回。旋回し終えてから再びアナウンスが再開となりました。高度だけ伝えられて終わるアナウンスはなかなか経験できません。割とレアな状況に遭遇しました。
その後の「ちゃんとした」アナウンスによると、到着予定時刻が9:15~9:20、到着スポット4番、目的地天候は晴れの4度、左手には諏訪湖、右手には富士山が見えていることが伝えられました。
富士山が見えるということでしたので、右側の窓に富士山を見に行きました。1本前のフライトで見たばかりですが、北側から見ると逆光になるため、見え方が異なります。成層火山の代表例に挙げられるのも富士山の特徴の一つではありますが、シルエットだけでも富士山であるとわかるその姿は流石の一言に尽きます。
主翼に書かれた「JA710A」の文字も辛うじて識別可能、何よりの搭乗の証となりました。
上の富士山の写真は、R3ドア付近の31Kの窓から撮影したのですが、そこから機内前方はこのような感じ。ところどころ他の方の頭部が見えていますが、基本的にガラガラ中のガラガラ、まさに空席だらけです。
満席近い混雑の777運航便は少々うんざりしてしまいますが、空席だらけの777運航便は、広々として開放感があり、まさに天国です。もっとも、ANAHDの経営陣の方にとっては地獄のような状況ですが…(笑)
東北南部の景色もくまなく堪能
08:56、飛行機は巡航高度の27,000feetから降下を開始しました。それから数分で福島県の磐梯山とその西側に広がる会津盆地の様子が見え始めました。
09:00、福島県猪苗代湖の北にあるINAWAポイントを通過しました。この付近では天候が良ければ、特徴的な形の吾妻小富士を見ることができます。
09:04、飛行機は福島市上空を通過しました。この付近でベルトサイン点灯、着陸態勢に入りました。
さらに降下しながら進路を北東にとると、続いて宮城県丸森町付近上空を通過しました。写真中央に写っているのは阿武隈川。その左側に広がるのが丸森町の中心部です。一見何事も無いように見えるこの丸森町ですが、10月の台風により洪水が発生、大きな被害が生じてしまった地域でもあります。写真下部の農地をよく見ると、何となく、河川が氾濫した跡のようなものが見えます。2019年は、豪雨や台風による災害が相次ぎ、この丸森町だけでなく、千葉県などでも、その爪痕を上空から見るという機会がありました。
飛行機から見る景色から学び取ることができるものは多いですが、特に、自然災害の跡を見ると、防災、減災への意識が自ず高められます。
仙台国際空港へ
09:15、仙台空港RWY27に着陸しました。飛行時間は53分でした。仙台空港に777で着陸するのはこれが初めてとなりました。
前日の14時半過ぎに仙台駅を出発して約18時間半ぶりに仙台へと戻ってきました。仙台ー東京ー秋田ー東京ー大阪ー仙台と、約2,300kmの移動となりました。東京を拠点に活動ができれば、東京と秋田の往復で済みましたので、やはり航空系の趣味は東京ベースに限りますね。
09:19、仙台空港4番スポットに到着しました。ブロックタイムは1時間12分でした。
羽田線が存在しない仙台空港にとって、777クラスの大型機は毎年この時期のみの運航となっています。仙台空港にも複数のL2ドア対応ボーディングブリッジが存在していますが、777運航便に搭乗しなければ利用することができません。しかしながら、生憎今回は座席が7AということでL2ドアからの降機は叶わず、L1ドアからの降機となりました。またの機会に…と言いたいところですが、この先仙台空港発着便への搭乗機会が殆ど存在しないことが予想される上、今回も座席は選び放題でしたので、機会損失です。
今回は預けた荷物も特にないため、すぐに制限エリア内から脱出しました。9時代の仙台空港到着便は、我がANA731便を含め8便。出発地も新千歳から福岡まで全国の主要空港に広がっています。到着ラッシュが続くということは、1時間後には出発ラッシュの時間帯を迎えます。せっかくなので、久々に仙台空港で撮影をすることにしました。
今回はここまでにします。最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント