満を持して鹿児島へ向かいます
陸路で大阪や東京と言った大都市へ向かうのに時間がかかる九州地方では、古くから旺盛な航空需要がありました。1970年代から進められた日本の地方空港のジェット化も、九州の空港の整備が一早く行われていることからもそれが如実に表れています。
「大きな地方空港がたくさんある」
小学生の頃から私の九州に対する認識はこれでした。閑散期でも羽田線には777や747と言った大型機がアサインされ、大阪線や名古屋線などにもワイドボディー機が入るという状況はやはり魅力的でした。その中でも特に他を圧倒していたのは、鹿児島空港です。
九州の最南端という地理的条件から、陸路に対する空路のアドバンテージが他の空港よりも高いだけではなく、離島への玄関口としての顔を併せ持つ鹿児島空港、豊富なトラフィックに大小様々な飛行機が飛び交うということでいつか行ってみたい空港の1つでした。2012年に一度訪問の計画を企てましたが、諸事情により断念。それから6年経った2018年に再びチャンスが巡ってきました。
2018年8月2日、真夏の鹿児島へいざ出発です。
本当は777で行きたかったんですけどね(笑)
記念すべき初めての鹿児島訪問、はじめが肝心と言うことで、ANAの777に乗っていきます!と言いたいところ、というか、当初は、羽田→鹿児島を777、鹿児島→羽田を767で予約していたのですが、往路が767に変更となってしまいました。散々大型機×鹿児島への憧れが~と言っておきながら767どまりと言うのは企画倒れも甚だしいので、大きく日程まで変更し、往路767、復路777に落ち着かせました。
777で華々しく鹿児島デビューを飾ることは叶いませんが、2009年のモヒカンジェット就航時には初日の就航先に選ばれたりと、767とも縁の深い鹿児島空港、一先ずこれでヨシとしました。
今回搭乗するのは、ANA619便。6:40に出発するANAの羽田ー鹿児島線の始発便です。6時台の羽田発便はANA985便で散々鍛えましたので、正直ヘッチャラです。余裕のよっちゃんで羽田空港へ到着し、早速制限エリアへと向かいました。
今回の鹿児島行きは、新千歳ー羽田線と乗継運賃で購入しており、新千歳ー羽田ー鹿児島と7月31日のうちに移動する予定だったのですが、東日本から西日本へ西進し、南九州でウロウロしていた台風の影響で鹿児島空港発着便が振替対象となったので、天候が回復していそうな2日後くらいに便を変更。空いていた619便への搭乗となりました。
なお、事前に指定していた座席が一度キャンセルされており再度指定することになったのですが、早朝便ということでまだまだ座席に余裕があったのか元々指定していた座席に再度落ちつくことになったのは良かったです。
カウンターでの手続きやらなんやかんやで時間を要し、気づけば時間は6:25。出発時刻は6:40かつバスゲートなのでやや小走りでゲートへ向かいましたが、まだ搭乗は始まっていないようでベンチに座って待っていました。
しばらくすると出発時刻が619便よりも遅い便の搭乗が次々に進んでいく中、出発が7:00に遅れるとアナウンスが入りました。せっかく走ってきたのに…と思うのもつかの間、まあ大体世の中こんなもんかと考え直すことにしました。
767が近い!近いぞ!!
6:40頃より搭乗が開始となりバスで飛行機へと向かいました。
バスの運転席横の画面には、搭乗機とスポットナンバーが表示されており、今回は「ship677/spot404」と出ていました。つまるところ搭乗機はBoeing 767-381、JA8677。スポットは404番ということですね。
ボーディングステーションでは無いスポットということで、また羽田空港で最も「アツい」ボーディングステーションの利用はお預けっすか、と思っていると404番スポットでは屋根なしタラップ車がスタンバイしていました。
これならボーディングステーションよりもウン十倍も価値がある!!とバスを降りて暫く767を間近で舐めまわすように見た後、列に加わってタラップを上がっていきました。
タラップの途中からも1枚撮ってみました。普段遠くから見ることに慣れていると、あまり大きさを感じられない767ですが、この距離から見る767はなにか別の物を見ているようでした。デッキから見るとあんなに小さく見える胴体のANAロゴも、屋根なしのタラップ車からはべらぼうに大きく見えます。
控えめに言って最高ですね。天気のいい日は毎回これでお願いしたいです(笑)
6:52、搭乗。今回の座席は普通席進行方向右側の窓側最後尾の41Kです。
JA8677でこの座席といえば2017年末に搭乗した際に「秋田空港視界不良で降りられず、羽田空港へ引き返した時に座っていた」という曰く付きのある席であるのですが、その時のCAさんには大変よくしていただいたので、ネガティブなイメージが付いている席ではありません。今回は鹿児島空港での撮影の時間が減ってしまうので、できることであれば1発で降りていたただきたいのですが…(笑)
30分遅れで出発です
定刻を17分過ぎた6:57にドアが閉まり、7:06にプッシュバックが始まりました。
朝の出発便、トーイング機で混雑する羽田空港を北から南へ移動しD滑走路へと向かいます。この時間帯であればエンジンを外されて飛ぶことができない787だけでなく、他の飛行機もまだオープンスポットでスヤスヤと睡眠をしているでしょうから、787も幾分気が楽なのではないでしょうか。
E誘導路でD滑走路の島に渡りD誘導路を経由してD2誘導路から滑走路へ入りました。
隣のS誘導路ではJALの767が並走してきていました。観光庁が定めている訪日観光客向けのキャッチフレーズている「Japan. Endless Discovery」のロゴがつけられていることからもわかるように、この767は国際線機材、だったのですが、ロゴはそのままに国内線仕様機へと転用して活躍しています。
個人的にはこの桜のデザインが好きだったのでずっとこのままでいいと思っていたのですが、このようなことを思っているとロゴが剥がされてしまうんですよね。この半年後に通常塗装へと戻されてしまったようです。因みにこのロゴ、「梅干し」って呼ばれてましたよね。梅干しも好きです。
7:20、羽田空港RWY05から離陸しました。滑走路の真ん中、1250mを示す線付近でエアボーン。離陸後すぐに右旋回して東京湾上空を上昇します。
後続は先ほどの梅干し君だったようで、すぐ後を追って離陸して来た様子を見ることができました。
フライト序盤はお馴染みの光景
7:26、離陸後しばらくして三浦半島上空を横切ります。羽田空港は霞みがかってあまりよく見えなかったのですが、横浜の街並みはよく見ることができました。土地勘のある場所を低い高度から見下ろすと景色を一層楽しむことができて良いですね。
この付近で早くもベルトサインが消灯しました。離陸前に8:40の到着予定とアナウンスがありましたので、あと1時間ちょっとの飛行時間があるようです。九州最南端とはいいつつ飛行機にかかれば福岡も鹿児島も大して変わらないというのが実際のところです。(羽田空港からの区間マイルは、鹿児島線よりも長崎線のほうが長かったりします)
8月のANAオーディオプログラムでは、7chでサザンオールスターズが特集されていました。湘南海岸を見ながら聴くサザン、風情があってよかったです。
などと言いつつ写真は富士山。夏らしく「白くない」富士山ということで、どちらかというとこの姿の富士山の方が珍しいと思います。富士山の雪が殆ど見えなくなるのは例年6月頃、そして10月には初冠雪が記録されますから、1年のうちの約1/3しか見ることができない状態と言えます。
この付近を通過したあたりからコトコト揺れが続きました。
7:40、愛知県渥美半島上空付近で進路を南西にとるべく左旋回しました。今回は名古屋付近までくっきりと見ることができ、すっかり見入ってしまいました。
この路線の前半は、羽田ー那覇線と同じ航路を取るので、フライト序盤は見慣れた光景が続いていきます。
見慣れない景色が見え始めました
個人的に楽しみにしていたのは、フライト後半の機内からの景色。那覇線よりも本州、四国寄りを飛行するため、太平洋に面した各地の様子を見ることができると踏んでいたのです。
7:55、紀伊半島西部、和歌山県白浜町上空付近を通過しました。大きく太平洋側にせり出した紀伊半島、トレードマークとも言えるリアス式海岸はこの付近でも健在です。
写真下部左側には、南紀白浜空港の滑走路も写っています。よく見ると1996年まで供用されていた旧滑走路の姿も見えるので探してみてください。南紀白浜空港はあいにくANAが就航していない空港ですのでなかなか行く機会に恵まれません。名勝地でもあるので旅行好きの方、誰か連れて行ってください。
8:02、高知県室戸岬の南上空を通過しました。ここまで綺麗に室戸岬を見たのは初めてでした。鋭利に尖った室戸岬、地理クラスタにとっては、海岸段丘の例の1つであるということで1時間以上は語ることができる場所ですよね。
この付近でキャプテンアナウンスが入り、今日の遅延の理由やら降下中は揺れるやら情報が伝えられました。なお、今回の遅延の大元の理由は使用機材が変更になったことなんだそうです。もともとWi-Fi未装備の機材であることには変わりなかったのですが、当初の予定機材が気になりますね。
JA8677には7回目の搭乗でした
フライトも終盤に差し掛かり、ラバトリーついでに機体後方からキャビンショットを撮影しました。
冒頭でも記したように早朝便と言うことで機体後方の座席は中央の3列並びの座席を中心に空席が目立っていました。私の隣である41Hも空席と言うことで通路にも簡単に出ることができました。
なお、今回でこのJA8677へは7回目の搭乗となりました。高校の修学旅行や大学受験帰り、初めてのダイバートを経験するなど個人的にはかなり思い出がある機体です。普通席の座席はトヨタ紡織製の新シートに交換されていますが、オーバーヘッドビンの形状などは変わらず「元祖767」の姿を保っているのがいいですよね。
フライトもいよいよ終盤です
8:12、巡航高度の40,000feetから降下が始まりました。いよいよフライトも終盤です。
九州東部、日向灘上空を降下中の機内からは、先ほどまで殆ど雲がなかった景色から打って変わり、入ったら揺れに襲われそうな雲がひしめき合っている様子が見えました。キャプテンアナウンスでも降下中は雨雲の影響で揺れる予想と伝えられました。これを見たらうなづくしかありません。
8:22、ベルトサインが点灯し着陸態勢に入りました。モニターのルートマップには宮崎上空を飛行中と出ていましたが、圧倒的な雲配給の関係であまりよく見えませんでした。夏らしい雲、美味しそうですね()
8:30、ここまで可能な限り雲を避けて飛行してきましたが、とうとう雲の中に入ってしまいました。
上空が曇に覆われている鹿児島空港に雲につかまらず着陸するのは不可能、というわけで宮崎県のえびの市上空付近を通過したあたりから暫く雲の中の飛行が続きました。ただ、事前にアナウンスであったような強めの揺れは無く、平和にアプローチしていきました。
外の景色は見えませんでしたが、フラップが作動しているところから着陸が近いことは分かりました。「外が見えなかったら主翼を見ろ」テストには出ませんが、常識として持ち合わせておいた方が良いと思います。
待ちに待った鹿児島着
雲を抜けると既に飛行機は鹿児島空港のRWY16へ機首を向けていたようで、モニターでも機外カメラが鹿児島空港の滑走路を映し出している様子が見えました。ここは既に鹿児島空港が所在する鹿児島県霧島市の上空、写真の下部にある車通りがやや多い道路が福岡から鹿児島までを結ぶ九州自動車道です。
この付近は火山灰が降り積もって形成されたシラス台地で水はけが良いことから稲作などには向いていません。写真に写っている緑の耕作地も戦後の灌漑事業によって新たに可能となった茶畑として利用されているのでしょう。
鹿児島空港の標高は271mと日本の空港の中では高い部類に入るわけですが、意外と空港の傍にも農地や宅地が整備されており、同じように標高が300m級の広島空港の周辺とはまた異なった印象を受けました。
8:36、鹿児島空港RWY16に着陸しました。飛行時間は1時間16分でした。鹿児島空港初上陸です。
この時間帯はANA、JAL、その他航空会社含め日本の主要都市からの便が集中しているのか、着陸早々スポットは様々な飛行機が駐機している姿が見えました。九州2番目かつ地方空港の中では最も利用者数の多い空港であることを実感しました。
T3誘導路で滑走路をバケートし、短いタキシングを経て、8:39に6番スポットへ入りました。ブロックタイムは1時間34分でした。出発準備で出発時刻は25分遅れましたが到着時刻は遅れを19分に縮めての到着となりました。さすが我らがB6です。
最後方の座席に座っていると降りるのも最後です。特に急いでもいなかったので最後の方に降機したわけですが、それでも到着後5分で到着ロビーへとやってきました。
到着便案内板にはANA、JAL、JAC、SKY、SNAと様々なエアラインのロゴが表示されている他、出発地も東京や大阪と言った主要都市から離島に至るまでこちらもバリエーションが非常に豊かです。いや~もっと早く来ていればよかったですね…到着早々後悔の念に駆られるとは思いませんでした。
初めて来る空港ですので、まずは空港の外に出てターミナルを撮影しようと外へ出たのですが、ターミナルビルのこれはこれは大きいこと!
さすがにターミナルビルの大きさまで調べる気にはなりませんが、白が膨張色であることを除いてもこれは大きく感じます。黒塗りの()コンフォートもターミナル前に何台も並べることができそうです(笑)
この後は言うまでもなくデッキへ向かい、撮影業務に勤しんだのでした。
最後に
泣く子も黙る高需要ローカル線、羽田ー鹿児島線の搭乗記でした。
7回もお世話になった767に身を任せ、屋根なしのタラップからの搭乗に始まり、これまであまり上空から見ることがなかった景色を堪能し、鹿児島空港のトラフィックの多さをいきなり肌で感じるという終始楽しいフライトとなりました。
またお天気の日に乗りに行きたい路線の1つですね。最後までお読みいただきありがとうございました。
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