ANA93便 羽田ー関西線搭乗記 「CLUB ANA Asia」で快適FLT(2017年4月15日)

搭乗記2017

羽田ー関西線、ニッチな楽しみ方

24時間運用が可能な空港としての羽田ー伊丹線を補完する役割と、泉南地域や和歌山から東京までの最短の移動手段としての役割がある羽田ー関西線。

もはやこの界隈では、「ニッチ」とは言えないかもしれませんが、この路線のもう1つの役割、いや楽しみ方として「国際線機材へ乗る」ことがあります。関西空港を発着する国際線、その機材を羽田空港から送り込む(またその逆)の運用が、この路線には存在するのです。

国際線機材はその活躍の場の特性上、国内線機材とは内装が大きく異なります。そんな羽田ー関西線での国際線機材利用、今回はANAの「国際線機材」のBoeing 767をチョイスしてみました。

出発前から感じる「関西空港」

2017年4月15日、土曜日。羽田空港は第2ターミナルへやってきました。

今回搭乗するのは、ANA93便関西国際空港行き。かつては6時台に始発便が設定されていたANAの羽田ー関西線ですが、2017年時点では、この便が始発となっていました。一時期は深夜早朝にこれでもかというレベルで便が設定されていた路線ですが、適正な供給に落ち着いた感がありますね。

出発便案内板の一番上に表示されているANA93便、便名にはSC206との表示が出ています。中国の山東航空とのコードシェア便のようです。中国との路線が充実している関西空港らしさを出発前から感じることになりました。

出発時刻の20分前に保安検査場を通過し、73番搭乗口へ向かいました。当時はまだ保安検査場の通過締め切り時刻が出発時刻の15分前でしたのでまだセーフですが、現在は完全に遅刻扱いとなってしまうので注意してください

73番搭乗口は、第2ターミナルの南側、H誘導路に面したところに位置しています。搭乗口から綺麗に飛行機の写真を撮ることができるのがメリットですが、国際線エリアとなってしまった現在どうなっているのか気になります。

今回の搭乗機は、Boeing 767-381ER(JA612A)。777のレドームを付けているため、塗装がずれています(笑)

現在はエアドゥに移籍しているこの767ですが、当時はANAの国際線機材として活躍していました。機内仕様はビジネスクラス35席、エコノミークラス179席の214席。国内線運航時は全席が普通席として販売されます。

保安検査場の通過がギリギリでしたので、すでに搭乗が始まっていました。

行き先に大きく書かれた「関西」の文字。「これから関西行ってくる」と誰かに伝えても、「関西のどこ?」と返ってくるのがオチだと思います。関西国際空港が正式名称ですのでフォーマルな場で「関西」と表示するのは大正解ではあるのですが、やっぱり「関空」の方が伝わりますよね。この通称?愛称?を言い始めた方、すごいと思います。

南周りで滑走路へ向かいます

飛行機へと乗り込み待つこと10分、定刻1分前の7:09にドアが閉まり、7:12にプッシュバックとなりました。機首を西へ向けて押し出されます。

隣の72番スポットにも767の姿がありますが、あちらは国内線仕様の767-300、かたやこちらは太平洋横断もヘッチャラの国際線仕様機です。「似て非なる」とはまさにこのことですね。

管制からタキシングの許可が下りたようで、滑走路へ向けて移動開始です。その指示をこちらへ出している管制塔がよく見えました。

あまりこのアングルで羽田空港の管制塔を見る機会がないのでかなり新鮮でしたね。手前側の高い管制塔が、現在メインで使用されているもの。管制塔が空港を象徴する建築物ですので、かつては奥に見える旧管制塔が「THE 羽田」という認識だったのですが、その役割もすっかり現管制塔が担うようになったように思います。

そして、第1ターミナルの南側を通過します。この光景もやはり新鮮です。鶴だらけの尾翼が集う光景、なんだかシュールに見えてきてしまいます(笑)

1993年に開業したこの第1ターミナル、当初はANA、JAL、JASの3社で1つのターミナルを使用していました。それ以前に使用されていたターミナルと比較するとボーディングブリッジの数が飛躍的に増加し、当時としてはかなりエポックメイキングだったようですが、それでも地方路線や中型機以下の便を中心にバス搭乗の便がかなり残っていました。

737クラスの運航便でボーディングブリッジ接続などレアキャラ中のレアキャラだったのですが、今はこうして737でも堂々とターミナルの脇に翼を休めることができています。

大量の鶴丸を横目にいそいそと滑走路へ向かう我が767、A10誘導路からRWY16Rへと入りました。3,000mの長さがあるこの滑走路ですが、末端付近でB滑走路と交差しているため、大抵の場合は途中の誘導路から滑走路に入り離陸してしまいます。

この界隈ではお馴染みの「ぼくは航空管制官」では、初期のシリーズを中心に滑走路と迎合する誘導路を選択できず、必ず滑走路の末端から離陸するように設定されていたのですが、実際の運用では殆ど見たことがありません…

関空へヨーイドン!

7:25、離陸しました。ただでさえ離陸性能が良く「どっかん上がり」と称される767の離陸ですが、今回搭乗しているのは国際線仕様の767-300ER、国内線仕様機よりも推力の大きなCF6-80C2B6Fエンジンを装備しているため、心なしかパワフルさが違ったような気がします。

大阪まで飛ぶだけですので、燃料も貨物も大して積んでいなかったのか、どっかん上がりの要素がぎっしり詰まった離陸、良かったです。

離陸後しばらくで右に旋回、出発方式はJYOGA Departureということで三浦半島の西にあるJYOGAポイントを目指します。

若干霞みがかっている空ですが、景色を見渡すのには十分な天気、つい1時間半ほど前に出てきた横浜の街並みを見ながら上昇していきます。

因みにこの日は、北朝鮮からミサイルが発射されるのではないかと言うXデーと言われていました。冷静に考えてみれば、ミサイルを都心にぶっ放すということは考えにくいのですが、「何をするのが分からない」「常人の思考をそのまま当てはめて良いのか分からない」というのがあの国の怖いところでもあります。心のどこかで、今の東京の風景もこれで見納めか…と考えてしまう自分がいました。

離陸後7分で、神奈川県平塚市が見えてきました。中央を流れるのは相模川で、河口付近にはそれにかかる国道134号の湘南大橋も見えています。毎年1月に開催される箱根駅伝のコースにもなっている橋です。

この付近は3区の終盤、東京からですと3時間ほど時間がかかる場所ではありますが、飛行機にかかれば東京から10分も経たずにやって来ることができます。

毎回恒例富士山鑑賞

離陸から10分で富士山が見えてきました。せっかくなのでJA6xxAで登録されている767-300ERの特徴でもある「丸みのある窓枠」を入れて撮ってみました。

ANAの767-300は1987年から2012年まで、25年間に渡って導入が続けられたため、ところどころ内装に差が生じています。特に、2002年以降に導入された767-300ERは、丸みを帯びたオーバーヘッドビンに777のような窓枠で、昭和感が若干残る初期導入機とは異なる雰囲気があります

頂上付近が雲に覆われた富士山、笠雲(かさぐも)と呼ばれる気象現象のようです。

上空の風が強い

・湿った空気が存在する

この2つの条件が揃うと発生するようです。(富士山に「笠雲」出現 天気が崩れる予兆 ウェザーニューズより)天気はさておき、ちょこんと乗っかった雲はなんだか可愛らしいですね。

CLUB ANA Asia 

ここまで今回の座席について触れてきませんでしたが、今回はこの席に身を任せてフライトしています。

2002年にデビューしたビジネスクラスシート「CLUB ANA Asia」です。

この座席は、2002年の成田空港B滑走路運用開始に伴う発着枠増加に伴う、アジア路線を拡充するために導入された767-300ERに合わせてデビューしました。2010年以降は、中距離国際線向けに新たなビジネスクラス「ANA BUSINESS CRADLE」が登場し、この座席を装備した787によって767がリプレースされているため、「CLUB ANA Asia」もその数を減らしつつありました。

関西発着の国際線では比較的最後まで残っており、今回はその間合い運用を狙っての搭乗となりました。

何と言ってもこの座席の特徴は、電動リクライニングにあります。今となっては当たり前の装備である電動リクライニングも、2002年当時では革新的なアイテムでした。様々なポジションをボタン1つで簡単に動かすことができるのは、今の座席とそん色のない機能を有していると言えますね。

国内線のプレミアムクラスには、まだまだ手動リクライニングの座席が主流ですので、この点はこちらに軍配が上がりそうです。

2-1-2の5アブレスト、7列がビジネスクラスの区画となっているこの767。2002年に増備される前の767-300ERのビジネスクラスは2-2-2の6アブレストでしたので、快適性が高まったことも導入当初は売りになっていたようです。

シートピッチにもかなり余裕があり、前の座席の下に入れた荷物を取り出すのも一苦労です。プレミアムクラスの座席などでは、この場所に荷物を置くことができないタイプの物もありますので、その点もこちら座席に軍配が上がりそうです。

結論:プレミアムクラスよりも多少くたびれている「CLUB ANA Asia」の方がいい

参考資料:ANAプレスリリース 2002年5月31日 「B767-300ER新機材が登場!!中国などのアジア路線に順次就航します!

関空が見えてきました

そうこうしているうちに飛行機はあっと言う間に伊勢湾上空を通過し、近畿地方上空へと入りました。

伊丹空港へ向かう場合は、奈良県上空にあるOHDAIポイントから右へと旋回しますが、今回の目的地は大阪府南部の関西空港ですので、和歌山市上空を目指して飛行します。暫くすると、遠目に関西空港が見えてきました。あっという間の東阪間、本当にすぐに着いてしまいます。

8:11、和歌山県の県庁所在地である和歌山市上空を通過しました。当時はまだ陸路で和歌山県に足を踏み入れたことがなかったので、初めて街の様子を見ることになりました。

中心に写っているのは、和歌山城。1585年に羽柴秀吉が弟に命じて建立されたのがその始まりのようです。大阪との境目に近い和歌山市、かつての大阪Baseであった秀吉の影響はしっかり効いていたようです。(史跡 和歌山城 より)

和歌山上空を通過すると、一旦大阪湾の沖合に出ました。その後見えてきたのは兵庫県の淡路島。地図で見てもそれなりに大きな淡路島、低い高度で通過していることもあり、「島」感が全く出ていない写真が撮れました。

写真をパッと見ると、農地の周囲にため池が点在しているのが目立ちます。淡路島は、降水量が比較的少ない「瀬戸内式気候」に区分され、農業用ため池が存在しているのだそうです。最後の最後に地理のお勉強までさせてくれる羽田ー関西線、伊丹線以上に学習効果がありそうです()

関空に着弾しました

8:32、関西国際空港B滑走路、RWY24Rに着陸しました。飛行時間は1時間7分でした。着陸滑走路によっては、大阪湾をぐるりと回って着陸するため、伊丹線よりも所要時間がかかってしまうのがややネックです。

今回着陸したB滑走路は、2007年に運用が始まりました。全長は4,000mあり、この運用によって関西空港は3,500mのA滑走路と合わせて4,000m級の滑走路を2本有することになりました。当時成田空港のB滑走路はまだ2,180mの暫定供用状態でしたので、滑走路の規模だけで見ると成田空港を凌ぐ規模の空港となったことになります

私が初めて関西空港に降りたのはその2年後のことでした。当時はまだ「関空のB滑走路」がほっとなワードでしたので、こちらに降りることを願っていたのですが、A滑走路に振られてしまいました。当時はB滑走路への着陸を熱望していましたが、それから8年経ち、B滑走路愛はすっかり薄れてしまいました(笑)やはり到着のターミナル最寄りの滑走路が一番です

B7誘導路で滑走路をバケートした飛行機は、第1ターミナルへ向けて移動します。B滑走路と同じ、第二期島にあるフェデックスの基地を横目に、タキシングを進めます。

AIS JAPAN より引用(一部加筆)

個人的に関西空港の誘導路についてはあまり詳しくないため、今回のタキシングルートを赤線で示してみました。「く」の字というか、「U」の字にぐるりと回ってターミナルまで移動したことが分かります。

1から埋め立て、綺麗に造成された空港だけありますので、誘導路の配置も整っていれば、タキシングルートも整っています。見ていて気持ちがいいですね。

8:39、16番スポットに到着しました。ブロックタイムは1時間27分でした。なんだかんだで14分も遅れてしまったようですが、初めての「CLUB ANA Asia」シートでのフライトでしたので、むしろ多少遅れてもらった方が良かったかもしれませんね(笑)

国内線のエリアは比較的空いている時間帯ということで、スムーズに降機、到着ロビーへ出ました。今回搭乗したANA93便、どうやら6社コードシェアでの運航だったようです。

やっぱりさすが、関空線ですね(笑)

最後に

約20年前に登場した「CLUB ANA Asia」。既にこのシートを搭載した飛行機は、内装の改修により他のシートを積んで活躍していますが、国内線の上級クラスであれば、まだまだ十分活躍できるように感じました。

2000年頃に登場したANAのシートは、同社のコープレートカラーである「青」を前面に押し出した配色でデビューしており、「CLUB ANA Asia」に限らず、長距離仕様のビジネスクラスであった「NewStyle, CLUB ANA」やエコノミークラスに至るまで、機内を青く染め上げていました。

当時の名残がまだ国内線で活躍する777-300や777-200の一部で脈々と受け継がれていますので、これらの飛行機に乗った際には、ANAのビジネスクラスの愛称であった「CLUB ANA」の名前も思い出してみるといいのではないかと思います

最後までお読みいただきありがとうございました。

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