ANA788便 大館能代ー羽田線搭乗記 祝!1日3往復化! 大館能代ー羽田線に乗ってみよう②(2017年3月2日)

搭乗記2017

もう4年ほど前の搭乗記となってしまいましたが、大館能代ー羽田線が増便されるということでこの機会を逃すまいと色々思い出しながら書き連ねました。

まずは陸路で北秋田市へ

今回は、秋田空港の方が圧倒的に近い秋田市内から、一旦大館能代空港まで一旦北上し、羽田空港へ向かうという行程です。とある運賃が安く発売されていたので、欲に負けて「大館能代発券」してしまいました(笑)

秋田市から大館能代空港までは、公共交通機関を乗り継ぐか、自動車で向かうかの2択がありますが、今回は、鉄道とバスを乗り継いで向かうことにしました。JR奥羽本線の土崎駅から普通列車で鷹ノ巣駅まで移動、その後空港リムジンバスで空港へと移動するという段取りです。

普通列車に揺られること1時間半、北秋田市の玄関口である、JR鷹ノ巣駅へやってきました。「たかのす」駅は、JRと秋田内陸縦貫鉄道の2社が乗り入れており、観光の拠点となっています。因みに、平仮名で「たかのす」と表記しているのにはしっかり理由があり、前者は、「鷹ノ巣駅」、後者は「鷹巣駅」と漢字表記が異なっているのです。

秋田と青森の間を結ぶ特急「つがる」も停車する駅ではありますが、心なしか駅前は閑散としています。平日の午前中という時間も影響しているとは思いますが、人口一桁万人の地方都市の中心駅の厳しい現状を見た気がします。

駅からまっすぐに伸びるメインストリート、であっているとは思いますが、立派なアーケードが設置された駅前の商店街も、ご覧の通りシャッターが閉まっている様子が目立ちます。鷹巣地区にも、ここから車でそう遠くない距離に郊外型のモールがあり、そちらの方に需要が流れてしまっているのは想像に難くありません。

大館能代空港行のリムジンバスは、鷹ノ巣駅前から出発するのですが、まだ時間に余裕があったため、足を延ばして北秋田市役所までやってきました。

この学校の校舎らしさがムンムン漂うのが、北秋田市役所です。北秋田市は、2005年に当時の鷹巣町、阿仁町、森吉町、合川町の4町が合併して誕生しました。この建物は、かつて鷹巣町役場として使用されていたもので、現在は市役所としてそのまま活用されています。

秋田県は、平成の大合併により、69あった市町村が、25にまで減らされ、合併が顕著に進んだ県となっています。1つの市町村の面積もその分大きくなり、北秋田市は現在秋田県で2番目に大きな自治体となっています。

ようやく大館能代空港へ

話がだいぶ脱線しましたが、リムジンバスで大館能代空港まで運んでもらいました。

まずは外観から。小さくて可愛いです(褒めてます)

一応「大館能代空港」と掲げられているため、空港であることが一目瞭然ですが、このサインが無ければ、大型体育館併設のコミュニティーセンターと言っても7割くらいの人は疑うこともなくスルーしてしまいそうな気がします。(笑)

因みに、こちらの空港、かつては「あきた北空港」という愛称が多用されており、ターミナルにも「大館能代」と上に小さく書かれた下に、大きく「あきた北空港」というサインが掲げられていました。(かつての写真は、Google先生などで検索してみてください)

いつからか現在のような形に変更されたようで、空港側としても、語弊を生む愛称の仕様をなるべく避けたいという思惑を持っているように感じられてなりません。

ターミナルの中へ入り、2階の出発ロビーへ向かうと、現役で活躍するパタパタの姿がありました。

誤解のないようにお伝えしますが、搭乗口の前ではなく、制限エリア外にある出発便全てを表示するパタパタです。1日2往復、羽田空港行のみ。これが大館能代空港です(笑)

かつては、伊丹線や新千歳線も就航していたのですが、後者は割と就航後まもなく、前者も2010年の年始を最後に運休となってしまいました。庄内空港や佐賀空港といった空路が強い地方空港でさえも、大阪線の維持は難しいという現状がありますので、況やをやと言ったところでしょうか。

地方空港は路線が全てではありません。もっと大事なのは、エンターテイメント性です()

というわけで、3階にある展望デッキへと向かいました。デッキの入口には、737-800の普通席が設置されています。見慣れたLECARO社製のシートに、夢ジェットのヘッドレストカバーがかけられています。現実には存在しないこの組み合わせ、すぐに気づくマニアは「おっ!!」となりますが、一般の方からのウケはいかほどなのか、気になります。

因みに、737-500全盛のころは、この場所にANK生え抜き機材のフカフカシートが展示されていました。あの頃はよかったですねw

外に出てエプロンを見渡します。

エプロンの脇には、タラップ車とリフトローダーが用意されていました。

「737しか来ない空港にリフトローダーなんて要らんやろ」と思ったそこのあなた!我らが大館能代空港を低く見積もってはいけません。大都会大館と大都会能代がバックに控える空港、Boeing 767も時々やって来る!とは言いませんが、Airbus A320/A321も時々飛来するため、必要十分な用意となっています。

現在でこそ羽田線しかないこの空港ですが、かつて就航していた伊丹線にもA320が投入されていたくらいですので、意外と長くこの場所で暮らしているのかもしれません。

搭乗機来ました。

デッキで待つこと30分、羽田空港からANA787便がやってきました。便名こそ炭素繊維の塊らしく聞こえますが、やってきたのはご存知Boeing 737-800です。

大館能代空港の滑走路は、RWY11-29方向、ほぼ東西に延びています。今回は東側のRWY29から着陸するようです。

大館能代空港のターミナルビルは、東西に整備された滑走路の北側に位置しているため、展望デッキから滑走路、エプロン方面を眺めると逆光になってしまうのが難点です。

それでもこじんまりとしている地方空港らしく、Boeing 737クラスの小型機でも大きく、頼もしく見ることができました。正面から737を見ると、エンジンが真円ではなく、ややおむすび型になっている様子もよく分かりますね。

おら、東京さいくだ

搭乗機の到着を見届け、制限エリアへと入りました。保安検査場を通過した先にあるこの出発ロビーもそれ相応の規模のスペースが確保されているのみですが、天井が1フロア上まで吹き抜けになっていることや、非制限エリアとの間が一部ガラスで仕切られていることから、窮屈感は特になく、明るく開放的なエリアとなっていました。

搭乗口の案内板もまだまだ「パタパタ」が現役。使用機到着遅れに伴い出発も1時間遅れとなるようです。

改札機の2次元バーコードをタッチする枠は、秋田犬で縁取られています

那覇空港では、シーサーの口がそのまま読み取り部になるようにデザインされていましたが、こちらは右上にちょこんと犬がスタンバイ。こちらの方が可愛らしさを感じられました。

Now Boarding

11:38、機内へと入りました。俗に言うナウボです。今回は、プレミアムクラスをアサインしました。

今回は、プレミアム旅割28(現:バリュープレミアム28)で、¥14,990で発券しています。2021年現在も、予約日によっては¥17,000程で購入できるようですが、当時は羽田ー秋田線よりも安くプレミアムクラスに乗ることができました。

2008年にスーパーシートプレミアムからのサービス一新で登場したこのプレミアムクラス。スーパーシートプレミアム時代は、767以上の大型機のみに設定されていた国内線の上級席ですが、プレミアムクラスは737-700/800やA320シリーズといった小型機にも設定されています。メインとなるターゲットはビジネス客ではありますが、ローカル線でもそのサービスをしっかり享受できるのがプレミアムクラスのメリットでもあります。

737-800のプレミアムクラスは2-2の4アブレストが2列で計8席。今回はその中でも2列目のK側席(進行方向右側)をアサインしました。窓からの眺めはこのような具合。

エンジンや主翼に視界を遮られることなく景色を堪能できる一方、それらを絡めた写真もおさえることができるということで、文句無しですね。あとは上空の天気が良いことを祈るのみです。

機内から見る大館能代空港

機内で搭乗完了を待つこと10分、11:44にドアが閉まりました。一時12:00に設定された出発時刻も10分早まったようで、11:46にはプッシュバックを始めました。

駐車場側からはあまり綺麗に見ることができなかった大館能代空港のターミナルビルを初めてまじまじと眺めることができました。ボーディングブリッジが辛うじて「空港らしさ」を保っていますが、これが無ければやはり先述の通り大型体育館併設のコミュニティーセンター感が漂いますよね(笑)

左側に見える送迎デッキにも人影がちらほら見えており、この点も地方空港感がむんむん漂います。

ターミナルビルの脇には管制塔がそびえています。色合いや高さが何となく地域の展望台のようで可愛らしいです。決してdisっているわけではないということだけは言い訳させてください。

なお、こちらの空港には、航空管制官やパイロットに空港の情報などを提供する航空管制運航情報官は配属されていません。仙台にあるフライトサービスセンター(FSC)がリモートで空港情報を提供する「リモート空港」なのです。

1日数便しか離発着がない空港を中心に存在する「リモート空港」。東北地方では、山形県の庄内空港が含まれるようです。

平行誘導路が無いとこうなります

グランドスタッフの方に見送られ、エプロンを後にした我が737は、一旦滑走路上へ出ると暫く滑走路をタキシング。離陸滑走路であるRWY29までやって来るとその付近に備え付けられている「ターニングパット」でくるりと方向転換します。

くるりんぱ(某芸人さんの声で)

と、滑走路に再び正対するといよいよ離陸です。滑走路が綺麗に除雪されているため、反対側の末端もくっきり見えているのがなかなか新鮮です。

ここでも離陸の判断はパイロットに任せられており、「Cleared for takeoff」というお決まりのフレーズのやり取りがなされることなく離陸することになります。

離陸の儀

11:54、聞き慣れたCFM56-7B24エンジンの音を聞きながら空へと舞い上がりました。

滑走路脇の純白の雪に737の影が綺麗に映りました。離陸直後の自機の影をここまで綺麗にみることはなかなかない経験ですよね。主翼から突き出たフラップのフェアリングなど、ディティールもしっかりとらえられているのがGoodです!

RWY29から西へ向かって離陸した飛行機からは、離陸後すぐに鷹巣の街並みを見渡すことができました。朝降り立ったJR鷹ノ巣駅も写真の中央やや左寄りに見えています。

その更に奥に見えている山々は世界自然遺産に登録されている白神山地。このゲートウェイとしての役割を果たす空港からも世界クラスの自然たちがお見送りしてくれます。

白神山地の更に奥には、青森県で人気を二分する(と勝手に思っている)岩木山の姿も見ることができました。

青森県の最高峰であるこの山は、その形のごとく成層火山です。独立した山であるため、山頂からの眺めも抜群に良いとのこと。インスタグラムなどで是非検索してみてください。

秋田県沿岸地域が丸見えです!

大館能代空港から見て今回の目的地である東京は南にあります。いつまでも西に飛行していては一向に到着しませんので、左に旋回して一先ず秋田上空を目指します。

続いて見えてきたのは、日本で2番目に大きかった湖、八郎潟を干拓してできた大潟村です。大規模なコメの生産を目標に干拓されたこの村、1964年から入植がはじまりましたが、その後の減反政策によりコメの生産がそこまで求められなくなったことも関連し、畑作が行われている農地もあるようです。

3月上旬ということで雪に覆われている大潟村ですが、山がないため、秋田県内では唯一「なだれ注意報」が発令されない自治体でもあります。

そんな大潟村に殆どを持っていかれてしまった八郎潟ですが、その一部は今でも残されています。

「八郎潟残存湖」や「八郎潟調整池」、「八朗湖」と呼ばれるこの湖ですが、今でも漁業がおこなわれており、湖畔の地域では船が係留されている様子も見ることができます。もっともここまで湖面が真っ白ですと船を出して釣りをするといったことは難しそうですが…

そこから南進すること1分、今朝出てきた秋田市が見えてきました。

人口30万人を誇る、本州日本海側最北の大都会ということで、建物の密集っぷりは北秋田市のそれとは段違いです。地上から見ると「大したことない街」なのですが、上空から見るとやはり都会チックに見えるものです。

秋田市の東部上空から秋田市中心部のほぼ全域を見渡します。この写真を縦にするともはやGoogle Mapsの出番さえもありません(大げさ)。

秋田市在住で地理に明るい人が見るともう説明の余地もないほどどこに何があるかがよく分かる写真なのですが、私自身は自称「秋田市在住で地理に明るい人」ですので、これが撮れただけでももう満足です。

秋田市上空はまだまだ続きます。1980年代後半から整備された、秋田市南部にある「御所野ニュータウン」です。人工的に整備された街と言うこともあり、道路の線形や住宅の区画が綺麗に整っているのが特徴です。

当初の予定では、これよりも更に街が広がっているはずだったのですが、なかなか計画もうまく進まず、この状況にとどまっています。秋田空港から車で10分程の好立地な上、地方民御用達のイオンモールがあるということで、秋田へ住むならここ一択。と言ったところでしょうか。

ただでさえ雪が少ないと言われる秋田県の日本海側の地域。更に南進して由利本荘市付近が見えてくると、農地にも雪の姿が見えなくなりました。

沿岸地域と山に囲まれた盆地の地域では、冬場の雪の降り方が異なるというのは有名な話かもしれません。同じ時期でも、かたや大雪、かたや積雪の「せ」の字もないといったことはザラにあります。

巡行~お待ちかねコーナー

さらに南進を続けると、やがて下界は雲に覆われて見えなくなりました。秋田上空を通過すると、あとは乗り慣れた秋田ー羽田線と同じ航路を飛行するため、以下の搭乗記を是非ご一読ください。手抜きではありません。

ここまでまだ離陸から10分程しか経っていないのですが、ここでプレミアムクラスお待ちかね、食料がサーブされました。定刻通りの運航でも12:00を過ぎて運航する便と言うことで、昼食提供便となっていたANA788便、辛うじて昼食を食べ過ごすということはありませんでした。

ボリュームの割に品数が豊富で大満足でしたね。

この先は引き続き雲の上を飛ぶフライト、特にやることがありません。CAさんとお喋りしたり、シートを弄って遊んでいました。

座席のひじ掛けのテーブル上についているこのサイン。手回しで「邪魔するなよ!」表示や

「起こせよ!ぜっっったいに起こせよ!!」表示に変えることができるのはポイントが高いです。

時々プレミアムクラスでも一切のサービスを受けることなく爆睡している方もいますからね。もっとも、この機能がどれ程浸透しているのかは謎ですが(笑)

ANAの737-800には、機内前方と後方の2か所にラバトリーが設置してあります。

巡航中は、普通席の区画とプレミアムクラスの区画がカーテンで仕切られるため、実質的に前方のラバトリーは、プレミアムクラス旅客の専用になります。(時々カーテンをめくって前方にいらっしゃる方も目にしますがw)

今回の搭乗機、Boeing 737-881(JA76AN)は、2014年5月にANA向けの737-800としては26機目に導入された機体となります。搭乗日時点の機齢は約3年。

2021年現在では40機が導入されているANAの737-800(うち1機はソラシドエアに移籍)、今や日本の空にはなくてはならない存在となっていますよね。

揺れながら降下を続けます

降下中も暫く雲の中の飛行が続きました。

時々強めに揺れる中、機内オーディオの9chで特集されていた「Around the 80’s〜あの頃のJ-POP(パーソナリティー:八嶋智人さん)」の中の1曲、「大都会(クリスタルキング)」を聴きながら、これから着陸せんとする大都会の姿を頭に思い浮かべていました。

雨天時の羽田空港あるある、東京湾上空に入ってようやく雲を抜けた我が737。D滑走路の上空をオーバーパスしてC滑走路、RWY34Rへと向かっていきます。

このような天候の時には、滑走路の灯火も点灯していることが多いような気がしますが、この時はまだそれほどでもなかったのか、「無灯」状態でした。

Arrived

13:00、羽田空港に着陸しました。飛行時間は1時間6分でした。滑走路上にたまった水滴を巻き上げながらリバース。この瞬間は窓から目を離せませんよね。

意外と悪いように思われた視界も、かなたにあるD滑走路の進入灯やその近くを航行中の船が見えていることからも、それなりに確保されていることがわかりますね。

荷物をピックアップして、到着ロビーへ出ました。終わってみると47分遅れでの到着となりましたが、フライト自体は快適そのもの、CAさんにもかなり良くしていただきノンストレスなショートフライトとなりました。(搭乗した788便の上に、大遅延をかましている便があることにはあまり触れないでおきます)

なお、この「大館能代」の表記、2021年夏ダイヤから1日3回見ることができるので、東京での大館能代空港の知名度が多少向上するのかもしれません(笑)

最後に

二部構成でお届けした「1日3往復化! 大館能代ー羽田線に乗ってみよう」。この2つを読んでいただければ、大館能代空港とは何ぞやと、ということや、大館能代ー羽田線の機窓から見える風景などはしっかり網羅することができるはずです。

しかしながら、全てを完全にお伝えすることはできていないため、是非、おいしいご飯と自然が豊かな大館能代空港とその周辺の地域に遊びにきてくださいね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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