国内線に国際線機材が大量投入中!!~ANA 78M編~

Boeing 787

※78Mにやっと乗りました。搭乗記はこちら。

ANA国内線での787の機種コード、全部言えますか?

ANAでは現在、国内線仕様機として787-8と787-9の2タイプを、そして、国際線仕様機として787-8、787-9、787-10の3タイプを保有しています。機体としてはダッシュナンバー以下3タイプに分けられるのみですが、機内仕様で細かく見ると、国際線仕様の787-8、787-9がそれぞれ中距離仕様と長距離仕様(さらに2種類)に分けられるため、機内仕様は内際合計で8種類となります

国内線の予約画面では、これまで、以下のような機種コードが使用されています。

① 78P(国内線仕様787-8)

国内線仕様機の787-8としては最終号機となるJA825A。唯一の「787」ロゴを纏った経歴の無い国内線仕様機である。

2011年に787-8が国内線でデビューした当時から使用されている機種コードです。

当時は、暫定国内線仕様として、プレミアムクラス12席、普通席252席の計264席で就航していた787を指すものとなっていましたが、2012年の夏から国内線仕様機が導入され、現在は、プレミアムクラス12席、普通席323席の計335席仕様の機体がこれに該当します。

搭載しているプレミアムクラスは、777から737-800まで広く普及しているこちら(機体番号JA818A、JA819A、JA821A、JA824A、JA825A)と、

国内線仕様787-8、後期導入機に装備されているプレミアムクラスシート(写真は767-300ERのもの)

国際線のビジネスクラス「ANA BUSINESS CRADLE」であるこちら(機体番号JA809A~JA812A、JA816A、JA817A)。

国内線仕様787-8、初期導入機に装備されているプレミアムクラスシート(写真は767-300ERのもの)

基本的にこれら2つのプレミアムクラス搭載機が運用上で区別されてはいないので、数か月前からどちらかのプレミアムクラスを狙って搭乗することは困難です。(Flightraderなどで数日前から運用を確かめて搭乗することは可能です)

なお、暫定国内線仕様機としてデビューした787(JA801A~JA804A、JA807A、JA808A)は、現在中距離国際線仕様に改修され、暫定国内線仕様は消滅しています。

② 78R(国際線仕様787-8)

成田空港のRWY34Rに着陸する787-8、JA840A。中距離国際線仕様機である。

国際線仕様の787-8が間合い運用で国内線を運航する場合に使用されるのがこの機種コードです。

国際線仕様の787-8には、中距離仕様と長距離仕様が2つ、合わせて3種類のコンフィグレーションが存在しますが、それら全てがこの78Rに該当します。予約画面だけで区別をつけることはできませんので、シートマップまでたどり着いて初めて、3種類のうちのどれかが分かるようになります。

①中距離国際線仕様(240席:ビジネスクラス「ANA BUSINESS CRADLE」42席、エコノミークラス198席)

②長距離国際線仕様1(184席:ビジネスクラス「ANA BUSINESS STAGGERED」32席、プレミアムエコノミー14席、エコノミークラス138席)

③長距離国際線仕様2(169席:ビジネスクラス「ANA BUSINESS STAGGERED」46席、プレミアムエコノミー21席、エコノミークラス102席)

就航路線によって、座席数や装備されているビジネスクラスシートが異なるのが特徴と言える国際線仕様の787-8。特に最後に掲載した169席仕様機は、エコノミークラスがCコンパートメントのみということで、超長距離仕様とも表現できそうです。この仕様で就航しているのは、ANA国際線最長路線である成田ーメキシコシティー線であることからも全く語弊の無い表現だと思いますよ。

国際線機材が国内線で運用される場合、ANAでは777-300ERのファーストクラス(8席)とA320-200neoのビジネスクラス(8席)がプレミアムクラスとして販売される以外は、全て普通席扱いとなります。

これら以外の上級クラスは、中距離国際線仕様のビジネスクラスの座席数である42席を筆頭に、プレミアムクラス最大座席数である28席(777-200ER(機種コード:722)の28席)を上回っています。飛行時間の短い、成田ー伊丹、中部線や羽田ー関西線で行われがちな間合い運用ですが、これらの路線で42席全てが埋まった場合、プレミアムクラスのサービスを行っている時間は正直ありません。単純に座席数が多いため、プレミアムクラスの設定がなされないことが予想されます。(他にも様々理由はありそうですが…)

③ 789(国内線仕様787-9)

那覇空港RWY36から離陸する787-9、JA830A

2014年にデビューした国内線仕様787-9(プレミアムクラス18席、普通席377席、計395席)の機種コードです。787-9の国内線仕様機はJA830AとJA833Aの2機しか存在しないため、ANA全体としてはかなりレアな部類に入るのですが、777-200に混じって幹線で投入されているということもあり、2機どちらにも搭乗した身からすると、「もはやレアでもない存在」です

2機しか導入されなかった国内線仕様の飛行機と言えば、JALの747-100BSUD(JA8170、JA8176)も挙げられますが、こちらは他の747クラシックと時刻表上で区別がなされていなかったため、数か月前から狙って乗るのは難しかったのではないかと思われます。(ある程度決まった運用はあったようです)

なお、プレミアムクラスには、先ほどご紹介した78P同様、「広く普及している座席」が装備されています。

④ 787(国際線仕様787-9)

国際線仕様の787-9には、特別塗装機が複数在籍している。そのうちの1機は「R2-D2 ANA JET」である。

787ならどの仕様でも間違いではない!と言える一見万能なこの機種コード、ANAの国内線の予約画面では国際線仕様787-9を示すものとなっています。

ここ最近になって予約画面にも頻繁に登場し始めたこの機種コードですが、成田ー伊丹線や成田ー中部線でアサインされており、シートマップやFlightrader24で確認すると787-9であることが分かります。今のところ国際線仕様の787-9と紐づけても差し支えありませんが、この認識は今後も使うことができるかは保障できません。

そして、78R同様、全てが普通席としての販売です。

この仲間に加わった「78M」

前置きがかなり長くなりましたが、今最も注目を浴びているであろう787の機種コード「78M」のご紹介です。

⑤ お待ちかね「78M」(中距離国際線仕様だけど国内線で出稼ぎ中787-8)

この78Mの登場にあたり、ANAの787に新しい機内仕様が誕生したわけではありません。こちらは、中距離国際線仕様機を国内線で運用する際に使用する機種コードです。それでは、78Rと一緒でいいのでは?と思われますが、大きく違う点が1つあります。それは、

プレミアムクラスの設定があること 

まさにこれです。

先程提示した「プレミアムクラスとして設定するには、座席数が多すぎるのではないか?」という仮説を見事に打ち砕いてくれる78Mの登場には、やや衝撃が走りました。

このご時世、国際線の需要がかなり限られる中、行き場をなくした787-8に新たな仕事を与えるという面では、効率的な運用であると思われる一方、42席のプレミアムクラスという、プレミアムクラス史上最多座席数をマークするという記録を樹立させてしまったわけですから、単なる間合い運用の78Rとは大違いです。

しっかりと国内線の機種・シートマップの一覧にも掲載されたこの78M、国際線仕様という注釈こそ辛うじて体裁を保っていますが、実態は完全に国内線仕様、この矛盾がなんともカオスです。

それに加え、通常国際線仕様機が国内線で運用される場合は、Wi-Fiを使用することができないのですが、この78Mでは、Wi-Fiもしっかり使用可能となっています。もはや完全に転職してしまったようにも見受けられます。

どの路線で乗れるのか

この「78M」、多くの路線に投入されています。2021年12月30日の1日だけをピックアップしても、

羽田ー伊丹線に6往復12便(ANA15、16、19、20、23、24、28、35、37、38、40、41便)

羽田ー新千歳線に4往復8便(ANA57、67、70、71、72、76、1404、1409便)

羽田ー福岡線に8往復16便(ANA240、244、245、250、251、253、256、257、258、262、271、273、1075、1076、1443、1446便)

羽田ー那覇線に1往復2便(ANA1097、1098便)

羽田ー長崎線に2往復4便(ANA661、664、667、670便)

羽田ー石垣線に1往復2便(ANA1451、1452便)

羽田ー熊本線に2往復4便(ANA641、644、647、650便)

羽田ー鹿児島線に2往復4便(ANA619、622、623、626便)

羽田ー高松線に1往復2便(ANA997、998便)

伊丹ー新千歳線に2往復4便(ANA771、780、1143、1144便)

伊丹ー福岡線に1往復2便(ANA421、428便)

福岡ー新千歳線に1往復2便(ANA289、290便)

※以上は12月20日確認分です。(抜けがあったら申し訳ないです。また現在は運航状況が流動的なので、搭乗、撮影の際は事前にご自身でご確認ください)

年末年始の繁忙期は、臨時便を中心にアサインされていた78Mですが、通常時は幹線を中心に定期便へのアサインが積極的に行われており、国際線機材だから、とチヤホヤされていた時期が懐かしく感じられるほどです

中距離国際線仕様機全てが国内線に異動しました

導入当初は暫定国内線仕様として国内線で活躍していた導入初号機のJA801A。現在は通常塗装に改められている。

中距離国際線仕様機は合計20機在籍しています。12月現在、その全てが羽田空港を拠点に国内線へ投入されており、完全に国内線へ異動している状態となっています。この中には、暫定国内線仕様機として活躍していた機体も混じっており、約7年ぶりに本格的に国内線へと返り咲いたことになります

イレギュラーな運用ではありますが、787が国内線にここまでの規模で投入されるのは初めてのことです。全てが連日フル稼働しているわけではありませんが、将来的に787が国内線でも覇権を握ることが予想されるため、そうなった時の風景を一足先に見ることができる機会となりそうです。

2019年2月、羽田空港の国際線ターミナル(現第3ターミナル)、中距離国際線仕様の787-8のツーショットが実現。現在は第2ターミナルで同じ光景を見ることができそうだ。

この運用、いつまで続けられるかは明確には発表されていません。もっとも、デビューも特に大々的な告知があったわけではないので、終わりも静かに迎えそうな気がします。ただ、現在ANAでは国際線の路線再編を行うということで、国際線の規模を縮小するという情報も発表されています。国際線の拡大に向けて国際線仕様の機材を多数用意してきた経緯がありますので、それらが余剰となってしまうことは必至です。国際線の見直しによっては、この「78M」が継続して国内線を飛び回るということも考えられます。

42席のプレミアムクラスという「単価の高い客の取りこぼしはしない!」と気合が入っているようにも見受けられる「78M」の登場、今後の動向を注視したいですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

(※シートマップはANAホームページを参照)

コメント

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