2019年9月12日 777国内最長路線へ搭乗(ANA91便 羽田ー石垣線搭乗記)

搭乗記2019

国内最長級、1224マイルを777で飛ぶ

2019年夏ダイヤの時点で、日本国内最長の航空路線となるのは、ANAが運航する新千歳ー那覇線で、その区間マイルは1397マイルとなります。徐々に市民権を獲得しつつある()航空会社のステータス修行をされている方や、毎月航空会社の時刻表を穴が開くほど見まくっている熱心な航空ファンの方であれば、この数字も常識のうちに入っているに違いありません。その国内最長路線に次ぐ長距離国内線は、1224マイルの羽田ー石垣線です。羽田空港発着の国内線の中では最長路線であり、2010年に羽田空港が再国際化するまで、羽田空港には定期チャーター便として国際線が運航されていましたが、その就航地の基準として、”羽田空港から1,947km(羽田発着の最長路線である石垣線と同程度の距離)以内の路線”という制約があったほどです。

そんな羽田ー石垣線ですが、2013年に新石垣空港が開港するまでは、ANA、JTA共に737で運航していました。旧石垣空港の滑走路長は言わずと知れた1,500mでしたので、勿論復路は直行便を運航することができず、宮古空港や那覇空港を経由するという運航形態がとられていました。しかし、新空港開港後は石垣→羽田の直行便も運航が開始、利便性が向上しました。ANAの羽田ー石垣線は、旧空港時代に一時休止となっていましたが、新空港開港後に路線再開。2,000mの滑走路で運用可能な767や787を投入し、輸送力の強化を図ってきました。

ANAの保有する国内線機材で、2,000m滑走路で運用可能な最大の機種は787ではなく777-200です。2017年のゴールデンウィークに777-200とほぼ同キャパシティーの787-9が石垣空港に乗り入れを果たし、その時から777の就航も時間の問題であると思っていましたが、その年の夏、とうとう777-200が就航しました。それからというもの羽田ー石垣線は、繁忙期は常にB777が就航する路線となり、地方空港発着の777を制覇する会会長の私もその搭乗機会をうかがっていましたが、満を持してこの度石垣空港まで777で向かうことになりました。

前置きが長くなりましたが、国内線の中では最も777に乗り続けることができる「777で行く羽田ー石垣線の旅」スタートです。

修行僧は朝から天空橋ウォーク

今回搭乗するのは羽田空港を11:45に出発するANA91便です。この日は横浜市内のネットカフェで過ごしたのですが、ネットカフェは滞在時間が長くなれば長くなるほど料金がかかってしまうため、6:00過ぎに店を出て羽田空港へと向かいました。その途中いろいろと寄り道をしながら向かったため、羽田空港付近に到着したのは8:30頃でした。

この日の予定は羽田→石垣→那覇→羽田という一見ただ飛行機で移動するだけの単純な行程ですが、何時間も機内で座りっぱなしというのは体によろしくないのは明白です。そこで、今回は京急の天空橋駅から羽田空港までは徒歩で向かうことにしました。私はこの日、仲木戸駅から京急に乗車したのですが、羽田空港国内線ターミナル駅まで電車で移動すると¥448。一方、天空橋駅まで移動すると¥278で済みます。すぐ近くの駅にも関わらず、羽田空港まで路線を延長した際の工事費用を運賃に上乗せしているため、¥170もの差額が発生しているのです。これは歩いてもいい差額だと思いますよ。←(※この上乗せ運賃ですが、2019年10月より減額されることになるようです)

というわけで、天空橋でたくさんの労働者の方と下車し、国際線ターミナルまで歩くことにしました。羽田空港の国際線ターミナルの脇、環状8号沿いには遊歩道や船着き場などが整備され、快適に歩くことができます。環八よりも遊歩道の方が高いところに位置しているため、羽田空港の旧整備エリアもばっちり見渡すことができます。

僧侶が集う第2ターミナル着

国際線ターミナルからターミナル間の無料シャトルバスに乗車し、第2ターミナルへやってきました。この日はまだ朝から食べ物を口にしていなかったため、丸亀製麺やらマクドナルドやら第1ターミナルのHitoshinayaやら様々巡ったのですが、なぜかどこも混雑していました。最終的に第2ターミナル1階の蕎麦屋さんに落ち着きましたが、なんの変哲も無い9月の平日にも関わらず午前10時頃でも混雑していたのには参ってしまいましたね。

腹ごしらえをして2階の保安検査場へと向かいましたが、一般の保安検査場には列ができていました。航空会社のステータスを持っていて良かったなあ……とプレミアムチェックイン直結の保安検査場へ向かうと、こちらにも列ができてきました。こういうオチはまったくもって不必要です。

航空会社の主力事業は何と言っても飛行機を飛ばすことです。しかし、どのような事業領域に根を張る企業にとっても多角化が行われている今日、航空会社でも航空運送事業以外のことも行なっています。ANA総合研究所が発行しているのがこちら”ていくおふ”。航空や交通などの分野に関連した論文を5本ほど掲載しています。

私も大学の卒業論文の作成にこの”ていくおふ”にお世話になっているのですが、手に入れづらいのが難点です。8月末に国立国会図書館で、借りて初めて読んだのですが、内容は読みごたえがあり勉強にもなりますので、是非広く一般に公開していただきたいなと思います。因みに今回の中では、佐賀空港の完成秘話、また、現在に至るまでのエピソードを掲載していたものが面白かったですね。

堂々の61番ゲート発

出発時刻が近づいてきたため、搭乗口の前までやってきました。今回アサインされたのは61番搭乗口、保安検査場Bを出てすぐのところにあります。羽田空港発着の国内最長路線だけあって、幹線級の扱いです(大げさ)

搭乗口前のベンチでは、家族連れあり、ガイドブックを熟読する者あり、カップルで並んで座って待つ人ありとまさにリゾート路線感が満々です。数時間前までは、サラリーマンの大群で殺気立っていた場所とは思えないほどのんびりムードが漂います。

11:25頃、搭乗開始となりました。事前改札、グループ1番の優先搭乗に続いて機内へと入りました。ダイヤモンドメンバーの数が少なかったことが唯一地方路線であることを感じさせてくれました。

今回の搭乗機はBoieng 777-281、JA706Aです。8月31日に秋田空港から羽田空港までお世話になった機体です。約2週間ぶりの搭乗ですね。こちらのJA706A、昨年まで乗る機会に恵まれず、いつになったら乗ることができるのか、導入から20年が経ち経年化している機体だけあってびくびくしていましたが、ここにきて一月の間に2回も搭乗することになるとは…

11:28、アサインしていた7Kの席にたどり着きました。6月にチケットを発券して以来、3か月に渡って隣の7J、さらにその隣の7Hは空席のままでしたが、いざ搭乗してみるとその両席には他の方がいらしており、現実の厳しさをひしひしと感じました。今回のANA91便は満席近い予約状況とのことですので、むしろ3か月も空席のままであったのが不思議なくらいです。

なんだかんだでほぼオンタイム出発

この便は、普通席もプレミアムクラスも満席という大混雑っぷりでしたが、意外と搭乗、出発準備はスムーズに進んだようで、11:46にはドアクローズ、11:50にプッシュバック開始となりました。ちょうどこちらがプッシュバックしている最中に、2つ隣の59番スポットには”Hello 2020 Jet”がやってきました。まあだからなんだって話ですが(笑)

ボーディングブリッジ内で枕の落としものがあったようで、”名乗り出る方がいらっしゃらない場合は取り下ろして出発いたします”とのこと。持ち主不明の荷物は載せて出発しないという基本がしっかりしているなあ…と改めて感じました。

本日搭乗のJA706A、Wi-Fiが付いていません。出発のアナウンスの際には、お決まりの”Wi-Fiが付いておりません。ご希望に添えず申し訳ございません”のアナウンスが入りました。この写真に写っている他の3機は全てWi-Fi対応、非対応の機体の方が少数派になっています。

この日の羽田空港は北風運用、南方面への出発機はD滑走路からの離陸となります。橋を渡る直前に、第1ターミナル方面からJ-Airのエンブラエルと鉢合わせました。橋に先に進入したのはこちらでしたが、位置の関係からエンブラエルに横から追い越されました。追い越されたというよりも、こちらが減速して先に通したという表現がいいかもしれません(笑)

D滑走路の島の上には5機の飛行機が離陸を待っている状態でした。コックピットからすかさずアナウンスが入り、離陸まで10分ほどかかると伝えられました。

12:10、羽田空港RWY05から離陸となりました。実態はわかりませんが、人も貨物も満載での離陸となったのではないでしょうか、、かなり重そうに離陸していったというか、離陸したという感覚があまりありませんでした。そんな重量級の離陸ではありましたが、意外と滑走路の半分でメインギアも浮き上がり、上昇となりました。

ひょっこり富士山

羽田空港上空は雲に覆われており、離陸後しばらくすると雲に突入しました。離陸後4分で雲を抜けましたが、下界は雲に覆われて何も見えません。青空と白い雲と地上から生えているものとしては富士山がポツンと見えるだけ。現代版富嶽三十六景と言える景色だと個人的には思います。空から富士山を見るのが現代人のやり方です()

ベルトサインも離陸後7分で消灯、お昼の時間帯ということもあり普通席の区画でも食料の匂いが漂ってきました。

関東上空から見る富士山は前述の通り確かに”ポツンと”だったのですが、東海地方上空は所々雲が切れていました。これであれば地上からもよく富士山は見えているかもしれません…東名高速の姿なども見ることができました。この付近で飛行機は軽く左に旋回、機首を南西方向へと向け始めました。

12:35、濃尾平野が見えてきました。知多半島にある中部国際空港の姿も確認できました。名古屋市内の方は天気は良さそうでしたが、東三河から静岡県にかけての方には入道雲がちらほら見られ、9月も半ばではありますが、まさに夏の空という様態を呈していました。離陸前のアナウンスで、離陸後1時間は軽い揺れが予想されるということでしたが、この付近が一番カタカタ揺れたかもしれません。

沖縄線恒例 暇な時間

12:46、紀伊半島の南端付近を通過しました。これにてしばらく陸地とはおさらばです。飛行予定時間は2時間35分とのことですから、残りの飛行時間は2時間となりますね。後半の1時間は奄美諸島から南の島々の様子を見ることができるでしょうから、この先1時間はひたすら海と空だけしか見ることができなくなります。

私はこの日、無駄に朝6:00に起床して歩き回っていたため、この付近でややウトウトし始めてしまいました…(笑)

13:12、飛行機は高知県の南の太平洋沖を飛行中です。巡航高度は36,000feet、巡航速度は470ktsとのこと。

ここまでで離陸から約1時間ですが、前方のモニターはもはやマップ以外を表示する元気がないようで、エンドレスにさまざまなマップを表示しているだけになってしまいました。それにしても沖縄って距離がありますよねえ、、航空ファンは距離感覚がおかしいと時々言われるように思いますが、国内であれば沖縄以外だとどこも可愛いもんだと思います。だって、離陸から1時間が経過しているにも関わらず、目的地までまだ半分も飛んでいないんですよ。

撮るものがないので、ひたすらこの文章を作ったり空を撮ったりと時間を潰します。石垣空港でB777を見ること、石垣空港までB777で行くことが今回の搭乗の目的ではありますが、満席のキャビン、飛行時間の長さと飛んでからが大変な今回の搭乗です。窓の外に目をやると積乱雲がモリモリです。何度も言いますがもう9月中旬なんですよねえ…

南国気分が高まる東シナ海上空へ

13:47、久々に陸地が見えてきました。鹿児島県の徳之島です。ほぼ真上を通過したため、その全景を見ることはできませんでしたが、奄美群島も裾礁があり南国らしさが漂います。普段お世話になっている羽田ー那覇線では徳之島まで来ると着陸も近いなあ、、と思うところですが、今回のディスティネーションは石垣島。ここからまだ1時間近くはフライトが続きます。

14:25、石垣空港へ向けてすでに降下を開始した飛行機からは、サンゴ礁に囲まれた謎の島が見えてきました。この類の島は殆ど米軍の訓練などに使われていると色々読みましたが、実際のところはどうなのでしょうか、、飛行中に調べられなかったので調べてみました。この島はRACも就航する空港がある多良間島の北にある”水納島(みんなじま)“と呼ぶそうです。同じ名前の島が沖縄本島の西にもあり混同しないようにしたいですが、こちらは沖縄県多良間村の水納島です。多良間村のホームページによると、この水納島の主要な産業は畜産業で、砂地が多いため第一次産業の中で沖縄県の主力産業である農業には適さないのだそうです。

ここでベルトサイン点灯、着陸態勢に入りました。アウトボードスポイラーが立ち上がり、振動がガタガタと伝わってきました。

石垣島インサイト

14:31、石垣島が見えてきました。南北に走る石垣空港の滑走路は島のすぐ東側にあるため、北側から着陸する場合には、石垣島の中心部をほとんど見ることなく着陸することになってしまいますが、今回は果たしてどうでしょうか…

そんなことを考えていると、飛行機は大きく左に旋回。進行方向右側にはこれから着陸せんとする石垣空港の全景が見えてきました。これで着陸は空港の南側、RWY04からで確定です。2016年に初めて石垣空港へやってきて以来のRWY04アプローチですが、前回は夜間で景色が殆ど見えなかったため、どのような光景が目に入るのか楽しみにしながら着陸の時を待ちました。

滑走路の2,000mの離島の空港と聞くとどうしても小さい印象を受けてしまいますが、こうして俯瞰してみると石垣空港って大きいですよね。敷地面積は142haとのこと、秋田空港は153haですからその点だけで考えると大して変わらないことがわかります。

おーーー!これはすごい!

いきなり石垣島初心者みたいな感想で申し訳ございません。ただ、この石垣島南部のサンゴ礁は初めてこの距離から見たので心が洗われる綺麗さだなあという感想を率直に持ちました。石垣島ややヘビーユーザーの私でこの感想ですから、周りの一般的な観光客の方の感嘆の声が機内のいたるところから聞こえてきました。さすがに一人で乗っていて変な声を出すのは憚られるので声を発するのはやめました。(笑)

14:36、石垣空港RWY04に着陸しました。飛行時間は2時間26分でした。改めて振り返ってみるとそんなに長い飛行時間ではないですねえ…やはり最近沖縄発着路線から遠ざかっていたのは慣れない原因の1つかもしれません。これからは定期的に長距離路線に搭乗して心技体揃ってロングフライトに耐えうる人間になりたい、そう感じました。

それにしてもファイナルアプローチコースにアラインする右旋回がなかなか豪快で良かったですよ。特に旋回の内側の席に座っていたせいもありますが、乗っていてシビれるアプローチでした。

圧巻の制動距離でバケート

冒頭でご紹介の通り、石垣空港の滑走路長は2,000mです。勿論安全に運用するには十分な長さではありますが、2,000mの滑走路にB777で着陸するのは私自身初めてです。滑走路をフルに使って誘導路へ出るのかと思いきやそうではなく、そこまで減速がキツい印象がなかったにも関わらず、末端の一つ手前のT4誘導路で滑走路をバケートしたのには驚きました。さすがみんな大好き優等生のB777です。人間でいうところの学年に1人いるかいないか、そんな感じです(笑)

14:42、石垣空港7番スポットに到着しました。ブロックタイムは2時間52分、3分の早着でした。石垣空港ではL1、L2の2つのドアにボーディングブリッジを接続することができないため、満席のB777だと降機に時間がかかりそうです。私は前方席でしたのでスムーズに降機することができましたが、最後の方の方はしばらく機内で待たされたように思います。

お隣の6番スポットには名古屋行きのANA580便、B737-700が出発準備の真っ最中です。沖縄県内他空港との路線が多いJALグループとの差別化を図るため、ANAでは石垣ー本土直行便に力を入れており、羽田線の機材が大きいことだけでなく、石垣ー名古屋、福岡線を単独で運航しています。新千歳空港を除く国内の主要都市全てにANAの路線を有する地方空港は数えるほどしかありません。

前方席に座っていたので、降機後すぐに到着ロビーへ出ることができました。ほとんどの方がターンテーブルで預けた荷物が出てくるのを待っていた様子でしたが、こちらはリュックサック1つだけで臨んでいるため、制限エリアからすぐに抜け出しました。荷物は少ないに限りますね。

那覇空港の到着便を表示するモニターにはちょうど私が乗ってきたANA91便のところに”只今到着”の表示が出ています。到着便はこの後1時間空くようです。満席だと405人乗ることができるB777-200、B737-800の2.5機分のキャパシティーがありますから、ほかの便と極力時間が被らない方が、混雑の観点からもいいかもしれません。

到着ロビーを出てすぐに屋上の展望デッキへと上がりました。今回は空港の外周を通る道を移動して、空港のターミナルとは反対側から折り返しANA92便の離陸シーンを撮影しようと考えていましたが、万が一撮影できなかった時の予防として、取り敢えず”石垣空港でB777を撮ったという証拠を残しておくことにしました。こうしてみると、意外と石垣空港に駐機するB777もしっくり来ますね。B737がメインで飛来する空港とはいえ、大型機が就航するのにも十分なスペースがあることがその一因かもしれません。今後もB777が就航し続けるであろう石垣空港ですので、是非L2ドアに接続するボーディングブリッジも設置すると良いのではないでしょうか…

この後は走って空港の反対側、外周ポイントへB777を激写しに向かいました。

今回はここまでにします。最後までお読みいただきありがとうございました。

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