ANA1834便 新千歳ー秋田線搭乗記 ローカルtoローカルのエキスパート Q400でひとっとび(2017年9月24日)

搭乗記2017

日本の空をもれなくネットする…

このキャッチコピー、どこかで聞き覚えがありませんか?

ANA Travel&Life より(全日空発足当時の主力機「ダグラスDC-3」に付けられたキャッチコピーは?|ANA Travel & Life

これは、ANAが発足した当時、主力機であったDouglus DC-3につけられたキャッチコピーなのです。当時から全国各地に就航していたANAらしいフレーズですが、それから半世紀以上が経過した現在でも、このキャッチコピーをそのまま流用できる飛行機がANAには存在します。

それがこちら、

Bombaedier DHC-8 Q400です。

2003年よりANAのグループ会社である、エアーニッポンネットワーク(AKX)により運航が始められたこの飛行機、プロペラ機ながらもジェット機と遜色ないスピードで飛行でき、それでいて燃費が良いということから、就航以来地方路線を中心に活躍しています。

当初は伊丹空港を拠点に、四国や九州をはじめとした短距離路線が活躍の場となっていましたが、導入が進むにつれ、中部国際空港、福岡空港や新千歳空港とそれらの主要空港から地方への路線に抜擢されるようになりました。

Q400の就航路線はそのほとんどが、Boeing 737やAirbus A320で運航されていた路線のダウンサイジングによる供給適正化や増便による利便性向上が図られている面がありますが、Q400の導入により1から開設された路線もあります。

今回はその中の1つである、新千歳ー秋田線の搭乗記です。

すっかりお馴染み「ANAの」新千歳ー秋田線

2017年9月24日、ふと飛行機に乗りたくなった私は、当日購入でも破格のコストパフォーマンスを発揮する「スマートU25」運賃で、羽田空港から新千歳空港へ移動しました。

新千歳到着後、そのまま羽田へ戻っても良かったのですが、いつも同じ路線ばかり乗るのもつまらないので、帰りは秋田経由で向かうことにしました。

新千歳ー秋田線は、長らくJAL(旧TDA→JAS)の単独路線で、全盛期はMD-80/90で1日3往復運航される路線でした。しかし、2010年のJALの経営破綻に伴い、ダウンサイジングを余儀なくされ、供給が減少。そこに目を付けたのか、2013年よりANAが1日2往復で新規参入したのでした。勿論機種はQ400が抜擢、その1年ほど前に開設された伊丹線、既存の中部線と合わせ秋田空港にはQ400が大量に就航するようになりました。

新千歳ー秋田線へのANA参入の経緯のご紹介はこんな感じ、早速搭乗記へ参りましょう。

日曜午後の新千歳空港、夕方にかけて混雑する時間帯を迎えるはずですが、15時過ぎの時間帯であればまだ激しい混雑に巻き込まれることはありませんでした。

今回搭乗するのは16:15発のANA1834便。案内板には1B搭乗口からの出発と表示されています。これまで新千歳空港からは羽田線しか搭乗したことがなかったため、無縁の搭乗口ではあったのですが、だいぶ端の方にあるものであることは確かなようです。

一先ずターミナル中央にある保安検査場から、搭乗口までてくてく歩いて移動しました。

途中かなり美味しそうな食料に心を奪われそうになりながら、1B搭乗口へやってきました。本当に端にありました。

この搭乗口は、後続の根室中標津行きが20分後に出発することからもわかるように、バス搭乗専用の搭乗口のようでした。短いスパンで同じ搭乗口から出発便が設定されているためか、搭乗口前のベンチにはかなり多くのかたが出発を待っていました。

搭乗方法もいろいろです

搭乗開始のアナウンスを待つこと10分、いよいよ飛行機へ向けて出発する時がやってきました。バス搭乗ですので、まずはバスに乗ってどこかしらかのスポットに駐機している飛行機のもとまで向かうことになります。

バスへの乗車を待っている間に、近くに止まっていたQ400の写真を撮ってみました。Q400やCRJといったリージョナル機は、ターミナルから必ずバスなり徒歩なりで移動して搭乗する、というのはもう過去の話です。

今ではこうしてボーディングブリッジから直接搭乗できるのが主流となっており、地方空港だけでなく、新千歳空港のような主要空港でもこのような運用がなされています。

と、散々ボーディングブリッジからの搭乗について熱く語ったところで、空港内を移動するランプバスに揺られ飛行機へと出発しました。

新千歳空港内をバス移動するのはこれが初めて、一体どこまで連行されるのか…と思う程空港内をぐるぐる回り(大げさ)、ようやく飛行機へとやってきました。この背景に見えているのは、航空自衛隊千歳基地が使用する滑走路。どうやら1992年まで使用されていた旧ターミナル側のエプロンに駐機している飛行機に乗るようです。

なお今回の搭乗機はANAグループのQ400の初号機、JA841Aでした。搭乗日時点の機齢は14年。様々なことがあったQ400の歴史を全て知るベテラン機です。

AIS JAPANにの新千歳空港のチャートに、バスで移動したルートを着色してみました。

飛行機さながら誘導路をくねくね移動し、やってきたのは60番スポット。羽田空港であればターミナルど真ん前のスポットナンバーですが、空港が変わればかなりの僻地となってしまいます(笑)

内蔵のタラップを上がり、機内へと入りました。今回の座席は18Aです。主翼が胴体の上にある高翼機ということで、どの席に座っても景色を楽しむことができると言われがちなQ400ですが、胴体中央部はエンジンなどに視界が遮られてしまうため、あまりお勧めできません。個人的には前方か後方がおすすめです。

そんな後方座席からは、広々としたエプロンを見渡すことができました。隣に見えているのはジェットスタージャパンのA320、そしてその奥には日の丸のついた大きな尾翼…政府専用機です!

政府専用機は航空自衛隊千歳基地の所属、要人の外遊などで使用される場合は、その都度羽田空港などに回送され、運用に就くことになります。

いよいよ離陸です

定刻よりも2分遅れた16:17に60番スポットを離れた我がQ400、K、D、A1誘導路を経由して滑走路へとやってきました。離陸滑走路はRWY19Rです。

車高の低いQ400、滑走路面をよく見ると、水はけをよくするために入れられている溝(グルービング)もバッチリ見ることができます。

16:23、Q400にとっては十分すぎる3,000mの滑走路を半分も使わずにエアボーン。すかさず機敏な動きでメインギアが格納されていく様子をしっかり写真に収めるところまでが「Q400の離陸」です。

本当にすぐ格納されるため、油断していると見逃してしまうのは、Q400あるあるかもしれませんね(笑)

Round1:北海道の風景

離陸後すぐに見えてくるのは、北海道の広大な大地です。

果てしなく広がる木々や農地。国内では唯一亜寒帯の気候区分に属するだけあり、植生がやや異なってくるということもありますが、北海道の農地は本州のそれとはやや異なって見えますよね。明治時代に本格的に開拓され始めたこれらの農地、その当時に開拓されたものであるかはわかりませんが、まずは北海道らしい風景を見ながら南進を始めます。

新千歳空港を南へ離陸すると、すぐに海岸線が見えてきます。あっという間に太平洋です。

写真中央に見えているのは、北海道電力の苫東厚真火力発電所。この約1年後に発生する北海道胆振東部地震では地震発生直後に緊急停止の措置がとられ、大きな影響が生じたのは記憶に新しいところです。

名前の「苫東」からわかるように、この発電所は、苫小牧市の東側に位置しています。あいにく製紙の街で知られる苫小牧市は反対側の窓側から見えているはずですので、今回ご紹介することはできません…

太平洋に出るともう北海道とは完全におさらばか、と言うとそのようなことはありません。

東西南北に広いでっかいどう、もとい北海道。札幌から南西方面に向かうと、大都会函館がある渡島半島が見えてきます。あいにく続きで申し訳ないのですが、その函館はほぼ真下かやはり反対側の窓から見えているはずです。

進行方向左側からは、渡島半島からさらに突き出した亀田半島にある恵山を見ることができました。位置関係としてはこんな感じで、函館からも距離があることがわかります。

因みにこの恵山、なんと読むかわかりますか?

正解は、

えさん

え、まあ、確かに分からなくもないけど、一文字っすか?というのが初めて知った時の反応でした。北海道らしくアイヌ語で、岬を意味する「エサ・二」がその由来だそうです。

これにて北海道の風景は終了。津軽海峡上空を縦断して東北地方へと入っていきます。

Round2:青森の風景

離陸後19分、津軽海峡上空を通過中の飛行機から、本州の景色らしい光景が見えてきました。

青森県の東に大きく張り出した下北半島、その先端部分に位置する大間崎です。

まぐろの1本釣りで有名なこの地域らしく、漁港が整備されている様子が見て取れます。半島の先の先にあるため、県庁所在地がある青森市からも3時間程かかるようで、移動には難のある地域ではありますが、ここで水揚げされたマグロが全国各地に陸送されることを考えると、かなり親近感が湧きますね(笑)

この付近でコックピットからのアナウンスが入り、18,000feetを飛行中と言うことが伝えられました。案の定、空からの眺めが良いわけです。

そこから更に南進すると、このような景色が見えてきました。南進している、すなわち、地図とは反対向きに景色が見えているため、この付近の地理に詳しくない方は一体どこを見ているのか分からないという事態になっているかもしれません。

写真の解説をすると、手前側から下北半島、陸奥湾、夏泊半島となります。地図で見ると以下の通りです。

現在地は、赤線上、矢印の位置です。上から見るとやや複雑な形をしている青森県、複数の半島や湾がその複雑さを生み出しているわけですが、地理オタクにはたまらない光景が今後も続きます

というわけで見えてきたのは、本州最北の大都会、青森市です。

青森湾の形に添って、街が形成されているこの都市は、かつて、本州と北海道との移動が鉄路、海路が主流だった頃の本州側の玄関口でした。写真中央部に見えている(かなり見づらいですが)青森駅、そしてそのすぐ隣にある青森港を経由して、多くの旅行客、ビジネス客が北海道へ移動していました。

今まさに乗っている航空機や1988年の青函トンネル開業により、青函航路の黄金期は終焉を迎えましたが、今もその名残が現地には残っているようです。今でこそ北海道との行き来は簡単にできるようになりましたが、ほんの数十年前までは、人生の中でも一大イベントのような出来事になっていたのかもしれません

そして今となっては、北海道への移動手段の1つとして、「新幹線」も加わっています

青森市の西側にある新青森駅。2010年に東北新幹線がこの駅まで開業し、その約5年後の2016年にこの駅から新幹線は更に延伸、青函トンネルを渡り、新函館北斗駅まで開業することになりました。

最終的には札幌まで延伸される予定となっている新幹線、近い将来空路の脅威となる存在ではありますが、空路と鉄路も共存共栄の時代ですので、お互いうまくやってほしいな、という思いです。

そんな話をしていると見えてきたのは青森空港です。

だいぶ山の中にあるように見えるこの空港ですが、Google mapによると青森市役所からの所要時間は18分。新青森駅までの10分と比較してもそこまで大差ないことが分かります。

ただ、山の中にある空港ということで、濃霧が運航へ影響をもたらしていました。それによる欠航も多発していたことから、2005年にILS CAT-Ⅲが整備され就航率の向上が図られています

続いて見えてきたのは、青森県の黒石市。津軽平野に位置するだけあり、市街地の周りには水田が目立つようになりました。りんごで有名な青森県ですので、りんごの木なども多数あるのかもしれません。

Round3:秋田の風景

青森県から更に南下すると、秋田県上空へと入っていきます。目的地の秋田空港は、秋田県の中央部に位置しているため、この付近でようやく降下をはじめました。

まず目に入ってきたのは、秋田県北部にある大館市。きりたんぽ秋田犬で有名ですね。

写真左側に見えている白い建物は、秋田杉をふんだんに使って建設されたドームである大館樹海ドーム。内部は人工芝が敷かれ、オールシーズン雪に阻まれることなく利用することができます。積雪の多い地域ですので、こういった施設はかなり重宝しそうです。

その先は、秋田県の中央部を縦断するように位置する出羽山地の山々の上空を通過して、アプローチコースに迎合します。

機窓からは山肌が割と近くに見えるため、ややスリリングな気分になりました。広島同様、山に向かって旋回していく感じは、飛行機嫌いな方にとっては乗っていて気分が良いものではないかもしれません。夜間、景色が見えづらい時間帯の便での搭乗をお勧めします

大迫力の山間部の低空飛行を終えると、あとは秋田空港へ向けてまっすぐ降下するだけです。

最後の最後は米どころの秋田らしく水田を見ながら降下します。9月も下旬、まもなく稲刈りの時期と言うことで、稲穂は黄金色に輝いています。

地上に帰ってきました

17:10、秋田空港に着陸しました。飛行時間は47分でした。飛行時間だけ見ると、羽田ー秋田線のそれと変わりません。ただ、羽田線はジェット機での運航ですので、新千歳線もジェット機で運航するJ-Air便などでは更に早く移動することができるかもしれません。

この後はT-4誘導路で滑走路をバケート。エプロンへと移動しました。

17:14、定刻の1分前に秋田空港5番スポットに到着しました。このスポットはボーディングブリッジがあるスポットと言うことで、ジェット機よろしくしっかりと接続され、直接ターミナルビルへと向かうことができました。

その途中、ふと機体の方を振り返ると、すぐに折り返し便の準備のために清掃係の尾根遺産やら、トーイングトラクターやらがスタンバイ。ここまでトーイングトラクターが不釣り合いな飛行機がいるのか、というレベルで車が大きく見えているのが印象的ですね。

最後に

今回は、ANAのローカル線にすっかり欠かせない存在となったQ400で飛ぶ、新千歳ー秋田線の搭乗記でした。短い飛行時間ながらも終始景色を楽しむことができ、Q400の良さを改めて実感することができましたね。

なお、今回ANA1834便で搭乗した機体は、このあと約30分のターンアラウンドを経て、伊丹空港へ向かうスケジュールが組まれています。実質的に、新千歳発秋田経由伊丹行きの飛行機と言えますね。直行便でひとっ飛びも良いですが、時間に余裕のある方は是非秋田空港を経由してのんびりQ400で移動するのも悪くないと思いますよ!

最後までお読みいただきありがとうございました。

新千歳ー秋田線搭乗記(J-Air・E170編)はこちら

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