2019年1月14日 ANA732便搭乗記 テスト勉強は機内で 往路

搭乗記2019

突発的な搭乗へのつよーい味方「スマートU25」

誰もが時々陥る無性にヒコーキに乗りたくなる病。飛行機へは2019年の1月頭に乗ったばかりですが、この病に陥ってしまった私は大学のテストが近いにも関わらず、暇さえあれば時刻表とFlightrader24を交互に眺めるという生活を送っていました。(暇の範囲内で)
このままでは生活に支障をきたすと悟った私、手っ取り早く病から脱出するために乗ることにしました。乗ってしまえばこの病とはおさらばですからね。
せっかくなので乗りに行くがてらテスト勉強ができればいいじゃないか、ということで目的地の条件に「ANAラウンジがある空港」を加えてささっと調べると、1月の3連休最終日でも朝の便を中心に空席がまだまだあるようでした。

というわけでチョイスした目的地は伊丹空港。当日からスカイメイト運賃(ANAではスマートU25という運賃名で呼んでいます)で普通運賃の半額以下で航空券を購入することができるので、日付が回ってからネット予約、発券をして寝ることにしました。

起きれなかったら行かなくていいやと目覚ましは出発時刻の50分前にセットして眠りにつきましたが、体は良く出来ているもので、目覚ましがなくとも空港へ向かうためには十分な時間で起きてしまったので、早朝から早速電車で仙台空港へ向かいました。

活気のある朝の仙台空港

空港に着き、紙のチケットを発行してからデッキへ向かいました。朝7時のデッキは誰もおらず、正直常識の範囲内で何をしても問題がないということで小声で歌いながら搭乗機を撮影しました。今回伊丹までお世話になるのはBoeing 767-300ER(JA606A)。当初は国際線機材として導入され、2007年からは特別塗装機「FLY パンダ」として就航していた機体ですが、2014年に国内線仕様に改修され、それ以降は活躍の場を国内に留めています。

朝の仙台空港には前日の夜に仙台空港へとやって来て、そのまま夜間駐機している飛行機を多く見ることができます。
国内線では近年機材のダウンサイジングが進行し、羽田空港を発着する路線以外ではリージョナル機が台頭するようになりました。仙台空港は羽田線が無いため、それに従って就航する機材も大半がリージョナル機やプロペラ機が占めています。

諸手続きもスムーズに通過

搭乗機の確認をしたところで保安検査場へ向かいました。

仙台空港名物だった保安検査場上の大型反転フラップ式案内板も昨年10月に役目を終え、今はこうして他の地方空港と同様液晶モニターに表示される方式に変わりました。保安検査場の脇など複数箇所に設置されているモニターではありますが、少々見づらい印象。将来的には以前同様大型のものが設置されるのか気になるところです。

アサインされていた搭乗口はお決まりの5番。さすがに出発30分前ではゲート前にGSさんの姿はありません。だからなんだって話ですが(笑)

これから搭乗する航空会社のニュースをラウンジで収集

大体出発時刻の15分前から搭乗が始まるだろうと見て、喉を潤しにラウンジへと向かいました。3連休最終日の朝ですから空いているんだろうなあ、と期待して入室するとその期待はものの見事に裏切られ比較的混雑していました。デスクタイプの席は埋まっていたのでソファータイプの席に落ち着いて、日本経済新聞を熟読しました。ちょうど1面にあった「ANAロシア就航」の記事に目が止まりました。1月23日に発表されたプレスリリースにはそれに関連した内容はありませんでしたが、モスクワとウラジオストクに就航を検討していると言うことです。(※2020年3月追記:この1年後、2020年3月にウラジオストク線が就航、7月にはモスクワ線が就航予定となっています)

2019年内に就航すると言うことになれば、1年で新規就航路線を4路線も開設するというぶっ飛びぶりを発揮することになるわけですが、中の人は大変そうです。

空いている機内へ潜入

07:35に搭乗開始予定のアナウンスがあったので、その5分ほど前に搭乗口へ向かいましたが、結局搭乗開始は07:40を過ぎた頃。3番目にゲートを通過しアサインしていた32Kの座席には07:45に辿り着きました。座席指定の画面を見た限り、搭乗客数は多くても5〜60人程度だろうと予想していましたが、その予想が当たったのか搭乗にかかった時間は5分程度で07:50にはドアが閉まりました。機内後方には数えるほどの乗客しか乗っていません。私の周りも空席だらけでした。

その他特記すべきことは、ボーディングミュージックが変わっていたことが挙げられます。Another Skyであることには変わりがないのですが、アレンジがやや変化していました。2019年1月はこれで4回目の搭乗となりますが、過去3回では変化に気付きませんでした。

騒音に配慮する早朝便

プッシュバックは07:54。仙台空港はおそらく騒音の関係上、余程の西風ではない限り、朝の便は海に向かって離陸するようになっているのでしょう、と言うわけで機首を西に向けてプッシュバックしました。エンジンが始動すると人間の呼気同様白い蒸気がモワンとエンジンから放出されました。冬ですね。

フラップを展開すると、主翼の燃料投棄用のノズル付近から、水滴がこぼれ始めました。場所が場所だったので注目していたのですが、暫くすると収まりました。朝露か何かだったのでしょう。

離陸は08:06、RWY09から太平洋に向かっての離陸となりました。滑走路の末端からではなく一つ手前の誘導路から滑走路へline upするインターセクションテイクオフでしたが、それでも滑走路を半分も使わずとも離陸してしまうその性能はあっぱれです。もっともこの日は貨物も旅客も少なすぎたということもありますが(笑)

一旦太平洋上空に出たシップは高度を稼いだのち右旋回で再び陸地上空へと入っていきました。出発方式はSTEED THREE DEPARTURE RIKYU TRANSITIONだと思われますが、福島県相馬市にあるSTEEDポイントは通過することなくそのまま同じく福島県は二本松市にあるRIKYUポイントを目指して南西方向に針路をとりました。

離陸後の右旋回で、仙台空港の全景を望む。Y字形に配置された2本の滑走路が特徴的。

右旋回中には仙台空港やその先に広がる仙台平野、仙台市街の様子も見えないことはなかったのですが、すぐに雲に突入してしまいました。空に上がるとシャッターチャンスは意外とすぐに去ってしまうものです。

下界が見えない時の楽しみ

08:08、離陸後2分でフラップが格納されシップは上昇を続けました。時同じくして薄い雲に突っ込み、そこを抜けるとブロッケン現象を拝むことができました。
円形の虹の中心に我が搭乗機の影が映る光景は何度見ても写真に収めたくなってしまうものです。

このブロッケン現象を見るためには太陽とは反対側、即ち順光側の座席に座るのが鉄則です。常に太陽の陽を浴びてフライトするのは大変ですし、こういったものを見ることができるとなると、順光側の座席をアサインしない手はありません。シェード?そんなものは知りません

再び下界現る

08:13、雲の切れ間から福島市とその周囲の市町村が位置する福島盆地が姿をのぞかせました。東北地方の主要な都市であれば、飛行経路と離陸してからの所要時間で大体どの場所かは見当がつきますが、福島のように新幹線が通っている地域では、その特定に特徴的な直線状の線路が大きく貢献してくれます。

その西側にある奥羽山脈の山々も全てが冠雪しているわけではなく、同じ奥羽山脈でも南側と北側、太平洋側と日本海側でその冠雪度合いが大きく異なっていることがわかります。

福島県二本松市にあるRIKYUポイントを通過し機首を東南東に向けたシップは航空路Y882に沿って南下を続けます。航空路Y882は福島県の猪苗代湖のすぐ南を通過するように設定されており、進行方向右側からはその北にある磐梯山の姿を見ることができました。肝心の猪苗代湖は写真が無いのでおそらく見えなかったのでしょう(笑)

磐梯山は富士山同様成層火山。標高は1,816mで会津富士と地元では呼ばれているそうです。大体その地域におけるシンボリックな山は〇〇富士と呼称される場合が多いように感じますが、ウィキペディアによると鳥海山を秋田富士と呼ぶと記載されていました。”出羽富士”は聞いたことがありますが、秋田富士は聞いたことがありません。そもそも山頂は山形県側にあるのに秋田富士っていうのも何だかおかしな話なように感じるのは私だけでしょうか?

「ただ乗るだけ」なら連休最終日の朝がおすすめ

一旦高度30,000feetで水平飛行し他の飛行機と交差したのち、08:23に巡航高度の38,000feetまで上昇完了しました。離陸してからあまり揺れもなく快適なフライトですが、その快適さは揺れがないことだけでなく機内が空きまくっていることも一つの要因だと思いました。というのもこの便、定員が270名のところわずか46名の乗客しか搭乗していなかったのです。搭乗率を計算すると17%、この便単体で見ると大赤字です(笑)

3連休最終日の早朝便ともなると、特にビジネス路線の色が強い路線ではこのように俗に言う「空気輸送」の姿を目の当たりにすることができるので、マニア的にはだいぶ興味深いところ。混んでる便よりも空いている便の方が楽ですからこれからも積極的に狙っていきたいですね。

山・山・山

08:31、シップは長野県軽井沢付近上空を通過中。眼下には浅間山を見ることができました。こちらも富士山同様成層火山で標高は2,568mあります。ウィキペディアを見ると火山活動が活発であることがわかるのですが、私個人的には浅間山と言えば「あさま山荘事件」の方がすぐに思い浮かばれます。もう40年以上前の出来事ではありますが、鉄球を壁にぶつけて突入を試みた映像は1度見ただけでもかなりインパクトがあると同時に、ある意味時代を感じさせられるものでもあります。

山がすっかり関係なくなってしまいましたが、仙台ー伊丹線は晴れていれば景色に飽きることはありません。この付近で巡航高度の38,000feetから降下を開始、まだ伊丹空港への着陸に備えた降下のタイミングとしては早すぎるので、気流の影響で揺れないようにとパイロットさんの判断なのでしょう。

08:35、「皆様左手には富士山が綺麗にご覧いただけます」とのアナウンスが入りました。日本を東西に横断する航空路からは一部を除いて大体富士山を見ることができますが、その時にCAさんからアナウンスが入ることもしばしばあります。以前羽田ー那覇線で同様のことがあった際には、複数の方が機内を移動して富士山の姿を写真に収めようと頑張っていらっしゃる姿が見受けられました。しかしながら、この便の乗客は46名。機内後方でいちいち座席を移動して富士山を写真に収めようとするのは私だけでした(笑)

羽田発で富士山の北を飛ぶのは北陸方面や福岡などへ向かう便が該当しますが、あまりそれらの路線に乗ることがないため、山梨側から富士山を見るのはなかなか新鮮でした。

08:37、コックピットからアナウンスが入りました。現在中央アルプス上空を飛行中、右手には北アルプスと諏訪湖が見えること、着陸時刻09:08、到着時刻09:15、到着スポット5番、などとごく一般的なアナウンスでした。それでもやはり実際に飛行機を飛ばしているパイロット氏の声を聞くとなんだか安心するものです。特に最近は様々問題が噴出しているということもあってか、この時も一層安心感を抱いたのを覚えています。

アナウンスにあった北アルプスは写真奥の白い部分。中央アルプスは主翼の下にある白い部分。白い部分と表すと稚拙な感じになってしまいますので「冠雪した部分」と言い換えておきます。
手前の山々はGoogleマップによると「駒ケ岳」と表示されていました。駒ケ岳だけではどこの駒ケ岳かわかりません。この駒ケ岳は木曽山脈に属すると言うことで木曽駒ケ岳と言うそうで、標高は2,956mだそうです。中央アルプス(木曽山脈)の最高峰で上空からでもその威厳が見て取れます。

中部地方に存在する日本アルプスですが、これは北アルプス、中央アルプス、南アルプスの総称。北アルプスは飛騨山脈、中央アルプスは木曽山脈、南アルプスは赤石山脈とそれぞれ〇〇山脈と名を持つわけですが、北から「飛騨木曽赤石」と塾で覚えされられたのを機窓を見ながら思い出しました。

大都会名古屋を見ながら降下開始

08:47、シップは愛知県岡崎平野の東上空までやってきました。東から伊丹空港へ向かう便ではお馴染みの、愛知県の風景が一望できます。特にこの日は天気にも恵まれ、名古屋市のある濃尾平野の方まで綺麗に見ることができました。

福島県の猪苗代湖の南西にあるONUMAポイントからここまでほぼ一直線に飛んできましたが、愛知県の知多半島の先にあるKOHWAポイントの手前で右に旋回、伊勢湾上空を経由して志摩半島上空へと入っていきました。すでに飛行機は巡航高度の30,000feetから降下を開始しており、フライトも終盤に突入です。

08:55、伊勢湾上空を通過して紀伊半島上空へとやってきました。フライト中は後々の記録に残すために些細なことでもメモを取るようにしているのですが、この時は「紀伊半島上空に達すると揺れ出した」とメモが残っていました。それでもそこまで大きな揺れではなく、ベルトサインはまだ消えたまま。空いているキャビンをトイレから戻ったお子様が走っている姿が印象的でした。

この付近は三重県と奈良県の県境なのですが見ての通り山しか見ることができません。それでも低い高度を飛行しているため時折集落が見えたりもするのですが、「買い物大変そうだなあ」などと思うものです。実際のところはどうなのかよくわかりませんが(笑)

特徴的な奈良の街を望む

09:00、ベルトサインが点灯し着陸態勢に入りました。

飛行機は奈良盆地の南端上空付近を飛行中です。この大きく広がる奈良盆地は奈良県北部にある奈良市まで広がっているわけですが、奈良盆地自体が奈良県の北部にあるため奈良県のごく一部を見渡しているにすぎません。ちなみに奈良県南部は山岳地帯に当たるため、この奈良盆地の位置する市町村の人口の合計は奈良県全体の人口の約9割を占めるそうです。(ウィキメディアより)

この付近まで来ると既に伊丹空港のアプローチコースに向けてレーダー誘導されるのですが、通常もっと北寄りを飛行するところ、他のヒコーキとの間隔を調整するためやや南に回されてしまったようでした。それでもこうして普段は見られない光景を見ることができたのは良かったですね。奈良なんて修学旅行で行ったきり用事もなく行くことがありませんから…

09:04、奈良盆地の西側を飛行してきた飛行機はその後生駒山上空付近で左に旋回、IKOMAポイントを通過して伊丹空港への最終進入経路に入りました。東から伊丹空港へ向かう便では、生駒山上空で通常右旋回するところ、今回は左旋回ですから普段とは異なる経路を飛んでいることがわかります。
この左旋回はなかなか珍しい(のかはよくわかりませんが)ということで旋回中に写真を撮ってみたのですが、思いのほか旋回の角度が緩く、あまり旋回しているような写真にはならなかったのが残念なところです。

因みにIKOMAポイントの名称ですが、勿論ここが生駒山であることに由来しています。秋田空港の周囲にも秋田県出身者の名前に由来するようなポイントが存在しNOZOM(佐々木希さん)、GIBAR(柳葉敏郎さん)などに混じってRINAHというポイントがあります。恐らく生駒里奈さんに由来するものだとは思うのですが、IKOMAは既にこちらにとられているので、下の名前をポイント名前に採用したということなんでしょう。「生駒ちゃん」と世間一般に呼ばれているので出来ることならIKOMAというポイント名にしたかったのかも分かりませんが、既に存在するものを使うわけにはいきません。こればかりは致し方がないですね。

淀川上空の通過でギアダウン

09:08、淀川上空を通過しました。この時点で高度は約1,200feet、メートル換算で365mです。東京タワーよりやや高い高度で、東京スカイツリーの展望デッキが350mにあるということですから、こちらとはほぼ同じ高さということがわかります。スカイツリーはまだ登ったことがないのですが、まあ似たような高度で飛ぶことができるなら登らなくても良いかな、といったところですね。

この付近でギアダウンされ、空気抵抗の変化に伴い風切り音も変わりました。特に車軸に近い主翼付近の席に座っているとその変化を一層強く感じることができます。この風切り音の変化を聞くとこちらもまた安心感が増します。

伊丹空港へのアプローチは大阪平野を低い高度で通過することが魅力の一つですが、迫力という面では進行方向左側に軍配が上がります。大阪城や梅田の高層ビル群を間近に見ながら降下していく様は圧巻です(慣れたら大したこともないですが)。しかしながら右側も、大阪平野に広がる住宅街や遠くには1970年の大阪万博でシンボルとなった太陽の塔も見ることができます。

勉強の進捗はさておき伊丹空港到着

09:10、伊丹空港RWY32Lに着陸しました。飛行時間は1時間4分でした。冬場に西へ向かう便は強い偏西風に逆らっての飛行となるため所要時間が夏場と比較して伸びがちです。と言いたいところですが、このANA732便では冬場と夏場の所要時間は5分の差しかないようです。400マイルほどの短距離路線であれば、偏西風の与える影響もそこまで大きなものではないのでしょう。

着陸後はW8誘導路で滑走路を離脱し、並行するA滑走路を横断、その後C3、E2、Eの各誘導路を経由してスポットへと向かいました。

20190114 NH732 (24)

09:14、伊丹空港の5番スポットに到着しました。関西圏の国内航空路線の要である伊丹空港ですが、空港の敷地面積はそれほど大きなものではありません。羽田空港とは異なり着陸後の地上走行も短く、着陸から到着までの時間も短くて済みます。

到着すれば飛行機を降りるだけなのですが、何しろ乗客数が少ないため降機も鬼のようにスムーズに進みました。いつもこんな便ばっかりだったら良いのになあ…と思ってしまわざるを得ないのですが、そうなると航空会社があっという間に吹っ飛びますので今後も暇そうな便を「狙って」乗るように努力したいところですね。

さて、無事に伊丹空港へ到着したわけですが、この後はすぐに仙台空港へ折り返しました。タイトル通り、今回はテスト勉強がメインですので、乗って来た飛行機に乗ってすぐに帰ることにしました。3連休の最終日となると、1月とは言え混雑するのです。混雑とは無縁でありたいですから、さっさと帰りましょう(笑)

最後までお読みいただきありがとうございました。

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