新型コロナウイルスに翻弄されたスケジューリング
新年早々から中国、武漢を中心に感染が拡大している新型コロナウイルス、1月末の春節に合わせて多くの中国人観光客が来日したことも関連し、日本国内でもその感染が広まりつつあります。今年は2月と3月でANAの上級会員資格であるプラチナステータスを獲得しようと様々予定を立てていましたが、あまり派手に動くのもよろしくないと考え、予定の大半をキャンセルすることにしました。
しかしながら、今回のステータス獲得に関しては、途中に俗に言う卒業旅行のようなものを組み込んでおり、せめてそれだけは出席しようというわけで、シンガポールへは向かうことにしました。丁度2月1日に、シンガポール政府は、14日以内に中国へ滞在歴のある外国人の入国を拒否する対策をとっているということもシンガポール訪問を後押ししてくれました。当初は、秋田ー羽田/成田ーバンコクーシンガポールと向かうはずが、秋田ー羽田ーシンガポールという超短縮行程になってしまいました。こればかりは致し方ありません。
突然降り積もる雪…
今回シンガポールへ向かう便は、羽田空港を0:30に出発する便を予約していたため、それに合わせて秋田発羽田行のANA最終便であるANA410便をチョイスしました。空港へ到着したのは出発時刻の1時間ほど前でした。滑走路の灯火が綺麗に見えている秋田空港ですが、エプロンと誘導路には雪が積もっており、この少し前までは除雪作業が行われていました。
今年の冬は暖冬傾向であり、雪が少なく、雪を観光の頼みの綱としている産業には影響が出てしまったよう、、なのですが、この数日前からこれまで蓄積していた分を一気に放出すると言わんとばかりに一気に雪が降り積もりました。その積もり方は、手前の柵に積もったものを見ていただければお分かりいただけるでしょう。
デッキで待つこと数分、羽田空港から今回の搭乗機、A321-211(JA111A)がやってきました。
A321への搭乗は2019年9月以来、久しぶりの搭乗です。直近の搭乗ではA321neoへの搭乗も増えていたのですが、今回は散々乗ったA321ceoの方、初号機のJA111Aへはこれで7回目の搭乗となりました。JA111Aは2016年11月の就航ですので、就航から約3年で7回搭乗するというのは驚異的なペースです。
通常であれば、デッキからでもノーズギア全体を撮影することが可能なのですが、今回は先ほど取り上げたように、奥の柵に雪が積もっているため、ノーズギアの一部が隠れてしまいました。
注意書きだらけの保安検査場前
搭乗機の確認が済んだのでそそくさと保安検査場へと向かいます。ANA410便への搭乗も数えきれないほどとなり、この出発便の案内板にも目が慣れましたが、モニターの脇には数多くの連絡事項が記載された紙が張り出されており、寧ろそれらの方に目がいってしまう程です。
渦中のコロナウイルス関連の案内は写真右側、それよりも写真左側の「ちゃんと保安検査受けろゴルァ」と書かれた文章に一層目が行きます。このようなものが張り出されているということは、つまりそういうことなのでしょう…
空港や航空会社が提供するものはサービスですので、なかなか「お客様」に対し、強気に出ることができない面がありますが、保安検査場の係員さんには、それ相応の権力を持たせて、迷惑な旅客に対しては毅然とした対応をお願いしたいですね。
いくら天下の秋田ー羽田線でも、土曜日の夜となると空いています。保安検査場もスムーズに通過し、出発の時を待ちました。
秋田ー羽田線は長らくANAの単独運航の路線でしたが、1991年より旧JALが就航し、ダブルトラック運航となりました。殆どの羽田空港発着の地方路線は、ANAの力が強く、便数、機材の面でも他社を圧倒していましたが、2002年のJJ統合によりそのパワーバランスが崩れました。秋田ー羽田線でもANAとJALの便数が均衡し、秋田発の最終便もそれまではANAが担当していましたが、ダイヤ変更により、2003年以降はJALグループ便が担当するようになりました。
一時期ANAの羽田行最終便の出発時刻が17:40にまで繰り上げられていましたが、2011年に1日5往復へ増便して以降、再び出発時刻が繰り下がり、今はこうして20:00発のダイヤが組まれています。増便によるダイヤ調整の影響もあるとは思われますが、羽田空港から深夜に出発する国際線への乗り継ぎの利便性を高めることも要因の一つにありそうです。00:30の便に乗るために羽田空港に19:00前に到着しても暇を持て余すだけですからね(笑)
タイムリーな飾り付けがなされる搭乗口
秋田空港はANA便とJAL便で搭乗口を分けるなどという殺伐としたことはしていません。常にノーサイドで、搭乗口も共有しています。
そのような中、どちらのスタッフの方が制作されたのかは分かりませんが、搭乗口前にはバレンタインの装飾が完成していました。そういえば、ANAでは2月14日に搭乗するとバレンタインのチョコレートを獲得することができます。2018年の2月14日、まさにこのANA410便に搭乗した際には、巡航中に1個、到着後に余ったものをもう1個頂きました。チョコレート乞食の方は2月14日の最終便に搭乗すると、もしかしたら複数獲得することができるかもしれませんw
土曜夜便、座席面では人権確保
19:48、搭乗となりました。今回の座席は後方の29Aです。事前に調べた限りでは、自分の席を含む29列目のABCは私が独占することができるようで、窓側席だからと言って優先搭乗する必要もないのですが、やはりさっさと搭乗してしまうのは航空ファンの性ですね。
因みに今回は、Group1番の優先搭乗(ダイヤモンド会員)で7名ほどのエリートステータスオジサマが搭乗されていたのが印象的でした。負けじとGroup2番の中では最初に改札を通過したのですが、特に何も起こりません。北関東3県の争い並みに不毛な競争心です。
19:53、定刻よりも7分早くドアが閉まりました。予想通り隣の2席は空席のままでした。50分のフライトであれば、特に通路に出る用事もありませんが、3席独占の方が圧迫感がなく、広々と感じますね。体を多少斜めにすれば、足も延ばし放題です。
機内で周囲を見渡すと、マスクを付けられている方が多く、なんといっても機内に入るや否やマスク姿のCAさんを目にするわけですから、異様な雰囲気が漂います。勿論私もマスクを着用していましたが、機内でマスクをするのは記憶にある限りでは初めてです。普段もマスクは殆どしないため、その点も違和感がぬぐい切れません。新型コロナウイルスの早期収束に期待ですね…
出発早々、トラブル発生…
20:03、プッシュバック開始となりました。離陸滑走路はRWY28のはずですが、反対側のRWY10方向へ機首を向けてプッシュバックとなりました。20:05に到着するJAL167便が隣の5番スポットへ入るため、それと干渉しないようにするためのオペレーションのように思われます。いくらニワカのヲタクとは言え、場数を踏んでいるとそれなりの判断はつくようになります。
案の定、JAL167便が隣の5番スポットに到着し、こちらが出発する準備が整ったように思われました。767クラスでもエプロンで転回し、滑走路へと向かっていくオペレーションが採られますので、それよりも小型のA321であればそのようなこともへっちゃらです。
と、言いたいところなのですが、なかなか飛行機は動き出しません。既にトーイングトラクターも外され、窓を見る限りな出発に支障はないように思われました。エンジンもしっかり始動しているように思われたので疑問に思っていると、アナウンスが入りました。
「現在、牽引車と機体を繋ぐ部分に不具合があり、解消に20分ほど要する見込みです」
「 20分…… orz 」
私としては、羽田空港での乗り継ぎ時間が3時間ほどある上、チェックイン時に乗り継ぐ旨を伝えていますし、もしこのまま不具合が解消せず、欠航になっても、翌日の便に変更してもらえばいいや、と考えていました。
しかしながら20分も待機するとなるとなかなか厄介です。まず、現在の停止位置は、2番スポットを塞いでいます。上の写真に写っているように、2番スポットにはすぐ後に出発するJ-AirのERJが入っています。こちらが場所を空けない限り、J-Air便も出発することができません。そして、この待機している時間に雪が降ってきました。もし、除氷、防氷の作業が必要となれば、更なる出発遅延は避けられません。なんとか解消すればいいな、と思っていると、上述のアナウンスから2分後に、トラブル解消を伝えるアナウンスが入りました。意外と早く治って良かったです。それにして子トーバー絡みのトラブルとは一体何だったのでしょうかね、気になるところです。
イレギュラーなタキシングルートで滑走路へ
というわけで滑走路へと移動開始となりました。予想に反して、飛行機はRWY10方向へタキシング、エプロンを出た付近で一旦停止し、今度はT3誘導路から一旦滑走路へ入りました。普段この場所から滑走路へ入り、そのまま離陸するということはない上、離陸を知らせるチャイムもなかったため、離陸はまだです。
一旦滑走路をタキシングした後、再びT2誘導路、T1誘導路を経由しRWY28へとたどり着きました。(上図参照)フラップを展開し、伊丹空港からのQ400の着陸を待ち、ようやく滑走路へと入りました。このようなタキシングルートで滑走路へと向かったのは初めてでした。必要最低限の誘導路のみが除雪されているのか、未除雪の区間を避けてのタキシングとなったのかもしれません。
Q400の着陸を待っている間に、J-AirのERJも滑走路へ辿り着いたようで、その姿が後ろから迫ってきていました。これでダイヤ上は離陸に支障がありそうなトラフィックは無し、あとは離陸するのみ、なのですが、滑走路上でも数分待機し、いよいよ離陸となりました。
やっとこさ離陸
離陸は20:33。ここまでで様々なネタが生まれているため、もうお腹一杯な面は否めません。翼に雪が積もらないうちにさっさと離陸してしまいたい…そのような気持ちで頭は一杯でした(笑)
これまで20回ほどはA321に搭乗していますが、ここまでパワフルな離陸は初めてなのではないかという程、勢いの良いの離陸でした。
主要都市の夜景を見ながらのフライト
離陸後は所々強く揺れる空域もありましたが、太平洋側の地域が見えてくるようになると、揺れも収まりなんの変哲もない普通のフライトとなりました。巡航高度は24,000feetでした。
飛行機は更に南下し、福島県はいわき市の姿が見えました。
東北地方は青森、秋田、岩手、山形、宮城、福島の6県で構成されているのは周知の事実です。東北地方の各都市の人口ランキングを見てみると、宮城県の県庁所在地である仙台市が突出している以外は、各県の県庁所在地が拮抗しています。しかし、仙台市に次ぐ人口の多い都市は、福島県のいわき市(339,349人)、郡山市(331,657人)で上位3位を占めるということになります。東北地方の中では2番目に人口の多い大都会であるいわき市、夜でもばっちり目立ちます。
21:05、飛行機はGODINポイント付近を通過しました。羽田空港のSID、STARが改められてから半年が経ちましたが、よく利用する羽田発着の北方面へ向かう便が使用するものに関しては、もうその名称には違和感が無くなりましたね。「ゴーディン」何だか響きもいいじゃないですか(笑)
この付近で進行方向左側には茨城県の水戸市が見えました。21時であれば、都市部はまだまだ明るい時間帯。夜景も簡単に撮影することができます。因みに秋田県の中では最大の都市である秋田市では、20時になると閑散としてしまいます。極力電力消費を抑えようとする意識の高い市民が多いのが理由の一つに挙げられています。(信じるか信じないかは貴方次第です)
この後も降下を継続していったわけですが、降下中はやや強めの揺れが続きました。CAさんにも着席の指示が出されていましたが、着陸態勢に入ったところで一旦離席の許可が下りたのか、機内を回ってシートベルトの確認などをされていました。その間も時々強く揺れることがあり、お仕事とは言え、大変そうに感じられました。
そして着陸
着陸は21:26、北風運用のセオリー通りC滑走路RWY34Rへの着陸となりました。飛行時間は53分でした。着陸後減速する時に聞こえるエンジン音がCFM56らしいですね。
21:30、羽田空港68番スポットに到着しました。定刻よりも20分遅れとなりましたが、秋田空港離陸までの間に様々あったことを考えると、この程度の遅れで済んで良かったです。ただ、到着スポットが68番というのは解せませんね。地方便とは言え、大都会の秋田発便なのですから、ゲートのアサインについてはもう少し優遇していただきたいな、と思うところです。
今回は冒頭のように、これからシンガポールへ乗り継ぎがあります。秋田ー羽田と羽田ーシンガポールの航空券は、別で発券しているのですが、秋田空港のカウンターで乗り継ぐ旨を伝えていたので、その情報がGSさんに共有されており、ボーディングブリッジを出たところで「しっかり荷物をピックアップしてくださいね」と伝えられました。現在は羽田空港内でも国内線と国際線でターミナルが異なりますが、2020年の夏ダイヤから、ANA国際線の一部便が第2ターミナル発着となります。同ターミナル利用の国際線に乗り継ぐ場合、預け荷物の扱いはどうなるのか気になるところです。
荷物をピックアップし、1か月ぶりに羽田空港へ到着しました。前回は、新型コロナウイルスが国内でも蔓延する前でしたので、1か月で事態がここまで急変することになるとは思いもしませんでした…
普段このANA410便に搭乗する際は、この後の予定は一切なし、ということが殆どだったのですが、今回はここから乗り継ぎがついてきます。早速国際線ターミナルまで移動しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
(※記事の一部に AIS JAPAN から図表を引用)
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