秋田空港40周年!資料室のリニューアルで実物のコックピットがやってきた

秋田空港

資料室「みんなのひろば 空」がリニューアル

2021年6月26日、秋田空港は開港40周年を迎えました。現在地に移設されてから40年、秋田の空の玄関として秋田の観光、経済を牽引してきた秋田空港ですが、40周年の節目の年は大人の事情で大々的なイベントを行うことができずに終わってしまいました…

そのような中でも、この40年という節目の年、秋田空港の新たな船出に合わせて、ターミナル3階の資料室がリニューアルされることになりました。

空へ吸い込まれる感覚に包まれます

7月20日のリニューアルオープンの1日後、早速現地調査へ出向きました。今回リニューアルの目玉は、空港ターミナルのSNSでも告知されていた「航空機の実物のコックピット」なのですが、そこに至るまでも大胆なリニューアルが施されていました。

見てください!空へ吸い込まれるような青一色の壁!天井!

以前は、写真手前同様、変哲のない白い壁だったのですが、この変わりようです。最近三半規管がおかしくなっているせいか()、まっすぐ歩いているつもりでも、なんだか違和感を感じました(笑)

そしてドーンとお目見えするのが、飛行機の機首の部分を形どった展示。ボーイングやマクドネル・ダグラス系のジェット機のそれを彷彿とさせるコックピットウインドウです。そして下には、トリトンブルーらしき青いラインが入っています。

それでは後ろに回ってコックピットとご対面です。

エ!

ル!!

テン!!!

ANA初のワイドボディージェット機、Lockheed L-1011 Tristarのコックピットでした。

令和に元号が改まって早2年。Boeing 787やAirbus A350といったグラスコックピットが主流のこのご時世、1970年代にデビューした飛行機のコックピットを見ることができる機会は、正直あまりありません。

コックピットの全景はこちら。アナログ計器が所せましと並べられている様子は、妙にそそるものがありますね。

トライスターと言えば、就航当初は競合する他の旅客機よりも先進的なシステムが導入されたことで話題を呼びました。自動航法システム(Area Navigation System)を備え、離陸直後から着陸までを完全に自動操縦で行うことが理論上可能となっていました。(もっとも、この機能を十分に使いこなすためには、地上の設備を整えている必要がありますが…)

日本では、ANAのみが導入したこのトライスター。日本でのデビュー時には、政界を巻きこむいざこざがあり、そちらの方で目立ってしまっている機体ではありますが、上記の通りのハイテクっぷりで、導入当初にエンジンのトラブルがあった以外は、高い安全性を誇っていたことでも有名です。世界でも、機体そのものに起因する事故は起こっていないことからも、これは語弊が無い表現だと思いますよ!

モデルも展示されています

散々機体について説明しておいて、全景は見れないのか!!

という声に応えて(かどうかは分かりませんが…)、モデルプレーンも展示されています。塗装は1982年から採用されている現行塗装のトリトンブルー。Boeing 767の導入に合わせて採用された塗装ではあるのですが、初めてこの塗装を纏ったのはトライスターという話も有名ですよね。

機体の特徴は、なんと言っても今ではFedexのMD-11でしかほぼ見る機会がないと言っても過言ではない、エンジンを3発備えた「3発機」であること。特にNo.2エンジンは、垂直尾翼の前に空気取り入れ口を設け、S字ダクトでその空気をエンジンへ導くという設計で、幼いころの私は、この構造を理解するのにかなりの時間を要しました(笑)

そんなトライスターですが、秋田空港には開港1年目の1981年に初就航を果たしています。以来1995年の引退まで、Boeing 767やBoeing 747と共に、秋田空港の大量輸送時代を支えてきました。秋田出身の方でも、この機体に思い出のある方はそれなりにいらっしゃるのではないでしょうか…

というわけで、秋田空港とも関わりの深い飛行機のコックピットという大目玉をご紹介しました。

脇には、しっかり解説するパネルも展示されているので、熟読と消毒をして是非見学してみてはいかがでしょうか。個人的には、一番後ろの航空機関士席がオススメです。(FEパネルもしっかり展示されています)

彼らもお引越ししてました

以前の資料室をご存知の方には馴染みがあるこちらのモデルたちと767のタイヤは、位置が変えられた上で継続して展示されています。最近は、機体を縦に並べるのが流行っているのか、それに倣ってこのような配置へと生まれ変わっています。

これまでに資料室は何度かリニューアルを経ていますが、このモデルたちは多少の入れ替わりがありつつも、大きく更新されずに今に至っています。これらの中で、今も日本で現役を張っているのは、ANAの777、767とJALの787、767だけになってしまいましたが、塗装と機体の組み合わせまで加味すると、全て過去の物です。

そして何より、天井から吊るされて一番目立っているのがJALの747。747を知らない航空ファンも増えているということですので、歴史を知る1つのきっかけに、是非秋田空港へ足を運んでみませんか?

スポッター界隈にやさしい環境へ

今回のトライスターのコックピットに殆ど持っていかれてしまった感がありますが、他にも新たな設備、コンテンツが用意された資料室、そして送迎デッキ周り。スポッター界隈の皆さんにも一層やさしい環境に生まれ変わっています。

Flightrader24

エアバンドを持たない私のような層の人間には、今のご時世Flightrader24とお友達になっている必要があります。しかし、このFlightrader、スマートフォンのバッテリーをいいペースで消費してしまうという欠点が…

このような悩みを見事に解消してくれる設備として、液晶画面にどデカく画面を映し出してくれるように生まれ変わりました。夏の暑い時期や冬の寒い時期、飛行機の着陸ギリギリまで快適な館内で過ごし、なおかつスマートフォンのバッテリーは節約したいという乞食系航空ファンにはこれ以上無いサービスなのではないでしょうか。

因みに、空港ターミナルのSNSによると、Flightrader用のアンテナを購入して、秋田空港発着便のトレースをより正確に反映できるようにしたそうです。ここまでやっていただけるとは、お布施させていただきたいレベルですよね。募金箱の設置も検討していただきたいところです。

休憩スペース

そして、資料室の向かいには新たに休憩スペースが設けられました。これまでは資料室内の旧型ビジネスクラスシートがその役割を担っていましたが、今回新たに、空きスペースとなっていたこの場所を改修することになったようです。

窓からの眺めはこのような感じ。

綺麗なエアポートビュー、までとは言い難いところはありますが、撮影の合間の休憩にはもって来いです。電源コンセントはありませんが、自動販売機と、こちらにもFlightrader24を映すモニターが設置されています。

いかがでしたか?

デッキ屋外にも新たにトーイングカーの展示が始まった。冬は滑って壊さないように細心の注意が必要だ。

暗い話題が続く航空界隈、秋田空港もコロナ禍の煽りを受け、利用者の大幅減少が続いています。40周年という節目の年がこのような幕開けになるとは思ってもみませんでしたが、新たな客層を掴むと言う点ではこれからは地方空港も「空港そのもの」を楽しむ時代なのかもしれません

その点、今回のリニューアルは話題性十分。全国のトライスター好き、そして地方空港好きの皆さんには是非秋田空港へ足を運んでいただきたいと思います!(8月6日から16日まで、ANA国際線仕様の767-300ERも運航予定です)(ここ大事)

最後までお読みいただきありがとうございました。

(記事の一部に「3発機リスペクト TRIJET STORY」イカロス出版を参照)

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