JA8971が引退か?終焉がせまるJA8900番台を振り返ろう!

飛行機全般

JA8971が引退濃厚のようです

ついにこの時が来てしまいました。ANAの旅客型のBoeing 767としては最後まで「JA8000番台」の登録記号を纏って活躍していたJA8971が、営業運航としてはラストフライトを迎えたようです。

それにしてもインターネットはすごいですね。その型式自体のラストフライトといったメモリアルなフライトならまだしも、ある1飛行機の引退の情報を掴むことが出来るのですから…

色んな意味でブラックボックス化されているこの界隈ですが、インターネットが良くも悪くもこの認識を変えてくれそうです。

閑話休題、JA8971の引退は、ANAの旅客機にJA8000番代の登録記号が付番されてある飛行機がいなくなることを意味しています。

登録記号に興味がないと言う方にとってはあまり大ごとではないのかもしれませんが、物心ついた時から()登録記号=レジストレーションに興味津々だった私にとって、この出来事は1つの歴史が終わったと言っても過言ではありません

少々早いですが、JA8900番台の飛行機について振り返ってみましょう。

数字4桁の登録記号としては末っ子のJA8900番台

日本で登録されている飛行機には、JA8272やJA007Dといった登録記号が付番されます。JAは国籍を示す「国籍記号」、それに続く数字、または数字+アルファベットで1機1機を識別するという具合です。日本では原則、引退した飛行機に使用されていた登録記号を、新たに登録する飛行機へ使いまわしていないため、1つの登録記号に1機の飛行機が紐付けられています。

特に、旅客機を中心に付番されていたJA8000番台の登録記号は、以下のルールに乗っ取って秩序良く分類されていました。

登録記号分類
JA8000~JA8099      4発ジェット機(ナローボディー)
JA8100~JA81994発ジェット機(ワイドボディー)
JA8200~JA8299単発、4発ターボプロップ機
JA8300~JA83993発ジェット機(ナローボディー)
JA8400~JA8499双発ジェット機
JA8500~JA85993発ジェット機(ワイドボディー)
JA8600~JA8699双発ターボプロップ機
JA8700~JA8799双発ターボプロップ機
JA8800~JA8899双発ターボプロップ機
JA8900~JA8999 

登録記号に明るい皆さんにとっては、この分類の存在や、この分類自体がとうの昔に形骸化してしまっていること自体、説明の必要がなさそうですが、この分類が定められた当時、まだJA8900番台はどの飛行機に割り当てるかと言うことが明確にされていませんでした。

それにしても時代を感じるこの分類、双発機に関してはジェット機よりもプロペラ機の方が多く登録されるていで考えられている点がそれを如実に感じさせてくれます!

当初は全く考えられていなかったであろうJA8900番台の使用ですが、やがて訪れるこの分類の崩壊により、JA8900番台を使用せざるを得なくなる事態が到来するのです。

爆発的に増加する「双発ジェット機」

双発ジェット機に用意されていた登録記号は、JA8400番台でした。今回引退を迎えたJA8971も双発機ですが、8400番台の4の字もありません。それもそのはず、JA8400番台のトップを飾ったJA8401は1969年に登録されたANAの737-200の初号機ですので、それからJA8971が登録された1997年までの約30年間、双発機が100機しか登録できないシステムが持つわけがないのです

上記の分類の崩壊は、このJA8400番台から始まった、つまり、双発ジェット機が増えずぎた結果なのですが、JA8400番台のラストナンバーであるJA8499が登録されたのは、いつかご存知でしょうか。

JA8499と同時期に導入されたMD-81(JA8497)。当時の東亜国内航空(TDA)が導入した。

答えは、1985年。

昭和のうちに崩壊していました。ベルリンの壁やソビエト連邦よりも先に崩壊していたんですね()

1980年代と言えば、TDAにA300が導入されたり、ANAとJALが揃って767を導入したりと、とにかく双発機が日本の空で活躍の場を増やしつつあった頃でした。登録記号の使いまわしができないということもあり、増加する双発機はその後、他の飛行機に割り当てられていた分類を埋めまくっていきます。

・JA8200番台(ANAの767-300初号機、JALの767-200/-300初号機、737-200など)

・JA8300番台(ANAのA320初号機、JASのA300-600R初号機、767など)

JA8500番台(JTAの737-400初号機、767、A300)

・JA8600番台(767、A300、A320など)

このような具合で、百の位が小さい順に双発機が埋めていったのですが、これでもとうとう賄いきれないほどに増加した日本の飛行機に対応するため、1992年からJA8900番台への登録が始まりました。

「新しい飛行機」との象徴ともいえたJA8900番台

1992年から登録が始められたJA8900番台、細かい分類にこだわる余裕がなくなった末の采配ですので、とうとう新規登録したい飛行機ならだれでもウェルカム状態となっていました。大小様々な飛行機が入り乱れる様子は、まさに登録記号のショッピングセンターです。(意味不明)

1990年代を代表する飛行機と言えば、747-400や777、767といったグラスコックピットを備えた所謂「ハイテク機」。これらの飛行機が多く登録されたJA8900番台は、「新しい飛行機」の集まりと表現しても過言ではありません。

JAL 747-400/400D

1990年から導入が始まったJALの747-400。当初はJA8000番台を使用していたものの、これが飽和したためJA8900番台へ移行。JA8901からJA8922までを使用しました。

ANA 747-400/400D

JALの747-400と同時期に導入が始まり、同じようにJA8000番台の飽和でJA8900番台へ移行。JA8955からJA8966までを使用しました。

JAL 777-300

1998年から導入が始まったJALの777-300はJA8941からJA8945までの5機がJA8900番台ファミリー。JASが発注し、JJ統合以降導入された2機と-300ERは全てJA7xxJの新ルールの登録記号で導入されました。

ANA 777-200

1995年から導入が始まったANAの777-200、3号機まではJA8197、JA8198、JA8199としっかりJA8100番台を埋めるかのごとく導入され、JA8900番台へはJA8967、JA8968、JA8969の3機が登録されました。

JAL/JAS 777-200

1996年から導入が始まったJALの777-200はJA8981からJA8985まで、また、JASの777-200はJA8977からJA8979までがJA8900番台に登録されました。

777シリーズに関しては、JALが初号機の登録番号をきりよく末尾が「1」となるように登録しているのに対し、ANAとJASは一先ず空いているところから…という違いが見えてくるのが面白いですね。

ANA 767-300ER

ANAの767については、JA8970とJA8971の2機がJA8900番台に登録されました。1987年から導入が始まった767-300シリーズは、JA8200番台、JA8300番台、JA8500番台、JA8600番台と頑張って空白地帯を埋めてきましたが、このJA8900番台もしっかりと隙間を埋めるようにその姿を刻んでいます。

JAL 767-300

ANAの767とは対照的に、JA8975、JA8976、JA8980、JA8986、JA8987、JA8988と6機登録されたJALの767。この付近の767は本当に新しいイメージが根強く残っています。

ANA A320-200

JA8946、JA8947、JA8997の3機が登録。特にJA8997については、後述するJALの737-400がJA8991、JA8992、JA8993…と順当に登録されていく流れをぶった切って登録されているのがかなりツボです。

JAL(JEX) 737-400

JA8997に流れをぶった切られたJALの737-400は、JA8991~JA8996、JA8998、JA8999の8機が登録されました。

1995年から、当初はJAL機として登録された737-400ですが、1998年にデビューしたJAL EXPRESS(JEX)に順次移管され、JA8900番台のラストを飾るJA8999は、唯一JAL塗装を経ることなく導入された機体となります。

JTA 737-400

JALグループで初めて737-400を導入したJTA。初号機のJA8523は1994年に就航しています。JA8900番台に顔を出し始めたのは1998年からで、JA8930、JA8931、JA8932、JA8933、JA8934、JA8938、JA8939、JA8940、JA8953、JA8954の10機が登録されました。

JTAのボーイングカスタマーコードは「Q3」ですが、これらの中には、それが「29」や「K5」の機体も存在しています。737-400製造終了後も他社からかき集めてきた証拠です。新しい新造機が登録されている印象の強いJA8900番台ですが、新たに日本へやってきた中古機もしっかりラインナップしています。

RAC DHC-8-100/Q300

JTAの子会社となり、沖縄の離島を拠点に運航している琉球エアーコミューター。現在まで続くダッシュ8シリーズの先駆けとして導入されたDHC-8-100はJA8935、JA8972、JA8973、JA8974の4機すべてがJA8900番台ファミリーです。

そして2007年、新ルールで登録される飛行機全盛となった頃、JA8000番台での登録を思い出させてくれるかの如く登場したJA8936は、RAC唯一のQ300。JA8900番台の末っ子中の末っ子です。

JAC Saab-340B

忘れてはならないのがJA8900番台のトップナンバー。JACのSaab-340Bに1996年に割り当てられました。JACとしては唯一のJA8900番台登録機です。

JALCARGO 747-200F

JA8937の写真は手配できなかったので、これで勘弁して下さい。1978年3月、成田開港前の羽田空港です。

もっと忘れてはならないのが、1機だけ登録されている747-200F。これまでなんとか「新しい飛行機」の体裁を保ってきたラインナップでしたが、流石に747-200Fを新しい飛行機の括りに入れてしまうのはちょっと…です

登録記号JA8937を割り当てられた、クラシックジャンボ唯一のJA8900番台ファミリーは、面白い経歴の持ち主で、この747は同一の機体で2つのJAナンバーを持つ機体でもあります。本題からそれるのと、きっと皆さんはご存知だと思うので割愛します。

とにかく記録が大事です

このように大きい飛行機から小さい飛行機まで、新しい飛行機から孤軍奮闘する古い飛行機まで、魅力あふれるJA8900番台ファミリーも、いよいよ終焉の時が近づいてきました。現在も登録されているJA8900番台の飛行機は、

JA8944、JA8945、JA8970、JA8978、JA8979、JA8980、JA8988の7機となっています。

このうちJA8970に関しては、BCF化され貨物機として今後も元気に飛び回りそうですが、その他の6機、JALの777、767に関しては、いつ引退してもおかしくない状態が続いています。とにかくどんな形でもいいので記録に励みたいですね。

JA8000番台の末っ子、JA8900番台を旅客機としてみることができるのもあと僅かです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

(記事の一部で「JAナンバーに秘められたロマン 登録記号に見た日本の旅客機:イカロス出版」を参照しています)

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