今一番身近な777!JALの777-200ERで新千歳へ(JAL531便 羽田ー新千歳線搭乗記)

搭乗記2021

777はまだまだ元気です

2011年にJALから、そして2014年にANAからジャンボ機、Boeing747が引退してから、日本の空、特に幹線の主役の座についていたBoeing777。

日本の空になくてはならない存在となっていた777も、例のウイルスの影響を受け、引退が進められているのはご存知の通りです。引退を免れた777も、主に国内線で活躍していた機体は、搭載しているエンジンのトラブルにより飛行停止の措置がとられています。日本国内の777にとって、まさに今は正念場なのです

羽田空港で翼を休める777たち。センサー類やエンジンにカバーがかけられている。

そのような逆風の中でも、引退、そして飛行停止を免れた数少ない777が2021年秋も活躍を続けています。今回は、今や最も身近な777と言っても過言ではない、JALの777-200ERのご紹介です。

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flight.No JAL531 ship Boeing 777-246ER registration JA701J seat 1K

STD 20:40 ATD 20:37 take off time 20:51 departure spot 23 take off RWY34R

STA 22:10 ATA 22:10 landing time 22:05 arrival spot 15 landing RWY19L

JALの777-200ERってどんな飛行機?

本題に入る前に、まずはJALの777-200ERについて軽くおさらいです。

2002年から2005年の4年間で11機が導入された。JALの777-200ER。この導入時期は、長らく747とJALの国際線を牽引してきたDC-10、MD-11の引退時期と重なります。これら2機種の後継機として導入されたのが、この777-200ERなのです。

近距離のアジア路線からヨーロッパ、北米路線まで幅広い活躍を見せていた777-200ERではありますが、787の導入に伴い、その活躍の場を縮小させ、国際線の需要が減少している2021年現在、活躍の中心は国内線となっています。導入された11機のうち、過半数の6機はすでに引退し、日本の空を離れてしまいましたが、残りの5機は国際線仕様の内装そのままに、国内線で活躍しています

クラスJを確保しました

今回、この777-200ER搭乗便として選んだのは、土曜日の羽田ー新千歳線の最終便であるJAL531便。緊急事態宣言が空け、徐々に国内線の需要が回復してきているとは言え、まだまだコロナ禍前のそれには程遠いという状況、大幹線の羽田ー新千歳線も一部便が計画運休となっており、この531便も運航日が限られているようでした。

土曜日の20時過ぎの羽田空港第1ターミナル。地方空港へ夜間駐機する便がまだ多数運休しているためか、かなり閑散としていました。密とは程遠い状況の中でチェックインと保安検査をやり過ごし、ターミナルの端の端、23番搭乗口へと向かいました。

ドーンと控えるこの飛行機が今回の搭乗機、Boeing777-246ER(JA701J)です。777-200ERの中の初号機で、機齢は19年です。

こうして考えると777もかなり古い飛行機になっているんだなあ、と感じるものです。道理で私自身も年を取るわけです(笑)

出発時刻の20分前頃になると、搭乗開始のアナウンスが流れました。今回は前方区画のクラスJをアサインしていたため、最後の方に搭乗することになりました。

搭乗時の機内混雑を避けるため、JALでも後方座席の乗客から機内へ案内する措置を取っているようです。航空券に印字された搭乗順(BOARDING GROUP)は、一番最後を表す「5番」の表記がなされています。

機体最前方、左側のL1ドアから機内に入り、ギャレーを通過して目の前にあるのが今回の座席、1Kです。1時間少々のフライトにはオーバースペックなこの座席に身を任せて今回は新千歳まで移動します。

国際線機材で国内線を飛ぶ醍醐味は、何と言っても国際線の上級クラスの座席をリーズナブルに体験することができることにあると思います。JALの777-200ERは、ビジネスクラスとエコノミークラスの2クラスで、国内線で運用される際には、ビジネスクラスがクラスJ、エコノミークラスが普通席として販売されます。

JALサイトより引用

昨年度まで現役で運用されていた国内線仕様の777-200は、クラスJが82席あった一方、この777-200ERには26席しか設定がありません。

ビジネス客を中心に人気のあるクラスJは、「普通席よりも先にクラスJから埋まっていく」と言われる程の需要があります。ただでさえ混雑するクラスJ、そして、座席数も少ないと言う条件をクリアするには、ビジネス客の少ない土曜夜か日曜朝しかない!とトライしてみると、窓側再前方のアサインに成功しました。

進行方向に向かって斜めを向いて座る「ヘリンボーンタイプ」が採用されているこの座席。新鮮な感覚を感じる一方、窓までの距離が開いてしまうのが機窓からの撮影を楽しみたい勢としてはこの点がややウェークポイントとなります。ビジネスクラスであれば窓の外よりも機内サービスを楽しんだ方が良いという意見は認めます。

搭乗がスムーズに進んだのか、はたまた乗客が少なかったのかは分かりませんが、定刻9分前の20:31にドアが閉まった我が777、20:37にはスポットを離れることになりました。GE製のGE90-94Bエンジンも無事に始動し、離陸への準備が着々と進んでいきます。

2021年秋現在、日本国内の航空会社では、このGE製のエンジンを装備した777のみが運航されています。もう一大勢力だったPratt & Whitney製のエンジンを装備している777(ANAの777-200/-200ER/-300)は、昨年と今年に日本とアメリカでトラブルが生じたため、飛行そのものが止められている状況です。JALの777も、国内線仕様の777-200/-300でPW製のエンジンを採用しており、運用停止が続いていたのですが、この措置が長引いてしまうとのことで、今年3月に即時引退となってしまいました。このような形での幕引きは想像していなかっただけに、衝撃が走りましたが、その代替として国際線仕様の777-200ERが国内線にコンバートされています

夜の羽田空港から出発

羽田空港でのタキシングルート(AISJAPANより引用)

諸々の準備が整うと滑走路へと向けて移動します。本日の離陸滑走路はRWY34R。第1ターミナルからやや距離があるのは難点ですが、エンタの神様をBGMに綺麗にライトアップされた第3ターミナルなどを見ながら過ごしているとあっという間にたどり着きました。

誘導路C-5から滑走路へ入ります。既に着陸機のライトが見えていたので、ここで一旦停止、滑走路の撮影チャンス到来か、と思ったのもつかの間、早々と滑走路へ進入しそのままローリングテイクオフしてしまいました。流石羽田空港の管制官、わずかなチャンスを逃さず着陸機の前に離陸機を捌いていきます。

JAL531 take off @Tokyo International Airport (BOEING 777-200ER)

20:51、羽田空港を離陸しました。東京湾を挟んで向かい側、千葉の夜景を横目に上昇します。パワフルなGE90エンジンのサウンドも旅情を掻き立ててくれますね。エンジン音をクリアに聞きたいときは機体前方の座席をアサインするのが必須です

東京湾上空で高度を稼いだ後、飛行機は新千歳へ向けて北上を始めます。先行には、同じく新千歳へ向かうANA81便とSKY729便へ続いていきます。こちらのスクリーンショットは、かの有名な「Flightrader24」のものなのですが、もちろん機内でのインターネット接続は無料です。国際線機材を国内線で運用する場合は、座席のモニターが使えない、Wi-Fiが使えない、といった場合がこれまではあったのですが、国際線機材の国内線運用が日常的に行われるようになったため、ANA、JAL問わずこの状況は改善されつつあるようです

21:09、巡航高度の41,000feetまで到達し、ベルトサインが消えました。ここまでで離陸から約20分。飛行機は既に福島県の猪苗代湖付近まで到達していました。那須塩原付近でやや強めに揺れた場所があったため、そこを通過するまでの忍耐だったようです。

清潔感溢れるラバトリー

ベルトサインが消えたと同時にラバトリーへ行きました。離陸後20分も忍耐するとは思っていませんでしたから(以下略)

扉を開けると真っ先に目に入ったのは、787と同じタイプの便器。機内改修の時に一緒に更新されたのかもしれませんが、水回りの設備が新しい物、綺麗なものだと好感度も高まりますよね

そして、その脇にはまさかの「ウォシュレット」も付いていました。ANAの777や787もビジネスクラス区画のラバトリーにはウォシュレットが装備されていますが、JALも負けず劣らず設備投資していたんですね。

10年前にANAの787に初めて乗った際、「ウォシュレットを食らうため」だけに便座に腰掛けたなんてこともありましたが、今ではすっかりお馴染みの装備になりつつあるんですね。お食事中の方、申し訳ございません。

蛇口の隣には、しっかり「消毒スプレー」も用意されています。コロナ禍でただでさえ減収の中、新型コロナ予防の対策に向けた出費は増えるということで、航空各社はまさに泣きっ面に蜂状態。積極的に乗って応援するのが一番です

座席もいろいろイジりました

再び自席へと戻り続いては座席を弄って遊びます。今回利用している座席は「JAL SKY SUITEⅢ」という名前が付いており、座席配列は1-2-1の4アブレスト。全ての座席が通路に面しており、席を立つときのストレスは一切ありません

まずは、リクライニングをいっぱいに倒してフルフラットにしてみました。座面それ自体は1m程しかありませんが、

モニターの下が広く空いているため、足をしっかり延ばすことができます。足元のスペースはやや狭くなっていますが、さほど気になる点ではありませんでした。

テーブルは、パーテーションから倒して出すスタイルを採用。この手の座席では引き出し式のテーブルが主流だと思いますが、壁にはめ込まれていました。近い将来見られなくなるであろう777-200の安全のしおりを添えてみました。

そのほかにも、読書灯やAC電源、USBポートと言った基本的な装備が用意されています。ボタン類は全て右側に集約されていたので、使い勝手も良かったです。

座席と窓の間には、サイドテーブルが用意されており、タブレットや飲み物を置くには十分なスペースが確保されています。窓の外に広がる非日常の光景を見つつ、機上で作業を進める。テレワークやリモートワークが推奨される昨今、ビジネスクラスシートでまったりしながら仕事をすることで、新たなアイディアの創出や、作業効率化に繋がること間違いなしです!!

夜景もそこそこ楽しめました

夜のフライトから見る地上の夜景は、幻想的ですよね。羽田空港から北へ向かう便でも東日本、北日本を代表する都市の夜景を見ることができます。

こちらは、東北地方第一の都市、仙台市の夜景です。仙台市は、東北地方唯一の政令指定都市で、人口は約100万人を数えます。広大な仙台平野に広がる街並みは遠くからでもかなり目立ちます。周囲にも、名前の知れた都市が点在してはいるのですが、街灯りの規模が桁違いなのです(笑)

時間が前後しますが、こちらは北海道の道庁所在地、人口約200万人を誇る札幌市の様子です。新千歳空港へ北から着陸する時に、その様子を見ることができます。

北海道の夜景と言えば、「100万ドルの夜景」と呼ばれる函館市のそれが有名ではありますが、都市の規模で圧倒する札幌市も負けてはいません。テレビ塔から眺める夜景も良さそうですが、遠目に機内から俯瞰するのも悪くないと思いますよ!

苫小牧の上空まで達した21:50、JALお馴染みの業務連絡「Cabin attendants prepare for landing」のアナウンスが流れ、着陸態勢に入りました。羽田空港を離陸してからここまで約1時間。相変わらずの圧倒的な速さで北海道へ連れてきてもらいました。降下中の機内では、到着後の降機順をアナウンスするプログラムが流されていました。

北の大地へ到着

JAL531 landing @New Chitose Airport (BOEING 777-200ER)

一旦新千歳空港上空を通過し、北東へ針路を取ったのち、反時計回りに旋回。22:05に新千歳空港RWY19Lに着陸しました。飛行時間は1時間14分でした。

22:10、定刻バッチリに新千歳空港は15番スポットに到着しました。なんだかんだで3年ぶりの新千歳。前回訪問時は日本にさえ姿を現していなかったJALのA350が隣のスポットで到着を出迎えてくれました。

この後は、事前のアナウンス通り、機内前方の乗客から順次分散降機。クラスJの乗客は1番に降機することができました。寧ろ前方の乗客がもたもたしていると、後ろの方へ迷惑が掛かってしまうので、そそくさと荷物をまとめて降機するように努めたのはいうまでもありません

ボーディングブリッジを渡り切り、ここまでお世話になった777に別れを告げます。これにてこの777もこの日のお仕事終了。明日朝再び羽田空港へと折り返すことになります。

Flightrader24で、この日のJA701Jの運用を確認すると、

JAL6774 福岡(8:53離陸)→ 羽田(10:07着陸)

JAL319 羽田(13:25離陸)→ 福岡(14:53着陸)

JAL320 福岡(16:06離陸)→ 羽田(17:17着陸)

JAL531 羽田(20:51離陸)→ 新千歳(22:04着陸)

という4フライトでした。国内線で運用される777は、多い時では1日6~7フライトをこなす場合もあることを考えると、かなり余裕を持った運用だということが分かります。

到着導線を通って、到着ロビーへと出てきました。22時を過ぎた新千歳空港、ここまで乗ってきたJAL531便の後には、羽田空港からのADO39便が控えるのみとなっています。コロナ禍とは言えども日中時間帯は利用者で混雑するであろう新千歳空港の館内も、この時間帯では人の姿もまばらです。

久々の777搭乗の余韻に浸りながら、人込みとは無縁のターミナルをいそいそと歩き、快速エアポートで空港を後にしたのでした。

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