隠れた繁忙期の11月
10月末から航空業界ではウインタースケジュールが開始となり、新規路線の開設や既存路線の廃止、増便や減便などが行われます。国内線では、年末年始の時期や3月の春休みシーズンを除き、サマースケジュール期間よりも利用が低調となってしまいます。そのため、ウインタースケジュールでは、機材や運航路線がやや物足りなく感じてしまうのです。
そのようなウインタースケジュール期間中でも、まだかろうじて秋の行楽シーズン、修学旅行シーズンと重なる11月は需要が高く、ANAの羽田ー秋田線でも2014年から5年連続で11月の搭乗率は70%を超えています。
このような背景もあってか、ここ数年は、ウインタースケジュール開始と同時に機材が小型化されていた羽田ー秋田線も、2019年は5往復中3往復がBoeing 767で固定運用、残る2往復のうち、夕方便のANA407/410便もかなりの日が767で運航されるということで、8月のハイシーズンと変わらない輸送量が提供されていました。
羽田―秋田線は、9月10月とAirbus A321だらけだったこともあり、選ばなくともみんな大好き767に乗れるということは喜ばしいことこの上ありません。早速東京で用事を作って、767へ乗ることにしました。
ルーティンワークをこなしていきます
ウインタースケジュール開始と同時に、ANAでは国内線の全空港において、保安検査場の通過締め切り時間を出発時刻の15分前から20分前に変更しました。
定時出発率を高めるための措置ということですが、これはなかなかいい判断だと思います。羽田空港では先行してこの変更が行われていましたが、空港によって異なるというのも多頻度利用者にとってはややこしいはずですので、この際統一してしまった方が良いと個人的には思いました。
今回は出発時刻の50分前に空港入りした私、すぐにデッキへ上がると、ちょうどこれから乗る767がやって来るところでした。
前便となるANA407便は、修学旅行需要で満席。デッキにもお子様を迎えにいらしたと思われる家族の方がちらほらお見えになっていました。因みに11月の基本スケジュールでは、この407便と410便はA321がアサインされていました。
数枚写真を撮って寒いデッキをそそくさと後にし、続いて1階のカウンターで紙のチケットを発券しました。
今回搭乗するANA410便は、秋田空港発のANA便の中では最終便です。搭乗手続き締め切りギリギリを攻めると、自動チェックイン機の電源が落とされてしまっているため、紙の搭乗券を発行したい方は早め早めの行動が大事です。もっとも、有人カウンターは最後まで開いていてるため、そちらで頼めばなんとでもなるということも付け加えておきます。
カウンターのモニターでは、410便の空席状況は◯の表示が出ています。土曜日夜の上り便ですので、訳の分からない団体様でもいない限りはこれが普通ですね。
飛行機が空いているのに倣って、保安検査場もガラガラでした。すぐに通過し目と鼻の先にある3番搭乗口の前に陣取ります。普段は立って搭乗開始を待つのですが、この日は日中5km爆走して半分眠かったので、ベンチで座って待つことにしました。
アナウンスでは出発時刻の20分前、19:40から搭乗開始となる旨が伝えられており、事前改札が19:36にスタートしました。しかしながら、事前改札で搭乗する乗客は0。ダイヤモンドメンバー優先搭乗は2名、といかにもガラガラの便らしい様を呈しているのが印象的でした。座っていればどこでも同じなので、私もさっさと搭乗することにしました。
機内の様子はお察しです…
今回も例によって優先搭乗で搭乗したのですが、優先搭乗をする理由は、出発前の綺麗なキャビンを見ること以外にありません。何度見ても散らかっていないキャビンは最高ですね。自分の部屋でもどこでもそうですが、やっぱり綺麗な方が良いじゃないですか(笑)
降機する時に機内の写真を撮らせていただくこともありますが、時間がないことに加え、シートベルトが席からだらんとはみ出ていたり、何故か通路に安全のしおりが落ちていたりと見栄えが良くないので、機内の写真を撮るのであれば搭乗時が1番です。これだけのために優先搭乗をするべく、ステータス修行をするオタクが居てもおかしくはありませんよ??()
と、熱弁を奮っている割には、写真がブレているというオチまで付けさせていただきました。
雨の秋田空港を出発します
綺麗な機内を目に焼き付けて座席へ着きました。今回、座席は後方の38Kをアサインしました。後方席をアサインした理由は言うまでもなく空いているのと、機内の写真を撮りたかったことの2点だけです。窓からの眺めはこんな感じ、と写真を撮ったは良いものの、窓についた雨が見事に主翼にモザイクをかけています。
以前は空いている便であればCAさんにログブックを依頼していたのですが、最近は控えて自分で書くようにしていました。今回も自分で書くように、と空いていた隣の座席にカメラと一緒に放置していたのですが…
担当のCAさん「こちらログブックですか?よろしければお書きしましょうか?」
私「お忙しくないですか?」
CAさん「書かせてください!」
こうなればもう断る理由もありません。記入をお願いすることにしました。「書かせてください!」と言われたのは初めてだったので、一人でクスクス笑ってしまいました。最近笑いのツボが変なのです。
19:49、機首を東へ向けてプッシュバック開始となりました。定刻よりも11分も早発です。ただでさえ乗客が少ない上に、ワイドボディー機ですから、出発準備がテキパキと進みすぎた産物です。会社にとっては良いことではありませんが、現場のスタッフ、乗客にとっては、ガラガラな便程良いものはありません。混んでる便に比べたら空いてる便の方がマシですよね?ね?
因みに、私のアサインしていた38列目は私以外空席でした。私にもっとも近い他の乗客の方は2列前の36Kの方でしたので、正直迷惑行為さえしなければ何をやっても全く白い目で見られることもありません。お見送りのGHさんと整備士さんにはブンブン手を振ることができました。雨の中お疲れ様でございました。
GHさんと整備士さんに見送られて滑走路までタキシング、T1誘導路からRWY28へline upしました。
RWY28からの離陸となると、進行方向右側の席から滑走路を見ることができません。今回は天井のモニターで機外カメラの映像を放映していたため、こちらの映像を拝借します。なんだかんだでこちらの映像の方が綺麗で見栄えもいいですからね(笑)
機外カメラの映像を撮影している間に飛行機はそそくさと離陸滑走を始めてしまいました。慌ててカメラをスマホに持ち変え動画の撮影に勤しみました。
離陸は19:57。時刻表上の出発時刻は飛行機が動き出す時間ですので、それよりも早く離陸してしまいました。ただでさえドッカン上がりで有名な767ですが、今回は客も貨物も少ないせいか5秒ほど滑走して離陸してしまいました。離陸後しばらくすると雲に突っ込み、やや上下に揺らされました。
空いてるキャビン、快適フライト
しばらくすると揺れが落ち着き、離陸から5分でベルトサインが消えました。雲を突っ切って上昇したため下界の街明かりは何も見えません。とりあえず安全のしおりとお茶を撮りました。
ざっと見ると機内中央の非常口座席から後方は、多く見ても30名ほどしか乗っておらず、ドリンクサービスではお代わりのオーダーも取っていたのは言うまでもありません。
ドリンクサービスの最中、先ほどログブックを依頼したCAさんに「将来は航空関係に進まれるんですか?」と尋ねられました。就職先は全く違う方面ですので、「全く関係ないんですよね〜Ahaha」と返さざるを得ません。少しでもトークが弾むような職業につくことができなかったのは残念なところです。
20:06、飛行機は巡航高度の26,000feetまで上昇し、水平飛行に移りました。そして、その後5分で山形盆地の東を通過しました。
太平洋側に向かうにつれて雲が消え、景色が見えるようになってきました。山形県東根市から上山市にかけて市街地が連なる地域はなんとか夜景を写真に収めることができます。だいぶ雑に撮っていますが笑
20:15頃に福島市付近にあるRUBISポイントで右に旋回、航空路Y10に乗り、なおも羽田空港を目指して南下を続けます。この時間帯は、21:00頃に羽田空港へ到着するスケジュールが組まれている飛行機たちが列をなす時間帯でもあり、我が410便はニューヨーク発のANA109便の後に付いて羽田空港へと向かうことになりました。
福島市内の夜景も雲に被らず綺麗に見ることができましたが、何度もご紹介しているためまたまた雑に撮影して終わりました笑
何度見ても飽きない関東の夜景
20:21に福島県白河市上空を通過した付近で降下開始となりました。降下中は所々軽い揺れがありましたが、天使の悪戯レベル。この程度であればむしろ乗っていて気持ちの良いものです。
関東南部の夜景はやはり何度見ても撮り甲斐がありますね。この時の羽田空港は北風運用でしたので、房総半島上空まで南下して着陸することになるわけですが、フライト後半は窓から目を離すことはできませんでした。
20:37にベルトサイン点灯、着陸態勢に入りました。今回は真後ろの席を含め、周囲ががら空きだったにも関わらず、リクライニングは一切しませんでした。新幹線にそこそこの頻度で乗るようになって思うのですが、飛行機の座席は最初からやや後ろにのけぞったようにセットされているため、正直リクライニングはしなくてもいいように感じます。新幹線の座席は座面と背面が90度ですから、あれは流石にリクライニングしないとやってられません。
房総半島上空までやってきた飛行機は千葉県市上空で右旋回、滑走路に正対したかと思いきや、今度は軽くライトブレイクして微調整。変なところで旋回すると何となくヒヤヒヤするのでやめていただきたいです()
モニター様様です
そんなわけで20:47、羽田空港のRWY34Rに着陸となりました。飛行時間は50分でした。普段は着陸のシーンも動画で残しているのですが、今回は離陸時同様モニターに機外カメラの映像を映してくれたので、静止画で片付けました。「34R」の文字がはっきり読み取れ、我ながらよく撮れたなぁ、と感じています。
接地後はやや強めのブレーキングで減速、これは早めに滑走路をバケートできそうだと思ったのですが、普段通りC8誘導路で滑走路をバケート、66番スポットへと向かいました。
羽田空港に到着です
20:52、羽田空港66番スポットへ到着しました。定刻の21:10よりも18分も早い到着、CAさんもアナウンスで「20分ほど早く到着いたしました」と仰られていました。
ブロックタイム70分の短距離路線でここまでの早着を実現することができたのも、テキパキとした関係者の行動、鍛えられたプロ乗客の行動の賜物である、そのように感じる次第です。ここまでの早着を実現するのには様々な要因が必要ですが、なんと言っても乗客の少なさというのは欠かすことができないでしょう。土曜夜便は「どれだけ早着できるか」に期待して乗ってみるのもいいと思いますよ。
なお、今回お世話になったのは、Boeing 767-381ER(JA611A)でした。2003年7月の導入で、搭乗時点の機齢は16年。
2018年12月に国際線仕様から国内線仕様へ転換され、その時に内装も一新されたため、機齢を感じさせないキャビンとなっていました。
66番ゲートからテクテク歩いて到着ロビーへやってきました。18分早着の我がANA410便の表示が堂々と掲げられています。
他の便は概ね定刻通りの運航となっているようですが、もう一便、大分からのSNA94便も22分早着の表示が出ています。この時点ではまだ到着しておらず、21:13の表示は着陸予定時刻を示していたようで、実際の到着時刻は21:16だったようですが、それでも19分の早着です。冬場の東行き便は偏西風にも乗ってなかなかいいスコア()を出すことができる気がします。
今回は到着スポットが66番と、展望デッキから撮影することができる位置に到着したため、羽田空港のデッキでも撮ることにしました。
こうしてみると何だか大きく感じてしまう767、見方によってそのサイズ感に1番差が出る飛行機だと個人的に思います。ANAの地方路線のエースとしてこれからも頑張って欲しいですね。
最後にフライトデータです
今回の飛行経路をFlightraderより引用しました。特に普段と大きな違いはなく、普段通りの飛行経路での運航となったようです。
おまけのおまけにフライトログです
最後の最後、締めはフライトログです。
まずは、私が航空券の保管用につけているものからご紹介です。
特に変哲はないですね。
次に、「書かせてください!」とCAさんに言われ、記入していただいたフライトログです。
これはwwwwwwwwwwww
機内で渡していただいてすぐに確認せず、空港を後にしてから見てみたのですが、開いていきなりこれが表れると、流石に失笑してしまいますよね。ゲラゲラ笑ってしまいました(笑)
その道の方に尋ねると、やはり出発前のフライトプランであろうということでしたので、Flightraderのプレイバックを使いながら、比較してみたのは言うまでもありません。
比較して気がついたこととしては、大きなものとして、巡航高度の違いが挙げられます。予定では32,000feetだったものが、実際は26,000feetでした。その分上昇にかかった時間も少なくて済み、TOCも予定の20:09より3分早い、20:06となっています。
常にコックピット内でも状況に応じた対応がなされていることがよく分かりました。そして、貴重かつ素敵なフライトログ、ありがとうございました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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