A320neoが国内線で乗り放題!
コロナ禍により続く国際線機材の国内線投入。ANAの地方路線でも、主力のBoeing 737-800、Airbus A321に混ざってA320も活躍しています。
以前はA320と言えば生粋の国内線機材。一部近距離国際線を担う一面も見られましたが、基本的には主要都市から地方空港を結ぶ路線でメインに活躍していました。
しかし、2016年から導入されたA320neoは、国際線機材扱い。ビジネスクラスとエコノミークラスの2クラス仕様で、全席にパーソナルモニターが装備されるという豪華な内装で就航しています。
今でこそ、A321neoも同じような内装で運航しているため、内装の珍しさはなくなりましたが、それでも肩書きは国際線機材。今回はそんなA320neoで飛ぶ国内ローカル線、羽田ー大館能代線のご紹介です。
<flight data>
flight.No ANA723 ship Airbus A320-271N registration JA218A seat 2A
STD 16:35 ATD 16:36 take off time 16:53 departure spot V1 take off RWY34R
STA 17:45 ATA 17:49 landing time 17:44 arrival spot 2 landing RWY11
出発はバスゲートから
2021年11月上旬の羽田空港。
徐々に国内線でも需要が戻り始め、便数も増えてきたのか、今回はバスゲートの506番がアサインされています。
保安検査場を通過し、左側(北側)へ向かっていくと見えてくるのが「バスラウンジはこちら」という表示。「500~513番ゲート」と数字3桁の搭乗口がアサインされた時はこの階段を下っていきましょう。
羽田空港はその長い歴史の中で、拡張に拡張を重ねています。バスゲートからの出発便は拡張に合わせて徐々に減り、ターミナルから直接搭乗できる便が増えました。バスの方がテンションが上がる一部のマニアにとっては世知辛い世の中ですね…(笑)
モニターに「大館能代」の4文字が表示された506番搭乗口。4文字の行き先表示はなかなかレアです。他にANAの就航地ですと他に「山口宇部」があるのみ、普段2文字や3文字の表記に慣れているとちょっと新鮮な気持ちになります。
A320neoとのご対面
大抵の場合バスゲート発便に乗ると、2台のバスに分かれて飛行機へ向かうことになります。私は今回2台目のバス。最後までお客さんを待つ関係から発車まで時間がありました。国土交通省から「旅客動向調査」に協力してね~。とのお願いがあったのでそれを書きつつ時間を潰します。
暫くして発車したバスに揺られること数分、シップサイドへやってきました。ここで今日の搭乗機、Airbus A320-271N・JA218Aとご対面です。
全長37.6mの小ぶりな機体に大口径のエンジン。これがA320neoシリーズの特徴です。機体工場見学以外では最もエンジンに近づくことができるバス搭乗。この時間こそ至福の時ってやつでしょうか…
ビジネスクラスがプレミアムクラス
タラップを上がり機内へ。
今回はプレミアムクラスとして販売されているビジネスクラスシートをアサインしました。シートナンバー2Aからの眺めはこんな感じ。主翼先のウイングレットに描かれたANAのロゴが良い味を出しています。
座席のポケットには、座席の全景と機能が記されたリーフレットが入っています。上級クラスの座席には様々な機能が備わっています。初見ではなかなか使いこなすことができない機能もこれを見れば一目瞭然です。
因みにこちらの座席は、A321neoに搭載されているプレミアムクラスと同じ座席です。
リーフレットの右上には「BUSINESS CLASS」のロゴも入っています。一応ビジネスクラスシートと言うのが本職ですので、しっかりアピールと言うわけです。
ANAのビジネスクラスで今最も豪華なビジネスクラス「THE Room」と比較すると豪華さは薄れますが、A320neoは国際線でも飛行時間が短い中国路線を主戦場としているためこの座席でも十分なのです。
座席の前後間隔が広いのもビジネスクラス区画のメリット。窓2~3個分は独占することができます。広々とした座席にこのシートピッチ、短距離国内線には十分すぎる装備です。
豪華なスポットから出発です
月極駐車場に番号が振られているように、飛行機の駐機場にも駐機位置を示す番号が振られています。今回はこちら、
「V1」スポットからの出発です。 スポット名の「V」は、「VIP」の頭文字からとられており、その名の通り要人のフライトが行われる際には、このスポットが使用されます。 まさに各国の要人の皆様と同じ景色を見ながら出発していきます。
飛行機が駐機場を離れる時間が実際の出発時刻として記録されます。今日のANA723便は定刻通り16:35の出発です!
E10、C誘導路を通り滑走路へ向かいます。遠目に見える東京都心のビル群。空が開けた羽田空港から見る都心の景色が東京で一番好きだったりします。
年々開発が進み、高層ビル群が増えている都心ですが、全長333mの東京タワーもそれに負けじと姿をのぞかせています。
離陸します
JALのA350に続いてC滑走路RWY34Rにline up。2基のPratt&Whitney製・PW1127G-JMエンジンが推力を上げ、特徴的な音が聞こえてくるといよいよ離陸です。
羽田空港から北向きに離陸した我がA320。出発方式はBRUCE TWO B Departure。離陸後に大きく右旋回するところまでは一緒ですが、
暫くすると左へ旋回。東京都心上空に潜入していきます。スカイツリーがすぐそこまで迫る圧巻の眺め!素晴らしい景色です!!
この航路は、2020年に新たに開設された出発方式。所謂都心上空ルートは着陸機ばかりがキャプチャーされがちですが、出発便でも荒川に沿って上昇する新ルートが設定されています。ウェイポイントの名前も、「ARAKA」「EDOJO」「OHEDO」とまさにご当地感丸出しのものが用意されました。
都心上空の素敵な夜景が雲に隠れると今度は綺麗な富士山が現れます。この時点でまだ離陸から5分と経っていません。この時点で既にお腹はいっぱいです。
お腹いっぱいなところに…
今回はプレミアムクラスの利用と言うことで、お食事が用意されます。(13:00から16:59までの出発便は軽食の提供)お腹いっぱいですが、軽食は別腹です。
取り敢えず写真だけ撮ってあとはバクバク口に放り込みます。メニューカードを見てもよく分かんないんですよね。つくづくプレミアムクラスに不釣り合いな「お客様」だと思うところです。
相変わらず量は少ないプレミアムクラスの軽食ですが、デザートは陶器に入った本格的な物が提供されました。「スイートポテトロールケーキ」甘みがあってとても美味しかったです。
以前は、箱入りの茶菓子が提供されていた気がしますが、この形で続けていただきたいですね!!
そして締めは「KUROBE」。様々なドリンクメニューがあるプレミアムクラスですが、高級感漂うラベルの巻かれた黒部の水で乾杯です。
順調なフライト。綺麗な夜景。
時間が経つにつれて日が暮れていきます。(当たり前)
かろうじて明るさを保つ西の空には綺麗な水平線がのびています。A320neoお自慢のシャークレットを絡めての写真撮影が捗りました。
さて、この羽田ー大館能代線ですが、途中までは秋田線と同じ航路を飛行します。北上を続けていると、秋田線でもお馴染みの庄内平野、酒田市の夜景が見えてきました。
秋田行きですと既に降下を始めている地点ですが、大館能代行きですとまだ巡航高度の26,000feet維持。この先の鳥海山を通過する付近で高度を下げ始めました。
酒田市の景色を見てから6分後、我がホームタウン、秋田市の上空を通過しました。高度11,000feet。
全景を綺麗に俯瞰できる丁度良い高度で数分間大都会秋田の夜景を楽しむことができました。日中時間帯の便でもこの景色を眺めてみたいですね!
目的地が近づきます
秋田市上空を過ぎてしばらく北上した我がA320ですが、ゆっくりと西に進路を取り始めました。
この時点で大館能代空港への着陸はRWY11確定。標準到着経路であるILS Z RWY11Approachに従って綺麗な弧を描きながら高度を下げていきます。
Flightraderの航跡とチャートを見比べてみてもこの同一感。芸術作品と言っても過言ではありません。
秋田県北部、バスケットで有名な能代市の夜景が見えてくる頃になると今度は進路を東に取ります。既に着陸態勢に入っているため、シートモニターを取り出すことはできませんでしたが、機外カメラやコックピットからは、滑走路の姿が捉えられているはずです。
着陸までの様子は動画で撮影しました。
無事に大館能代空港へ着陸した我がA320。ターニングパッドで転回しエプロンへ、到着時刻は17:49でした。
新型コロナウイルス感染予防対策として、各航空会社では分散降機が行われています。プレミアムクラスはもちろん1番最初に降機する権利がありますので、後が詰まらないようにそそくさと機内を後にしました。
ボーディングブリッジから「ODATE NOSHIRO」のサインボードを望みます。このすぐ上が展望デッキになっており、ギャラリーの方の姿もちらほら見えていました。コロナ禍による減便措置で、1日3往復のスケジュールが組まれているこの路線も、一時期は全便欠航という措置が取られていた時期もありました。
「移動すること」がやり玉に挙げられる日々が来るとは思ってもみませんでしたが、地域の方にとっては大切な首都圏との翼。引き続き苦難な道は続きますが、路線維持に向けて頑張っていただきていところです。
到着ロビーに出ると早速なまはげがお出迎えです。
なまはげのホームタウンは、秋田県の西に突き出た男鹿半島は男鹿市。この大館能代空港があるのは北秋田市ですので地元と言うわけではないのですが、全国的にも知名度が高いなまはげ様が「秋田に来た」ことを視覚に訴えてきます。
近くで見ると結構な迫力ななまはげ様にA320neoに乗って会いに行ってみてはいかがですか(笑)
最後に
今回は、「国内線を飛ぶ国際線機材」A320neoのご紹介でした。国際線機材の国内線投入は時限的措置ではありますが、なかなか先を見通すことができないこのご時世、先に手を打っておくに越したことはありません。
北は稚内、南は沖縄まで大活躍のA320neoでの国内線の空の旅。国際線復活へのウォーミングアップにおススメです!
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