これがコロナ禍の時刻表だ!! ANA時刻表2020年10月25日~11月30日版を徹底解剖

その他

ウインタースケジュールの発表もまだですが…

例年であれば、8月下旬に、冬季の運航計画が発表される国内航空会社。今年は、コロナ禍という事情があり、先々の予定を見通すのが例年と比較すると難しい年とはなっていますが、LCCや国内線のみを運航する新興航空会社、そして、JALも例年通り冬季の運航計画を発表しました。

特に今年のウインタースケジュールでは、羽田空港の発着枠コンテストで、見事に枠を勝ち取った路線の増便が開始される時期でもあり、JALの羽田ー三沢線が1日4往復に増便されるなど、減便に機材小型化を余儀なくされている航空業界においては、「時刻表上だけ」ではありますが、明るい話題となっています。

ANAはというと…

そのような中、国内線、国際線共に国内最大のシェアを誇るANAは、いつまで経ってもそのプレスリリースが発表されませんでした。毎週火曜日の夕方を楽しみにここ数週間過ごしてきましたが、とうとうそれらしい発表がなされる前に、ウインタースケジュール開始日、10月25日~のANA時刻表がANAのサイトにお目見えしました。

ここまで来るともう中身が気になって仕方ありません。今年に入ってからこれまで、コロナ禍による需要減退は一切加味されていない時刻表でしたので、今回は如何なる仕様で我々を楽しませてくれるのでしょうか…

2020年10月25日~11月30日版時刻表 徹底解剖

それでは時刻表を見ていきましょう。ANAサイトから、PDF版の時刻表をダウンロードしました。

まずは表紙から。時刻表の顔である表紙、特別普段とは異なる様子は見受けられませんでした。個人的には、ANAの新型コロナウイルス対策の取り組みである「ANA Care Promise」について全面的に押し出すような表紙になっていてもおかしくはないように考えていましたが、ここは通常通り早期購入型割引運賃である「ANA SUPER VALUE」の宣伝でした。

注目したいのは、左上「今年のキミは、今年しかいない。」というフレーズ。早期購入運賃あるあるのキャッチコピーではありますが、このご時世、どこにも行けずにただ時が過ぎ去るのを待っているだけの人々が多い中、このような言葉を投げかけられると、ハッとさせられるものがありますよね。

長い人生のうちの1年ではありますが、人間いつどうなるか分かりません。時刻表の表紙だけで、これほど深く人生について考えさせられるとは思いませんでした。この時点でかなり期待できる時刻表です。

ページをめくると、お馴染み「Go To Travel」の広告が目に入りました。航空券のみの購入では適用されないということで、航空券とホテルなどを組み合わせる個人包括旅行運賃を取り扱う「ANAダイナミックパッケージ」を紹介しています。

普段は値が張ってなかなか手を出せないホテル、旅館でも最大半額が補助されるということで、この点だけでも利用価値のある「Go To Travel」事業。私も早くどこかへ泊りに行きたいです。

そして、6ページに「ANA Care Promise」の紹介がなされていました。春先からの航空需要の減退は、航空各社にとっても大きな痛手となっています。このような状況を打破するためには、少しでも安心して飛行機に乗ってもらえる環境を構築する他に手立てはありません

臨機応変にこの対応は変わってきており、私が最後にANAに搭乗した今年の3月以降も、除菌シートの配布や搭乗順の工夫、機内の消毒と言ったような対策のブラッシュアップが進んでいるようです。

プレミアムポイントを2倍にするキャンペーンや、現在もマイル、アップグレードポイントのボーナス付与と言った需要喚起策が採られている一方で、搭乗時の機内混雑を避けるため、上級会員の優先搭乗サービスを取りやめるなど、思い切った感染拡大防止策が採られている点に、ANAの本気度が伝わってきます。

ネットの空席照会に似ている…

続いて国内線時刻表のパートに移ります。

羽田ー伊丹線の時刻表、機種欄を見て直感的に感じたのは、

ついにコロナ禍仕様の時刻表が出来上がった!

と言うことです。通常であれば、Boeing 777-200を示す「772」と787-8を示す「78P」で占められるはずの羽田ー伊丹線に、772の表示は1日3往復、78Pの表示は1日6往復、それ以外は767-300ERで運航される予定となっていますので、かなりイレギュラーなシップアサインが組まれていることが分かります。

いや、時刻表で見るとイレギュラーですが、最近ネットの空席照会では見慣れた並びですので、ようやく紙の時刻表が時代に追い付いてきたと感じました

幹線に767が投入されるため、普段767や787が多く活躍している地方路線では、それよりも小型の飛行機での運航を余儀なくされています。大抵の路線で、Airbus A321や737-800が運航され、767が投入される空港の方が珍しいという珍事が発生しています。

紙の時刻表で一覧を見ると、改めて航空需要が大きく落ち込んでいることを実感しました。

国際線の規模が大幅に縮小されているため、現在ANAの国内線には、純国際線仕様機であるA320-200neoが投入されています。かつては、羽田ー関西、成田ー中部線など国際線機材の間合い運用がある路線でしか見ることができなかった「32P」の表示が、羽田発着の地方路線で見放題です。

国際線仕様機とは言えども、姉妹機のA321neoが国内線仕様機らしからぬ全席シートモニター完備という内装で就航しているせいか、国際線機材と言う冠がやや霞んでいるA320neo。低需要の国際線を休止にするという話も出ているため、中国路線などのそれがいか程かは分かりませんが、今後一部A320neoは国内線機材として運用されるオペレーションが組まれるのではないか、と勝手に予想しています。

成田発着便は健在

国際線が大幅に減便されているため、その接続として運航される成田発着の国内線も、暫く運休が続いています。辛うじて時刻表には残り続けていましたが、伊丹線や中部線、そして那覇線では機材の小型化が行われているようです。あくまで時刻表上の世界ですので、現実の世界では小型化どころか就航しないという可能性さえ残されています。

成田発着で特記すべき点は、IBEXとのコードシェアを行っていた小松線と広島線が運休となることに加え、福岡線が記載されていないことが挙げられます。ウインタースケジュールいっぱいの運休が発表されている路線ですので、記載なしでもわかるのですが、他の路線も毎月追加的に運休が発表されているため、状況は同じです…

長崎空港にANA便でQ400投入

コロナ禍に伴うダウンサイジングで伊丹ー長崎線にはQ400が投入されるようです。九州発着の伊丹線は、全ての路線でQ400が投入されており、長崎線のみジェット機を維持していたのですが、ここにきてとうとうQ400の出番と相成ったようです。

通常であれば、781便で長崎空港に到着した飛行機は、その後那覇空港へ向かうスケジュールが組まれていますが、この時刻表では、すぐに伊丹空港へ折り返す運用であることが読み取れます。長崎―那覇線も時刻表上では記載がありますが、11月も運休となる見込みが高く、那覇線との接続については一切考えられていないことが伺えます。

変わらない部分ももちろんあります

ダウンサイジングやら路線そのものの記載が消えているやら、様々通常の時刻表との違いを見せつけられてきましたが、通常通りのページもありました。新千歳発着の道内路線、北東北路線は、通常からANAグループ最小機材であるQ400で運航されているため、コロナ禍においても何ら変哲もない記載となっています。

新千歳ー釧路線の737-800が無いぞ!!と気づかれた熱心なANAオタクの方、鋭い気づきありがとうございます。私も気づきました。

これはどうなんだ…

最後に岡山発着のページをご紹介。

ANAの岡山発着路線は、羽田線と新千歳線の2路線あり、新千歳線の機材は羽田空港からANA653便でお昼前に送り込み、新千歳空港から戻った飛行機を夕方再び羽田空港へANA658便として送り返すという運用が組まれています。羽田―岡山線のANA653/658便はウインタースケジュールいっぱいの運休が決まっていますが、新千歳―岡山線のANA379/380便は、小出しに運休発表コースを辿ると思われ、完全に孤立してはいるものの時刻表上では生き残っています

完全に岡山空港ベースで1機の737が就航するような図となっていますが、このようなイレギュラー成分ムンムンの時刻表もなかなか発行されることはないと思いますので、是非記念に1冊いかがでしょうか(笑)

国際線は??

フツーに余すところなく記載されていました。(真顔)

最後に

旬なネタがなかったため、今回は時刻表にフューチャーしてみましたが、様々な事情を考慮して発行にこぎつけた時刻表であることを考えさせられました。

これまでコロナ禍に伴うイレギュラーな運航が、紙媒体で残るということがありませんでしたが、この時刻表は、特に機材の面で現実を忠実に反映しており、コロナ禍の航空業界のシーンを後世に伝えるある意味貴重な資料となりそうです

流石に運休便まで反映することは難しいにしても、年中高い需要を誇る羽田ー新千歳線や那覇線などでも「773」の表記が一切なく、とうとう時刻表でもネットと同じような様子が表現されてしまうと、一段とコロナ禍で生じている現実をひしひしと感じました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました