昔にタイムスリップシリーズ③ 秋田空港×Boeing 747

歴史シリーズ

東北地方で最初に747が就航した空港

現在の秋田空港は、1981年6月26日に秋田県河辺郡雄和町(現秋田市)に開港しました。

秋田市内と現旧秋田空港の位置関係。秋田駅から旧秋田空港までは、直線距離で6km、一方現空港までは直線距離で14kmである。GoogleMapの経路案内では、自動車での所要時間が、前者は14分、後者は25分であり、現空港が秋田市内から遥か彼方に位置しているわけではないことも併せて明記する。(Google Maps 参照)

旧空港は、現空港より秋田市内中心部に近い場所にあったものの、日本海沿いに位置しているという地理的条件が災いし、特に冬季間の運航には制約がかかっていました。また、滑走路が短く、就航する最大の機種は、YS-11にとどまっていました。そこで、秋田県は旧空港を含む複数箇所を、新空港建設予定地としてリストアップ。検討を重ねた結果、現在地に新秋田空港が建設されることになりました。そして、1974年に着工した新空港の建設は、7年後の1981年に完成。上述の通り、その年の6月に開港となりました。

新空港の整備について、最も重要な点は秋田空港のジェット化が果たされたことである点は言うまでもありません。しかし、それに並び注目すべき点は、開港時の滑走路長です。

70年代から80年代にかけては、多くの地方空港が整備され、ジェット化の波が全国各地に押し寄せていました。しかし、ジェット化と言えども、九州の主要空港を除き、ほとんどの地方空港は、当時国内ローカル線で主力だった、Boeing 737や727、DC-9といった旅客機が就航するのに十分な、2,000m滑走路の整備にとどまっていました。

ところが我が秋田空港では、新空港開港と同時に、他の大多数の地方空港とは異なり、一気に2,500mの滑走路を整備し、デビューしたのです。この500mの差は、界隈の方には説明の必要さえないと思われますが、Boeing 747が就航するのには必要不可欠なものでありました

秋田空港のRWY28から豪快に水しぶきを上げて離陸する747

2,500m滑走路の整備は決して無駄なものではありませんでした。これまで64人乗りのYS-11が主力機だった空港ですので、1981年の開港直後こそは737や727が就航したものの、その年から早くもL-1011 Tristarや747と言った、当時は「エアバス」と呼ばれていた飛行機が就航し始めました。

秋田空港に747が初めて就航した1981年9月の時刻表。ANA875便と876便に4日だけアサインされた。通常アサインされていたのはBoeing 727であったため、747運航時は出発時刻が変更となっていることが分かる。

東北地方で80年代までに整備された空港の中では、仙台空港や山形空港よりもおそいジェット化となった秋田空港ですが、滑走路長で一気に東北地方上位に躍り出て、747が初めて就航した空港の称号を得ることになりました。(軍用機の離発着がある三沢空港は滑走路が3,050m。それ以外の空港で、1990年代に入るまで、2,500m滑走路が整備された空港はありませんでした)現在は、青森空港と仙台空港B滑走路の3,000mに抜かれ、花巻空港と福島空港と同順位になっています。

このようなツーショットも実現していました

当時国内各地を飛び回っていたYS-11と、その9倍のキャパシティーを誇った747

滑走路が2,500mに延長されたからと言って、秋田空港に発着する全ての飛行機がジェット化されたかというと、そうではありませんでした。旧空港から新空港へ移転した時点で、秋田空港を発着していた航空会社、路線は、ANAの羽田線とTDA(JAL、JASの前身)の伊丹線、千歳線でした。この中でも、羽田線は完全ジェット化を果たしましたが、TDAの2路線、特に伊丹線は、引き続きYS-11による運航となっていました。

伊丹空港は、騒音問題が顕著な空港であり、現在も運航に関する様々な制約があります。当時も、伊丹空港発着便では、プロペラ機に増して騒音が大きいとされていたジェット機が敬遠されており、せっかく地方空港の整備が整っても、ジェット機を就航させることができない事情がありました。秋田ー伊丹線が完全にジェット化されたのは、90年代に入ってからで、我が家では、JASのレインボー塗装を纏ったYS-11の写真も発掘されています(笑)

少々脱線しましたが、このような理由で、秋田空港では、ジャンボとYSのツーショットも実現していました。当時の地方空港でこのような写真を撮影することができた空港もかなり限られているはずです。現在でいうところの、777-300とQ400のツーショットと同等の価値があります。(むしろ、現在、地方空港で777-300とQ400を一度に見ることの方が困難を極める感がありますがw

メモリアルな747の写真でした

今回登場してもらった747は、Boeing 747SR-81(JA8133)でした。ANAにとっての747の初号機で、1978年12月の導入です。ほぼ同時に2号機となるJA8134も導入されており、共に1979年1月よりラインデビューを果たしています。

1979年に就航、1983年に導入完了、そして、2006年にJA8157が引退するまで、27年に渡って運航が続けられたANAの747SRですが、このJA8133と8134の2機は1994年末から1995年初頭にかけて早々と引退しており、L-1011のラストフライトよりも早く、日本の空から姿を消すということになりました。

秋田空港で747を見たいです

747就航に対応するため設置された、3番搭乗口の「後方搭乗口」。L1ドアのみで乗降扱いをすると、やはり時間を要したようである。

私自身、ANAに限らず、秋田空港で747を見たことが1度もありません。政府専用機が777へとリプレースされてしまった今、この先秋田空港でその姿を見ることができる可能性は限りなく0に近いですが、どこの航空会社でもいいので、秋田空港に747を飛ばす強い意志のある航空会社が出てくることを祈っています

最後までお読みいただきありがとうございました。

(※記事の一部は、秋田空港概要 OUTLINE OF AKITAAIRPORT(秋田空港管理事務所) を参照)

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