秋田空港とANAの777の歴史を振り返る~777黎明期~

Boeing 777

ANAの777がデビューして今年で30年になる。今でこそANA国内線で最大級のキャパシティを誇る機材として幹線での活躍が目立つ777だが、デビュー当初は747と767の中間クラスの機材として、活躍の中心は高需要のローカル線だった。

現在に至るまで空路と陸路が熾烈な争いを続ける東京ー秋田間でも、例外なく777は大活躍していた。その歴史を時刻表と共に振り返りたい。

1996年

1995年に初就航したANAの777。

早くもその翌年、1996年から羽田ー秋田線へも定期就航を果たした。当時はまだ秋田新幹線の開業前、さらに777は登場間もない時期でフリート数が少なかったこともあり、秋田線でも777は脇役で747SR(ジャンボ)の方が主力機のような扱いだった。

1996年7月18日~8月31日版 (SR…ボーイング747SR-100、B7…ボーイング777-200、B6S…ボーイング767-300)
1996年10月1日~31日版

1997年

1997年3月22日、秋田新幹線が開業した。

東京ー秋田間が乗り換えなしで最速3時間49分。パイロットと客室乗務員が飛行機から降りて、新幹線で秋田へ向かうという敵意むき出しのCMが有名になったが、エアライン側も強気の姿勢を崩すことなく、777はもちろん747も継続して投入していた。

1997年3月1日~31日版
1997年4月1日~5月31日版

秋田新幹線開業後すぐの1997年春には、4往復全てが777で運航されるようになった。当時弱冠1歳強の最新鋭機777を新幹線との競合路線に容赦なくアサインする様は、2012年頃の羽田ー山陽路線への787集中投下と同じものを感じる。

なお、2013年3月16日に秋田新幹線の現行車両であるE6系新幹線がデビューしたが、それに合わせて羽田ー秋田線でも787の投入が発表されていた。しかし、同年1月に発生したバッテリートラブルによる飛行停止措置により3月の秋田就航は幻のものとなってしまった。

1998年

1998年4月1日~30日版 (74R…ボーイング747SR-100、772…ボーイング777-200、763…ボーイング767-300)

1997年春の時点では4往復全てが777で統一され、一気に世代交代が進んだかと思われたが、翌1998年にはジャンボが息を吹き返し、形成が逆転していた。1998年4月の時刻表から機種の表示が改められ、見慣れた「772」の歴史がスタートした

1998年11月1日~30日

なお、1998年は、佐賀空港の開港などで一部路線の便数調整が行われた結果、ANAの羽田ー秋田線は1日4往復から3往復へ減便された。それに伴う供給の減少を少しでも補うべく、再び羽田ー秋田線は全便が777で運航されるようになった。

2000年

2000年に羽田空港の新B滑走路が運用開始され、7月から発着枠が増加した。

再び1日4往復体制となったANAの羽田ー秋田線は、777と767が2往復ずつのダイヤ設定となった。(JAL便も767で1往復増便され、747の出番は減少した)

2000年6月1日~30日
2000年7月14日~8月31日版
2000年9月1日~30日版
2000年10月1日~31日版

また、7月の増便で秋田空港では開港以来初めてとなる夜間駐機がスタートした。当初は767がその役を担っていたが、9月のダイヤからは777のナイトステイが始まった

乗員繰りのため、秋田発872、876便と羽田発873、879便に777が固定される運用となった。

2001年

2001年も引き続き1日4往復体制が維持されていた羽田ー秋田線。767の勢力が強くなり、777の投入が少なくなっていた。

それでも、時刻表に表れないところで747や777へのタイプアップも多くあったようで、777もまだまだ常連扱いであった。

2001年1月9日~31日
2001年6月1日~7月12日版

秋田空港の777運航便が全盛期を迎えていた1997年春の時刻表と、2001年6月の時刻表で777-200投入路線、便数(往復ベース)を比べてみた。(太字は777-200の便数、カッコ内は747-400、747SR、777-300の便数)

路線1997年4月版2001年6月版
羽田ー伊丹0(4)2(6)
羽田ー関西0(1)1(1)
羽田ー函館2(0)2(2)
羽田ー秋田4(0)1(0)
羽田ー富山0(0)1(0)
羽田ー小松0(3)1(2)
羽田ー広島2(0)3(2)
羽田ー高松3(0)1(0)
羽田ー松山1(0)4(0)
羽田ー熊本1(1)2(0)
羽田ー長崎1(2)2(1)
羽田ー宮崎1(2)2(2)
羽田ー鹿児島0(5)2(3)
羽田ー那覇0(4)1(5)
伊丹ー福岡1(1)1(1)
伊丹ー大分1(0)0(0)
伊丹ー熊本0.5(0)0(0)
関西ー熊本0.5(0)0(0)
伊丹ー長崎0.5(0)1(0)
関西ー長崎0.5(0)0(0)
伊丹ー鹿児島0(0)1(0)
新千歳ー仙台0(0)1(0)
新千歳ー広島0(0)1(0)
那覇ー広島0(0)1(0)

いかにも「強そう」な路線が炙り出されたが、確かにこのラインナップを見ると羽田ー秋田線のかよわさが目立ってしまうのは言うまでもない。

ANAの777は1995年まで活躍していたロッキードL-1011・トライスターの後継機として導入されたため、トライスター投入路線だった羽田ー秋田線への投入も自然の流れだったかもしれない。しかし、陸路との競合の激化や羽田空港の発着枠増加に伴う増便により、767でも十分じゃないか…?となり始めたのがこの頃だったように思われる。(なお、1997年から2001年の間で羽田ー秋田線の搭乗率、利用者数は共にほぼ右肩上がりで推移していた。

2003年

2003年、JJ統合に伴い、4月からJALの羽田ー秋田線がJAS運航となり1往復増便された。ANA便を合わせて1日8往復体制となったが、引き続き秋田空港には777が元気に飛来。8月ダイヤでは777-300の定期運用が復活した。

2003年7月18日~8月31日版

しかし、この2003年8月の「773」を最後に、秋田発着路線での「772」「773」表示は9年間息をひそめることになったのである

つづく

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