ANA671便 羽田ー広島線搭乗記 地方空港で777を見たい~広島空港編~

搭乗記2024

777が来る広島空港は100点満点で完璧

世間一般の広島空港に対するイメージは、あまり良くないようです。

2017/10/8 ANA682便 広島→羽田 Boeing 777-281ER JA708A

しかし、そんな広島空港にも国内最大級の双発ジェット機であり、フライ・バイ・ワイヤで、顔がイケメンなボーイング777が就航していることは何にも代えがたい事実です。東海道・山陽新幹線という強力なライバルがいる中でも、777が1日複数便設定されている広島空港は、私にとってまさに聖地のような存在なのです。

これまで777目的で広島空港へ足を運んだ回数は、コロナ禍前の3回。コロナ禍が明け、再び航空需要が復活し、広島空港にも以前のように777が飛び始めたということで、聖地巡礼、一路広島空港を目指しました。

広島行き始発・671便

2024年2月のスケジュールでは1日2往復777がアサインされていた羽田ー広島線。そのうち、始発であるANA671便に乗って今回は広島空港を目指します。

搭乗機はBoeing 777-281(JA714A)。747SR-100の後継機として、2005年に導入された。

2月の某土曜日早朝の羽田空港。展望デッキオープンと同時に外へ出ると、64番スポットには既に777が入ってスタンバイしていました。

隣の65番スポットには、777-300が同じく出発準備中。どちらも引退時期が近づく機材ということで、そう長くは見れない光景を目に焼き付けて、保安検査場へ向かいました。

保安検査場のモニターには機種の表示があります。ヴァージンオーストラリア航空とのコードシェア運航となる我が671便、「TYPE」欄には、「772」の文字があります。

熊本や長崎などの空港を差し置いて…と言いたいところでしたが、表示されているのはソラシドエア運航の便でした(笑)

アサインした座席は3K。綺麗、気持ちいい、快適の3Kである。

64番ゲートの改札を通過し機内へ入ります。

個人的に機材変更が多いなあと感じるANA。例えば日曜早朝便のように乗客が少ない便に、777や787をそのまま投入してもコストが増えるだけなので、仕方ない対応ではあると思います。ならば、その確率を少しでも下げたい、と土曜日の早朝便を予約すると逆に普通席が混雑しすぎていたので、プレミアムクラスにしました。

このような消極的な理由でプレミアムクラスに乗ることが、最近増えてきた気がします。

ANA13便、大阪国際空港行 Beoing 787-8 JA832A

主翼の大きな777、普通席の窓側をアサインすると、軒並み翼の上か翼の後ろしか選択肢が無くなるため、綺麗に下界の写真を撮るにはプレミアムクラスがもってこい、というメリットもあるということも併せてお伝えします。

隣の787も良く見えました。因みに7:00発の伊丹空港行13便だそうです。伊丹行きよりもこちらの方が飛行機がデカいです。朝からいい気分です。

タキシング中は777撮り放題!

定刻6分前にドアが閉まった我が671便、広島へ向けいざ出発、と行きたいところですが、出発ラッシュの時間帯を迎えている羽田空港は、空も地上も大混雑。ドアが閉まって14分後、ようやくプッシュバックが始まりスポットを離れました。

上述の通り需要の多い土曜日の朝と言うことで遅延は仕方ない一方、推しシップの777もたくさん運用に就いているようで、機内からならではのアングルでたくさん写真におさめることができました。

ANA241便、福岡空港行 Boeing 777-381 JA751A

ANA241便、福岡空港行 Boeing 777-381 JA751A(左)、ANA467便、那覇空港行 Boeing 777-381 JA755A(右)            

ANA51便、新千歳空港行 Boeing 777-381 JA752A

と、言った具合にボーイング777、特に機齢25年前後の777-300が朝からいきいきと活動している様子をたくさん目にすることができました。

ANAやJALで、国内幹線の主力機に個人用モニター、充電用の電源を備えた大型機が多く投入されるようになった今、ANAの777-300の目立った設備と言えば機内Wi-Fiしかありません。ただ、他のどの機種にも引けを取らない514席という圧倒的な輸送力で高需要路線を支えています。

C滑走路から一旦北へ

777の撮影会を終えるとシップはすぐに滑走路へ。第2ターミナル目の前のC滑走路、その上滑走路の端ではなく、途中のC-5誘導路から滑走路に進入するインターセクションディパーチャーで、スポットから離陸までの地上走行時間はわずか5分という結果となりました。

搭乗機のJA714Aは、個人用モニターが装備されていない、機種コード「772」の機体。個人用モニターやWi-Fiといった機内装備がメジャーではなかった頃の楽しみの1つ、機外カメラの映像が離陸前にモニターに映し出された。

滑走路に入るとまもなく離陸滑走開始。777らしいゆったりとした離陸で広島までの約1時間の空の旅の始まりです。

写真の左右に渡って流れている川は荒川、写真中央部の白線は東京外環自動車道。

羽田空港を離陸すると、荒川の河口付近から陸地上空へ進み、荒川に沿うように左旋回しつつ高度を稼いでいきます。

進行方向右手には、果てしなく広がる関東平野が一面に広がる光景が広がりました。晴れ渡る空に、下界は朝日に照らされた街。天気の良い早朝フライトの醍醐味をフライト序盤から感じることができました。

横田基地と言えばフレンドシップ・フェスティバル。地上では広く感じる駐機場も上から見ると小さく感じてしまうのが面白い。

その後針路を西にとったシップは、東京都西部へと進んでいきます。相変わらず雲一つないこの日の首都圏、アメリカ軍の横田基地もしっかり目に焼き付けることができました。

それにしても伊丹空港や福岡空港に劣らない「街の真ん中にある空港」ですね。これから向かう広島空港とは正反対です。

南アルプスの山々と伊那谷。写真中央やや左側には諏訪湖も見えている。

離陸から13分が経った7:39、巡航高度の32,000feetに達し、水平飛行へ移りました。

羽田発広島行きは、航空路Y20を経由してフライトが進んでいくのが一般的だと思われますが、日中のフライトは進行方向右側がおススメです。

まずは、南アルプス、中央アルプス、視界が良ければ北アルプスをバッチリ望められること。鋭利な刃物のような山頂を持つ山がいくつも連なる様子を上から見下ろすという、これまた非日常を味わうことができます。

さらに、窓が北を向いているため、景色を見ていても眩しくないこと。直射日光にやられることなく、快適に景色を楽しむことができます。(ちなみに富士山は反対側の窓側から見ることができます)

一番旧式のプレミアムクラスシートになってしまいました

この新シートを初めて装備したのは、Boeing 777-281ERのJA741A。最古参のシートではあるが、737から787まで多くの機材に搭載されている。

冒頭でご紹介の通り、今回はプレミアムクラスをアサインしていました。2008年のサービス開始から15年以上が経過し、その間様々なシートが登場してきましたが、今回搭乗している777-200(JA714A)に搭載されているのは、2012年にデビューしたこちらのシート。

デビュー当初は、これまでの布張りのシートから一転、革張りのシートにデザインそのものがスタイリッシュに感じたのを今でも覚えていますが、プレミアムクラスのシートの中では最古参の物となってしまいました。

同じ777でも、内装の改修がされた機種コード「722」などに搭載されているシートには、個人用モニターに小物入れも充実していますが、飛行時間の短い国内線であればこちらのシートでも十分快適です。

かつては空の旅に機内オーディオあり、というのが自分の中でのデフォルトだったが、今やすっかり動画コンテンツにシフトしてしまった…

リクライニングは手動式。稼働する部分がイラストで示されている点が上級席に座っていることを感じさせてくれます。オーディオのコントロールパネルからは、「90年代~00年代の777感」がひしひしと伝わってきます。

と、座席で遊んでいると朝食がサーブされました。プレミアムクラスの朝食はかなり控えめに感じますが、朝はあまり食べれない、という方も多そうなのでこのくらいがちょうどいいのかもしれません。

フードロスが話題に上がりがちな昨今、「余計な食い物は出さない」という姿勢には賛同します。食料自給率高めの農業県出身者なので、自ずと勿体ない精神が働くものです。知らんけど。

「ブール ドゥ フリュイ」は、オンラインストアで販売しているとのこと。KUROBEと一緒に自宅でプレミアムクラスごっこができそう。

ただ、あまりに腹をすかせた乗客には、オプションがあります。安定の「KUROBE」といつものお菓子です。

キルフェボンの焼菓子「ブール ドゥ フリュイ」なるこちらのお菓子、外側にフルーツパウダーがまぶされているのですが、これがもうダメですね。箱で買うと永遠にモグモグタイムに明け暮れそうな美味しさです。機内で1個食べるくらいがちょうどいいかもしれません。

フライト後半も景色鑑賞が続く

ものの数分で朝食を食べ終わり、再びまったりタイムが始まります。

シップは愛知県の濃尾平野上空を越え、いよいよ西日本上空へ到達しようとするところ。西へ向かうにつれ、雲成分が徐々に出てきましたが、要所要所で地上の景色を拝むことができました。

岐阜県と滋賀県を隔てる伊吹山。雪のイメージがあまりない西日本ではあるが、平野部もやや白くなっている点が印象的。滋賀県自体は内陸県であるが、少し北には福井県の若狭湾があり、雪雲が流れ込んでくるそう。

伊吹山を見てから数分で琵琶湖上空を通過。真上を飛行するため全景は見ることができない。ちょうど北部が雲に隠れており、一見湖か海か見分けがつかない。

順光側の窓側席あるある「ブロッケン現象」も楽しむことができた。雲で下界の景色が阻まれた時の副産物である。

と言った具合に、琵琶湖を過ぎたあたりから景色は雲に覆われ初め、エンジン音鑑賞大会PW4074の部が開幕したわけですが、兵庫県は西脇市を過ぎた付近で広島空港へ向けて降下が始まりました。

そこに空港はあるのか

主翼のスラットも展開され、着陸が近づいていることが分かる。エンジン付近から写真左上に走っているのは山陽自動車道。

広島空港に近づくにつれ高度を下げると雲を抜けました。

進行方向右側には、中国山地の山々が広がります。これから広島空港に降りるんだ、という頭の中の意識と視覚情報がマッチしはじめるのがこの頃でした。なんとなくお分かりいただけると思います。

VISTAポイントで滑走路へ正対しあとは一直線に滑走路へ。マツダのお膝元である広島空港周辺には、マツダ車の名前をとったポイント名が多くあるが、VISTAってトヨタ車だったような…

広島空港の着陸は、東側のRWY28から。アプローチチャート上のポイントを一部ショートカットしながらVISTAポイントに到達し、滑走路へ正対します。機外カメラの映像にも、しっかりと広島空港の滑走路が映し出されています。

広島空港の標高は331m。右手にある集落との高低差がえげつない。

着陸直前には、こちらの崖のような山がお出迎えしてくれます。既に、モニター越しに滑走路を捉えていたので特に何も思うことはありませんが、初めて広島空港へ着陸した10数年前、この山にぶつかるのではないかとガチで不安になったことを今でもよく覚えています。

1年半ぶりの広島空港へ着陸

広島空港の滑走路は3,000m。着陸した方向とは反対側のRWY10側にカテゴリー3のILSが装備され、激しい濃霧でも諸々の条件を満たすことで着陸ができるようになっている。

8:34、広島空港へ着陸しました。飛行時間は1時間8分でした。前回訪れてから1年半ほど経過していますが、相変わらずの存在感溢れるターミナルビルが出迎えてくれました。

JALの羽田ー広島線は、地方路線の中では数少ないファーストクラス設定路線。ANAや新幹線と言ったライバルに太刀打ちできるようかなり力を入れているように感じられる。

羽田空港での8分の出発遅れを5分縮め、8:38に5番スポットへブロックイン。隣のスポットには一足先に羽田空港から到着したJALの767が駐機中でした。

新幹線に押され気味な羽田ー広島線ですが、大手2社揃って大型機、中型機で運航するほどに底堅い需要があることが伺える一コマでした。

この日のJA714Aは、この広島往復の後羽田空港でしばし休憩、夕方羽田ー新千歳を1往復する1日4レグのやや軽めのお仕事をこなした模様。

そしてこちらが我が搭乗機。地元企業の広告が入ったボーディングブリッジが接続されているところが良きです

山間部の空港のわりに、背景の山々が低く見えるのが広島空港の特徴ではありますが、福山市の企業のロゴも入ることで広島成分マシマシな写真の出来上がりです。

名古屋、大阪、福岡といった主要都市は新幹線に敵わないため、自ずと東京線ほぼ一本足打法となっている広島空港。羽田線の他に、成田、新千歳、仙台、那覇へ国内線が就航している。

大きな飛行機がやって来るとは言え、地方空港は地方空港。ゲートから到着ロビーはあっという間です。「東京」の文字が並ぶ到着便の案内板を撮影して、空港の外へ出ました。屋上のデッキから777を撮影したことはあるので、今回は外周から撮影を敢行します。

もっと撮れ高がほしい広島空港×777

先程着陸したRWY28とは反対側のRWY10から離陸する羽田行ANA674便。風向きなど安全に支障がない範囲で、東京へ近い方から着陸、東京へ近い方へ離陸する運用がなされがち(な気がする)。

到着後はターミナルの反対側に移動し、外周から羽田空港へ戻る777を撮影しました。ターミナルをバックに撮れれば良かったのですが、広島空港の滑走路の運用は正直運任せ。先ほど着陸したのと同じ、RWY28から離陸すると狙った写真を撮ることができたはずですが、離陸は反対のRWY10から。狙い通りの写真を抑えられなかった点は再履修案件です。

という具合で広島空港へのn回目の再訪を誓い、広島空港を後にしたのでした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました