引退迫る773で行く! ANA’s 777-300デビューの地・広島空港 ANA677便 羽田ー広島線搭乗記

搭乗記2025

引退迫る777-300

ANAの国内線機材の中では最も大きな規模を誇るボーイング777-300。全長73.9m、座席数514。国内線の機材小型化が進む中、需要が大きな羽田空港発着の幹線を中心に活躍を続けています。

ANAの777-300は、1998年から2003年にかけて7機が導入されましたが、現在現役なのはそのうち5機。2003年に導入された2機は、コロナ禍を耐えることが出来ず、2021年に引退してしまいました。既に機齢が25年以上の機体しか飛んでいないANAの777-300、とうとう今年度中に2機引退することが4月に発表されています。(2025年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

引退前に777-300で成し遂げたいことがありました。それは、

デビューフライトの地、広島空港で777-300を撮影すること

今や機材変更でしか広島空港へ投入されなくなってしまったANAの777-300、ついにその機材変更と私の都合のつくタイミングが揃い、欲を満たすべく広島へ飛びました。

まだまだ使える「株主優待券」

お盆のUターンラッシュの最終日、羽田空港へやってきました。777-300がアサインされたのは、10:30発のANA677便です。

出発まであと数時間、というところで機材変更となったようで、株主優待運賃で発券したのはいうまでもありません。利便性が低下しつつある株主優待運賃ですが、このような「ニッチな」動きをするマニアにとってはまだまだ利用価値の高い運賃種別です。

プレミアムチェックインの脇にあるモニターには、677便の機種欄に「773」の文字。

時間帯のせいか、他に777の表示があるのは福岡行きの249便のみ。帰省シーズンと言えば大型機、という当たり前も徐々に変わってきていることを感じながら保安検査を通過しました。

なお、今回は自身7度目となる広島空港訪問です。観光目的で広島へ向かったのは、そのうち1度のみ。それ以外は全て、広島空港でのヒコーキ鑑賞(とりわけ777の撮影)が目的です。

今度またゆっくり訪れる行程を組んで向かいたいな、と思います。出発前から次回のことを考えているのは航空界隈あるあるではないでしょうか。

JA753Aに乗ります

搭乗機のJA753Aは、1998年に導入された機材。旅客機の寿命は約20~30年ですが、ほぼそれに合致する長さの活躍をしています。なお、ANAで現役の777-300は以下の5機となります。

登録記号製造番号ラインナンバー登録年月日
JA751A282721421998/7/1
JA752A282741601998/8/28
JA753A282731321998/7/30
JA754A279391721998/10/21
JA755A282751041999/4/7

面白いのは、登録番号の順番と製造順を示すラインナンバー、登録年月日の順番が一致していない点。特に、登録番号としては5号機にあたるJA755Aは、これら5機の中では最も早く製造されているという記録になっています。これは、ANAへの納入前、ボーイングの試験機として使用されていたため、このような並びになっているようです。

ちなみに、搭乗したJA753A、年齢には抗えないのか、セーフティービデオの放映中に何度かモニターがフリーズしていました。2回ほど再起動を繰り返して放映は完遂しましたが、歳を感じずにはいられないエピソードでした。

夏空へ向けて離陸

モニターが不調だった以外は、特に問題なく出発準備が進み、滑走路へやってきました。離陸はRWY16Lから。10時代は欧州便の出発ラッシュの時間帯ということで、ワシントンD.C.行きの787に続いて離陸します。

この便は767からの機材変更だったため、300人弱の乗客がいたようですが、777-300をもってすると満席とは程遠い人数。広島線という短距離フライトということもあり、滑走路を半分ほど残して浮き上がってしまいました。

羽田へ着陸しようとする飛行機を飛び越えながら高度を稼ぎます。およそ5,000feet(1.5km)差でのすれ違いです。

上空でも揺れは少なくベルトサインもすぐに消えました。

離陸後15分で甲府盆地の上空を通過しました。東京からは特急で1時間半程かかるこの場所も、飛行機であれば短時間でアクセスできます。降り立つことはできませんが()

写真左側には、社会科の教科書でよく見る地形・扇状地の姿があります。果物の栽培に適するこの地形、果物王国山梨の一面を見ることができました。

プレミアムクラスをアサインしました、が…

今回はアップグレードポイントを消費して、プレミアムクラスをアサインしました。777-300のプレミアムクラスにまだ乗ったことがなかったので、タイミングを逃すまい、と決断に至りました。777-300のプレミアムクラスだからと言って、「特別ななにか」があるわけではありませんが、「乗った」ことに価値があるのです

外にはぷかぷかと浮かぶ雲、そしては目の前にはお食事、と言いたいところですが、

目の前にはタブレットと飲み物とコーラであります。急な機材変更すぎたため、食事の用意が間に合っていないとのこと。代わりに2,000円相当の補償を受けることができました。もちろん機内で申請しました。

プレミアムクラスでモグモグタイムが無いということは、外の景色に集中できるということでもあります。琵琶湖の上空をを通過したのを見逃さなかったり、ここまでご無沙汰だった入道雲の姿を捕獲したりと別の意味でお腹いっぱいの巡航を終えました。

何事もプラスに考えることが大切です。

広島県に上陸するだけなら圧倒的ヒコーキ優位

11:36、再びベルトサインが点灯し、着陸態勢に入りました。あっという間に岡山上空まで来ていたようです。ここまで離陸からわずか41分です

高度を下げるにつれ、パワフルな雲が近づいてきました。777-200のプレミアムクラスからだと主翼とエンジンを絡めた写真を撮れたはずですが、胴体の長い-300ではエンジンが見切れてしまうのが玉に瑕です。(そして雲の中ではしっかり揺れました)

雲の下に出ると、広島空港までは名物の山越え区間に入ります。見てください、山陽自動車道の橋やトンネル。山をぶち抜き、谷を繋いで、直線状の高速道路をなんとか建設しようと尽力された様子がわかります。

東京広島間は、新幹線と航空の競合区間。広島空港から広島市まではこの山陽自動車道を50分ほど爆走して向かうことになるため、移動のシェアは新幹線に分があるようですが、「広島県に上陸したい」だけでいい経県値獲得勢の方であれば、空路でサクッと広島入りするのがおすすめです。

新鮮な気分で広島空港着

山の頂をいくつも超えて、11:53に広島空港へ無事着陸。777-300での58分の空の旅が終わりました。地方空港としては規模の大きな広島空港、国内最大機材の就航にふさわしい、大きなターミナルビルがお出迎えです。

なお、広島空港の滑走路は、RWY10/28とほぼ東西に設置されています。我が地元の秋田空港と同じなので、勝手に親近感を抱いています。今回は東側のRWY28への着陸となりました。

ANAの羽田線の定位置、5番スポットに到着した我が677便。ここだけ見ると、777-200か-300かあかりませんが…

広島空港Cゲート前から撮影した777-300

正面からみると-200との大きさの違いがわかります。よね…?

777-200と比べてみましょう。

同じ場所から撮影した777-200

いや、やはり正面からだとわかりづらいですね。-200と-300の外見上の違いは、翼の上の非常口の有無。正面から比べる機体同士ではないようです(笑)

「東京」の文字が目立つ広島空港の到着ロビーに出てきました。新幹線との競合の都合上、名古屋、大阪、福岡との路線がないため、自ずと東京便の比率が高まっています。

到着ロビーでは、「宮島口までのバス、まだ空席あります!所要時間は1時間です」と宮島口までのバスのお客さんを募っていました。やや時間がかかるのが難点ですが、荷物をトランクに預けて、寝過ごすこともなくまっすぐ移動できるのは、空港発リムジンバスの大きなメリットかもしれません。

地方×773 今がラストチャンス!

予定通りにいくと今年度中には、残り3機となってしまうANAの777-300。後継機となる787-10の導入も進んでいることから、近い将来、777-300は見納めとなってしまうことはほぼ確実です。

幹線での運用が中心、それに加え、余裕を持った運用スケジュールが組まれている777-300を地方空港で見る、乗るのはかなり至難の業になってきました。ANAの777が飛来する地方空港も限られてきましたが、機数が多い今が777-300を地方空港で見るラストチャンスかもしれません。

※前回777-200で広島空港を訪問した時の様子↓

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