ANA409便 羽田ー秋田線搭乗記 門限に間に合うか!?ドキドキの最終便

搭乗記2025

地元の空港の門限って知ってますか?

2023年2月、こんなニュースが話題に上がりました。

福岡空港付近まで飛んできたのに…「門限」午後10時で羽田に引き返しも、対策課題:地域ニュース : 読売新聞

羽田発福岡行のJAL便が、福岡空港上空まで飛行したにも関わらず、福岡空港の運用時間、つまり門限を過ぎてしまったため、福岡へ着陸できず、羽田へ引き返してしまったという事案です。この出来事が報じられてから、空港にも門限があるんだ、ということを知った方も少なくないのではないでしょうか。(SNSでも搭乗していた方の投稿がかなり盛り上がっていましたよね。。。)

大阪府豊中市、池田市、兵庫県伊丹市にまたがる伊丹空港。大阪都心からも近く、人気は根強いが騒音という課題が付きまとう。

高度経済成長期から騒音問題が課題になっていた伊丹空港や市街地の真ん中にある福岡空港など、空港の周辺の住宅街の有無にかかわらず、日本のほとんどの空港には門限があり、夜間から早朝の時間帯には、基本的に離発着を行うことが出来ません。

1981年に市街地の近くから移転した秋田空港。騒音の緩衝地帯として、空港周囲には秋田県立中央公園が整備されている。

人口87万人を誇る超大都会の秋田県にある秋田空港は、周囲を山に囲まれてはいますが、それでも空港の近隣に集落があるため、運用時間が7:00~22:00までとなっています。そして、この時間帯に収まるように、運航スケジュールが決められています。

門限破りの可能性あり…

今年に入ってからなかなかの頻度で搭乗している羽田発秋田行き最終便のANA409便。地方空港へのナイトステイ便ということで、所定の機材であるA321はほぼ固定。たまには普段と変わったことがないか、、と嘆いていると、この門限に絡んだイレギュラーなフライトに遭遇しました。

この日のANA409便は60番スポットからの出発。デッキから搭乗機が撮れるスポットなので、今日のお供のA321を撮影してから保安検査へと向かいました。

出発便を映し出すモニターには、出発便の時刻変更を示す黄色の時刻表示が目立ちます。これから搭乗する秋田行き409便をはじめ、他の複数の便も10〜20分の遅れが出ているようです。

国内線の中型機であれば、1機で1日6便前後をこなす運用がとられます。最終便ともなれば朝から積もった遅延の影響を受けがち。以前409便に乗った際にも、10分以上の遅れが出ることもよくありました。

しかし今回は普段と勝手が違います。ターミナル館内ではこんなアナウンスが流れてきました。

出発が遅れております秋田行きANA409便、高松行きANA539便は、目的地の空港の運用時間超過の恐れがあるため、ご利用のお客様は出発時刻の20分前までに……

上述の通り、秋田空港の運用時間は22:00、定刻通りであれば21:25着のダイヤのため35分の余裕がありますが、20:40羽田発、21:45秋田着にスケジュールが変更されたため、その余裕が15分になってしまいました。

運用時間を過ぎそうな便がある場合、事前に空港側へ申請すると弾力的な運用ができるようですが、今回はその特例が無い運航のようです。22:00を過ぎて秋田空港へ到着したことは何度もありますが、羽田出発時点でこのアナウンスを聞くのは初めてでした。

羽田ー秋田線らしからぬ殺伐感

やや煽り気味なアナウンスを聞くと、少し早めにゲートへ向かいたくなってしまいました。

そして、ゲートへ向かうと、搭乗を待つ列が形成されていました。やはりはやる気持ちを抑えきれない乗客の方が今か今かと搭乗開始を待っていたようです。60番ゲートで見るこの行列は羽田ー伊丹線に乗るかのようです。

稀によくあるボーディングブリッジ手前での整列待機の後、いよいよ機内への列が動き出します。ゲート前といいこの整列といい、殺伐感が否めません。

機内に入り、しばらく経った20:42、いよいよプッシュバックが始まりました。ボーディングブリッジの脇に置かれたタブレットには、「ブロックアウト20:40」と書かれていたので、残念ながら少し遅れてしまいました。

基本的に羽田から秋田までの飛行時間は45分前後であるため、22:00の着陸に間に合うためには、21:15までに離陸できれば、ほぼ大丈夫です。ということは頭ではわかっているのですが、ゲート前の殺伐感のせいか、私自身も気持ち心が焦っていました。

とりあえず門限は守れそうです

出発するまでややヒヤヒヤしましたが、動き出してしまえばこちらのもの。21:00が近くなると出発便も空いてくるため、離陸まではスムーズでした。20:54にC滑走路、RWY16Lから離陸しました。

雨の東京を後にして、秋田へ向けてタイムアタックの始まりです。雨とはいいつつ比較的気流が安定しており、離陸後6分でベルトサインは消えました。21:45に到着見込みであることも合わせて伝えられました。

あとは秋田空港の滑走路にクマが寝てます、なんていう事態でも無い限り、without門限破りで秋田へ着陸できそうです。が、油断は禁物。何があるか最後まで分からないのが、空の旅のリスクでもあり醍醐味でもあります。

千葉県上空の時点で、秋田県と山形県の県境にあるMIKUMポイントまでの直行指示が出たようで、無駄なく一直線に秋田を目指します。

羽田への引き返しは無いだろうということで(関係ない)ドリンクサービスも行われました。退勤後即羽田だったのでとにかく空腹ではありましたがお茶で腹を満たしました。

なお、今回搭乗しているA321の運用は以下の通りです。

羽田(NH651)岡山(NH654)羽田(NH655)岡山(NH656)羽田(NH567)高知(NH570)羽田(NH409)秋田

1日を通して、全体的に10分程の遅れが続いていたようですが、567便の高知到着の時点で定刻に戻し、残り2レグに臨んだものの、570便の羽田到着が10分遅れ、それをそのまま引きずって409便が出発することになった、という流れだったようです。

巡航高度27,000feet、常に460ktsでぶっ飛ばしていたシップも山形上空まで来れば降下が始まります。21:27にベルトサインも点灯。着陸態勢に入りました。

今回はセーフでした

そうこうしているうちに、秋田市内の景色が見えてきました。21:30を過ぎ、やや街明かりに活気がない…ようにも見えますが、電気の無駄遣いをしない素晴らしい県民性なので暗くなればさっさと寝る、を体現している方が多いのです。(嘘か本当かのジャッジはお任せします)

ここまで来ると秋田空港は目と鼻の先。21:40に秋田空港のRWY10に着陸しました。フライトタイムは46分、門限まで20分の余裕を残してのランディングでした。

21:43、秋田空港3番スポットに到着しました。羽田空港の60番スポットを出てからちょうど1時間で到着です。これにて一件落着。あとは無事に帰宅するのみです。

最後に〜空港の門限と運航ダイヤのこれから〜

今回は、普段あまり意識することがない秋田空港の運用時間にヒヤヒヤしたフライトに乗ってみた。というテーマでお届けしました。

秋田空港の運用時間は、以下のような変遷を辿ってきました。

1981年6月26日~ 8:00~19:30

1988年7月1日~ 7:30~20:30

2000年7月1日~ 7:30~21:30 → ANAの羽田線の夜間駐機がスタート

2006年1月1日~ 7:00~21:30 → 秋田発羽田行、始発便の出発時刻繰り上げ

2012年3月25日~ 7:00~22:00 → 羽田発秋田行、最終便の出発時刻繰り下げ

1981年の開港当初から30年の間に、秋田空港の運用時間は延長に延長を重ね、11時間30分から15時間に延ばされました。特に、2000年に羽田線の夜間駐機が始まって以降は、運用時間の延長がそのまま羽田線のスケジュールに反映され、利便性の向上につながっています。

利用者側には便利になる一方、近年は、運航便数の増加に伴い、羽田発着便を中心に遅延が目立つようになりました。

特に羽田ー伊丹線では、伊丹空港の門限が厳しいため、最終便の出発時刻が繰り上げられるなどの措置が近年目立ちます。他の空港でも運用時間に余裕を持ったスケジュール設定に思い切って舵を切るという対応が今後取られていく可能性も無きにしも非ず、といったところでしょうか…

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