秋田ー羽田線にA320neoが復活 ANA406便搭乗記 

搭乗記2025

脱マンネリの救世主・A320neo

「私が考える最強の秋田空港」の図。常にこうあってほしいが現実は厳しい…

訳あって、今年に入ってからいつにも増して秋田ー羽田線に搭乗する機会が増えている私。秋田ー羽田線と言えば、高需要地方路線らしく主力機のボーイング767を筆頭に787や777が大活躍、と言いたいところですが、2025年の夏ダイヤでは久々に767の定期運用が一時消滅し、737とエアバスA321が主体のスケジュールになっていました。

マンネリ化しつつあるこれらの国内線機材に一石を投じるべく(?)、6月から国際線機材のA320neoが再びアサインされるようになったので、早速脱マンネリ化。搭乗を試みました。

出発間際のチェックインでBN115を獲得。A320neoの座席数は146のため、やや空席を残しての出発となるようだ。

今回搭乗するのは12:10発のANA406便です。

田植えシーズンが終わり、水を張った田んぼが日光を反射して綺麗な様子を見ながらのんびり空港へ向かっていると、時間がギリギリになってしまったので急いで保安検査を通過します。時間には余裕を持って行動したいところです。

ANA1654便の機材は12:40に秋田へ到着する。406便が30分程遅延してしまうと、ゲートのやり繰りに影響が出てしまうようだ。

アサインされた3番ゲートは、12:10発の406便が出ると、次は13:10発の伊丹行き1654便にアサインされています。出発便で比較的混雑するこの時間帯、主要空港ばりの忙しない運用が続きます。

搭乗機はAirbus A320-271N(JA211A)。2016年12月にデビューしたANAのA320neoの初号機だ。

デッキで写真を撮る時間がなかったので、出発ロビーから搭乗機を撮影しました。低燃費、低騒音を実現する直径の大きなエンジンと胴体上に設けられたWi-Fiのアンテナが新しいA320の特徴です。

私が初めてA320に乗ったのは2004年でした。当時は、将来的にANAグループの国内線機材は737に統一されることで話が進んでいたため、「これが最初で最後になりそうだな…」と小学生ながらに思ったものですが、それから20年が経ち、今やA320シリーズがANAグループにとって必要不可欠な機材になっています。本当に航空業界の将来は、予想するのが難しいなと思うところです。

一応国際線機材なんです…

搭乗すると、隣の2番スポットには羽田からJALの737がやってきた。

ボーディングコールがかかり、機内へと入ります。直前で前方席に空きが出たので、9A席をアサインしました。

全席に個人用モニターが設置されているのが特徴のA320neo。2016年のデビュー当初は、今時の国際線機材ならそんなもんだよなあ、と思っていると翌年にデビューした国内線機材のA321neoも同様の装備で就航したのには度肝を抜かれました。

座席上部がやや膨らんでいるのが、ヘッドレスト装備の証拠。A320neo、A321neoの普通席は、ゾディアック・エアロスペース製。

しかし、国際線機材と国内線機材では格が違います。国際線機材のA320neoには普通席にも可動式のヘッドレストが装備されているのです。コロナやら何やらで国際線への投入機会が減っているA320neoですが、内装面では国際線機材のアイデンティティを保っています。

左からJAL2824便、札幌(丘珠)行き、JAL164便、羽田行き。スケジュール通りであれば、右隣のスポットには、まもなく台北からのタイガーエアがやって来る。

12:13、トーイングトラクターに押されてプッシュバック開始。いよいよ出発です。JALグループの2機に見送られてスポットを後にします。ちなみにこれらの2機は国内線機材、こちらは国際線機材ということで、鼻が高くなったのはいうまでもありません(しつこい)

適当に撮影したため完全に自分が写りこんでしまった…

誘導路に出たところで、機内モニターに機外カメラの映像を映してみました。何度飛行機に乗っても、この画角の光景は新鮮です。

いつかモニター越しではなく、生でこの景色を見てみたいですね。滑走路ウォークなどに参加するのが手っ取り早いでしょうか…

秋田には何もない?この素晴らしい景色を見てください

滑走路末端のT1誘導路から滑走路へ進入。誘導路上では、先ほどエプロンで別れた丘珠行きのATRがタキシング中だ。

えっちらおっちらとタキシングをして滑走路の端までやってきました。雲が少ししかない、ほぼ青空だったこの日の秋田上空。空からの景色も楽しめそうだと期待が膨らみます。

1981年6月26日に現在の場所へ移転、開港した秋田空港。この6月で開港44年を迎えた。

RWY28から西へ向けて離陸をした我がA320。離陸後すぐに南へと進路をとります。斜め後ろに視線を向けると、秋田空港の全景が見えてきました。秋田空港は、台地を造成して作られた空港のため、周りの集落よりも高いところに位置しています。

では、秋田空港よりも低い場所には何があるかというと、

秋田の米と言えば「あきたこまち」。写真右下に写る秋田県農業試験場で育成が行われた後、本格的な栽培が始まった。

県下では最も有名であろう一級河川の雄物川と、その周囲に広がる水田です。

水を張った水田を見ることができるのはこの時期ならでは。数ヶ月後には稲が育ち緑の絨毯、秋には黄金色の絨毯が広がります。「四季がなくなっている」と気候変動が激しい日本ですが、水田の景色は季節の移ろいを感じされてくれます。

秋田には何もない、このように揶揄されることがしばしばありますが、四半期ごとに秋田空港発着便に乗って、上空からの景色を鑑賞されることを強く、強くおすすめします。

機内でYouTubeを視聴できました

何かとJALのWi-Fiと比較されがちなANAの機内Wi-Fi。JALの方が通信速度が早くてサクサク!というのが大勢の見方だったものの、ANAもついにテコ入れを始めました。

5月下旬頃から、ANAの機内Wi-FiでもYouTubeを再生できることが話題になったのです。国際線機材ではありますが、国内線での運用時もWi-Fiが使えるA320neoで早速YouTubeへの接続を試みました。

結果…

ちゃんと観れました(笑)

とりあえず秋田市に住民税を支払っているということで、秋田市公式チャンネルを流してみましたが、他のチャンネルも問題なく観ることができました。

2014年までは、デジタルカメラでさえ離着陸時は使用できなかったことを考えると、この10年間の機内での過ごし方は様変わりしてしまいました。もうデジタルデトックスに最適な存在としての飛行機は過去のものになってしまったようです。

あっという間に関東上空へ

ドリンクサービスもひと段落つき、我がA320は羽田空港へ向けて降下を始めました。相変わらず静かなPW1127G-JMエンジンの心地の良いサウンドに、軽い気流の乱れと晴れた空の日差しが加わり眠気に襲われたのはいうまでもありません。

雲が点在していた関東上空。地上の風景の撮影にはやや不適な空だった。

この時間帯の羽田空港は、北風運用を行っていたため、北から羽田へ向かう便は、基本的にC滑走路・RWY34Rへ誘導されます。千葉県上空を一気に南下していることは、個人用モニターのマップ、フライトレーダー、そして、遠くに見える九十九里浜からも確認することができます。

一時的に翼端のウイングレットが霞む程の厚い雲に突っ込んだ。が、大きく揺れることは無かった。

終始揺れもなく穏やかなフライトが続いていましたが、木更津上空で一瞬雲に捕まり少々揺れました。飛行機は揺れてこそナンボだと思うので、こんな場面も大歓迎です。

そして雲を抜けると羽田名物の面白い光景を見ることができました。

新千歳や関空、那覇など複数の並行する滑走路がある国内の空港では、基本的に離陸用、着陸用で滑走路を分けているため、このような光景を頻繁にみることができるのは、さすが羽田空港といったところ。

我々が目指す、C滑走路に並行しているA滑走路に向かう飛行機の姿が見えました。那覇空港からやってきたANA462便、787-9のようです。

タイミングが合えば、並行する滑走路へ着陸する、あるいは離陸する他機の姿を見ることができるのが羽田空港の特徴の一つ。いかに東京の空が過密であるか、ということが分かりますね。

好待遇で羽田到着

延長線上には都心のビル群が広がる羽田空港のC滑走路。利便性の高さを象徴する景色と言えそうだ。

13:16、羽田空港へ着陸しました。着陸時は再び、個人用モニターに機外カメラの映像を映し、窓の外を見て、、と視線を目まぐるしく動かしながらのlandingです。もう少し落ち着いて乗りたいところですが、いくつになっても自分の童心は健在のようです。

大多数の方にとっては、空港から先の目的地があるため、降機~地上交通の乗換にかかる時間は非常に重要。今回の到着スポットは果たして…

C滑走路は、ANAの使用する第2ターミナルの目の前にある滑走路。短いタキシングですぐに到着することができます。

そして上の写真だけで航空界隈の方は到着スポットが分かってしまうかと思いますが、ターミナルど真ん中の61番スポットへの到着となりました。コロナ禍が明け、国内線仕様の777が運用復帰し、787-10が国内線に投入され始め、と再び国内線のワイドボディ機の数が増えてきている状況ではありますが、便によってはA320シリーズや737もこの「超都会ゲート」がアサインされることがあるようです。

767(左奥)と787(右)に挟まれながら61番スポットに入っているA320。到着ロビーまでの動線は、非常に短く済むスポットである。

ちょっと得をした気分になりながら脱マンネリの救世主、A320neoの機内を後にしました。因みにこの後、こちらのA320neoは、羽田ー秋田をさらに2往復するという、スポッター泣かせの運用に就いたようでした。

最後に ~幻の東京2020ダイヤだったら~

コロナ禍以降、国内線への投入が目立つANAのA320neo。フリート数は11機と少なめのため、地元空港で全機撮影したという方も多いのではないだろうか。

コロナ禍以降、我が地元の秋田空港や大館能代空港をはじめ、日本各地の地方空港へ姿を見せることが多くなったANAのA320neo。コロナ禍前までは、特に成田、関空発着の中国路線を中心に運用されていました。まだ作成時点では、コロナのコの字がちらつくかどうか、というところだったであろう、2020年7月~9月の時刻表では、A320neoはこのような路線に投入されるはずだったようです。

【国内線】羽田ー関西(1往復)、関西ー福岡(1往復)、関西ー那覇(1往復)

【国際線】成田ーウラジオストク(週3便)、成田ー瀋陽(週7便)、関西ー北京(週7便)、関西ー大連(週7便)、関西ー青島(週7便)、成田ー武漢(週7便)、関西ー上海(週14便)、成田ー杭州(週7便)、関西ー杭州(週7便)、成田ー厦門(週7便)、関西―香港(週7便)

ここまでかというくらいに、中国路線にほぼ全振りする運用になるはずだったようです。国内線で搭乗できる路線は、わずかに3路線のみ。いまや国内線と国際線が真逆になり、国際線でA320neoが投入されている路線が片手で数えられる程になりました。

そして、2025年の夏ダイヤでは、繁忙期に伊丹発着路線にもA320neoが投入されるようです。機内装備だけは国際線機材の格を保ちつつ、実際の運用は国内線がメインのA320neo。本来の持ち場である国際線でたくさん活躍する光景を再び見ることができるのか、動向に注目です。

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