ボンQの主戦場に737が投入されました
2022年1月下旬、2022年度のANAのサマーダイヤが公表されました。路線の新規開設や増便、そして運航機材が発表となるこの時期は気分がなんだか落ち着かないですよね。
今年度も個人的に様々なネタ要素を含んだダイヤ発表でしたが、興味深いものを発見しました。
通常であれば1日3往復、全てプロペラ機のDHC-8-400で運航される伊丹ー秋田線に、8月上旬限定で737-800がアサインされていました。これまでも突発的な機材変更によるジェット機の投入はあったANAのこの路線ですが、事前に発表されることは路線開設の2011年以来なかったのではないでしょうか(多分)
「取り敢えず面白そうだから乗ってみよう」この思いを胸にとどめたまま、夏を迎えました。
3年ぶりの伊丹空港
夏になりました。ダイヤ発表から半年以上が経ち、例のウイルスの状況も変化がありましたが、伊丹ー秋田線への737の投入は予定通り行われていました。737が投入される日程は8月5日から8月15日までの11日間。取り敢えず8月10日に休みをねじ込み、いざ作戦決行です。
今回搭乗するのは、ANA1653便。伊丹空港を10:50に出発します。搭乗するためにはもちろん伊丹空港へ向かう必要があるのですが、コロナ禍に入ってからは初めての大阪上陸となりました。
前回は2019年の10月でしたので、実に2年10か月ぶりの大阪です。大阪上空は何度も通過していたのですが、大阪城や梅田のビル群、淀川などダイナミックな光景を見ながらの着陸がなんだか懐かしかったです。
諸事情が重なり、伊丹空港での乗継時間を30分弱しか確保できなかったため、一度も制限エリアを出ることなく1653便のゲートへ向かいます。八つ橋の入荷も未遂に終わりました。アサインされた8番ゲートでは事前改札が始まっており、伊丹感を全く感じることができなかったのが残念です…
ターミナルの改修が進行中の伊丹空港ではありますが、8番ゲートには「パタパタ」がまだ健在です。空港と言えば、というか伊丹と言えばこれなんですよね。部分的にこれからも残していただけると嬉しいですね。
ゲートの脇の窓からは搭乗機の姿も見えました。Boeing 737-800(JA62AN)です。2010年導入で機齢は約12年。
三菱スペースジェットや737MAX問題に翻弄され、2008年から約10年に渡って導入が続くことになったANAの737-800ですが、先日ついに後継機となる737MAXの導入が正式にきまりましたね。39機ある737-800、早めの全機乗り潰しをおススメします(誰に)
貸切りました…
ボーディングブリッジを渡って機内へ入ります。この時期のボーディングブリッジはムシムシしますね。いかにも夏って感じです。
そして今回は、窓の半分がボーディングブリッジに塞がれる座席をアサインしました。
プレミアムクラスの1Aです。伊丹ー秋田線で737に乗った思い出づくりの一環、と言うのは表向きの理由で、普通席が混雑していたので逃げてきました。何がともあれ、普通席には737を入れる程の需要があって一安心です。
混雑している普通席とは裏腹に、2枚の窓を占有できるプレミアムクラスはまさに快適。正しいアップグレードのポチりかたであると実感しているところでドアクローズ。
搭乗口でグズっているお子様がいらっしゃいましたが無事に解決したようで、ほぼオンタイムでの出発となりました。
ドアが閉まり、プレミアムクラスには私以外誰もいないことに気が付きました。プレミアムクラスの貸し切りに成功です。
時期柄帰省客や観光客が多いということもあってか、プレミアムクラスの需要は相対的に下がる時期ではありますが、まさか貸し切りに成功するとは思いませんでした。次は777で独占を狙いたいと思います。
リモートが進んでいました
8番スポットからface southでプッシュバックされた我が737。プレミアムクラス区画は独占のため、思いっきりグランドさんに手を振ることができる!と窓の外を見ると、トーイングカーがかなり小さいことに気が付きました。
よく見ると、お兄様がリモコンらしきもので操作しているではありませんか!
佐賀空港かどこかで実証実験?を行っているという情報はつかんでいましたが、実際に他の空港へ普及しているのは知りませんでした。見た目ではかなり小さく感じますが、777や787と言った大型機、中型機の牽引にも使うことができるのか、気になるところです。
再び空へ舞い戻りました
プッシュバックからの流れはいつもの伊丹通りでした。A滑走路を横断し、W2インターセクションでB滑走路へ入ります。着陸のトラフィックもなく、スムーズに滑走路へ進入、2基のCFM56-7B24の心地良いエンジンサウンドを聴きながら離陸滑走が始まります。
伊丹着陸から44分で再び空へ舞い戻りました。離陸後はお馴染みのレフトターン、大阪平野と離陸してきた伊丹空港を横目に高度をぐんぐん稼いでいきます。
伊丹空港からは何回離陸したか分かりませんが、この光景は何度見ても写真に収めたくなります。伊丹空港の全景です。土地勘のある場所を低い高度で上から眺めるのは面白いですよね。
「千里川土手に徒歩で向かうときはこんな場所を通っていたのか」「スカイパークって結構敷地広いんだなあ」などなどGoogle Earthを見る感覚で楽しむことができます。(Google Earthだけ見ればいいんじゃねというご意見は尊重します)
伊丹空港上空での大きな旋回を終えるとまずは名古屋上空を目指して針路を東北東へとります。丁度進行左手には万博記念公園に太陽の塔が見えました。モノレールや並行して走る中国自動車道からは油断していると見過ごしてしまうんですよね。(飛行機でもそうですがw)
出発方式はMINAC FOUR DEPARTURE。伊丹ー仙台線で以前良く飛んでいた航路ですね。
それから数分、今度は琵琶湖が見えました。言わずと知れた日本最大の湖、こちらも大阪発着路線ならではの景色ではないでしょうか。羽田発西日本方面の便では、高度が高すぎる且つほぼ真上を飛行することが多く、あまり綺麗に見ることができません。
一人御飯の時間です
いつからか午前中に出発する便では例外なく食事が出るようになったANAのプレミアムクラス。11:15にベルトサインが消えると早速CAさんがご飯をサーブしてくださいました。いつにも増して野菜がふんだんに入っていたプレミアム飯、あっという間に完食してしまいました。
羽田ー秋田線のプレミアムクラスに慣れてしまうと、このような時でも早食いしてしまいます。
貸し切りの強みを生かして
プレミアムクラスの区画は、ベルトサイン消灯中カーテンで完全に仕切られます。モラルの範囲内で正直なんでもやりたい放題です。
他にも、CAさんから貸切っている様子を撮りましょうかとお声がけいただき、写真を撮っていただくなどしました。CAさん曰く、何度か貸し切り状態の乗客に遭遇したことがあるそうで、「独占している時の写真の撮り方」も熟知されているのが印象的でした(笑)
737-700と共に飛ぶ弟分
今回搭乗しているJA62AN、L1ドアの上には737-700のポストカードが入れられていました。
2005年にデビューした737-700、その1号機と2号機に施された「ゴールドジェット」が描かれた737-700のポストカードです。我が家にも複数あります。
内際兼用機として45機導入し、ANAの小型機の核となるはずだった-700、蓋を開けてみれば18機の導入にとどまり、途中から-800への発注変更、駆逐するはずだったA320シリーズの巻き返し、搭載している座席の問題などなど当初描いていた未来と現実は大きくかけ離れてしまいましたが、こうして弟分の-800の機内で一緒に飛んでいるのを見ると-700好きとしては嬉しいですね。
あっという間に新潟上空
順調に北上を続ける我が737。巡航高度27,000feet、対地速度420ktsでひたすら秋田を目指します。
離陸から43分後には新潟上空を通過し、左手にはかすかに佐渡島を見ることができました。この日は、山形県や青森県を中心に線状降水帯による大雨が観測されており、コックピットからのアナウンスでも、この先大きく揺れることが予想されると伝えられました。
11:57、ベルトサインが点灯し、着陸態勢に入りました。ベルトサインが消えていた時間は実に42分、秋田発着路線としては最長の439マイル、秋田線らしからぬまったりとした時間もこれにておしまいです。
雲が目立つようになってきた下界ですが、その切れ間から山形県の沖合にある飛島が見え、到着が近いことを感じさせられます。
雨の秋田へアプローチ
鳥海山の北にあるYAYOIポイントを通過しRWY28のイニシャルアプローチFIX、BIJINポイントへ向けて秋田県南部上空を西から東へ移動します。コックピットから再び「雲の中を通過するため揺れます、化粧室のなどでお席を立ちませんよう…」とアナウンスが入ります。
そしてこの雲です。遠くに見えているだけであれば良いのですが、
時々かすって揺れました(笑)去年の11月にSaab-340Bに乗ってから、揺れに対する免疫がかなり強化されたのか、ちょっとやそこらの揺れでは何とも思わなくなってしまいました。
田舎だの小さいだのしょぼいだの揶揄されがちな秋田空港ですが、トラフィックが混雑する時間帯ももちろんあります。丁度この1653便の到着時刻であるお昼前後がその時間帯にあたり、BIJINポイントで一旦ホールディングの指示がでたようで、ホールディングパターンを半周。再びアプローチに入ります。
高度が下がっていくと窓には水滴が流れるようになりました。飛行機の窓ならではの雨水の流れ方。これだけ見ているだけでもだいぶ時間を潰すことができそうです。
と言うわけで、秋田空港へ着陸。濡れた路面の水を吹き飛ばします、生憎田舎のしょぼい空港の滑走路には、高速離脱誘導路なる文明品は備わっていないため誘導路に入る手前でしっかり減速、滑走路をバケートします。
エプロンに入るとJALの737とJ-AIRのE170が並んでいました。我が737で3機並びが完成。機体規模に難ありですが、最後に秋田の空の賑わいを感じることができました。
通年で737どうっすか?
無事に伊丹ー秋田線で737への搭乗を果たすことができました。
この路線、以前はJAL/JASのMDシリーズやJALの737が投入されていましたが、現在はJALがE190/170、そしてANAがDHC-8での運航となっています。コロナ禍前の2019年は約24万人の利用があり、ANA便の搭乗率は約70%と高い数字をマークしていました。今後の移動需要がどのような状況になるかは分かりませんが、ANA、JAL問わず今後も機材大型化に期待して機会があれば利用者増に貢献したいという思いを一段と強くしました。
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