ドイツ国内線をルフトハンザのワイドボディー機で飛ぶ!LH94便 フランクフルトーミュンヘン線搭乗記

搭乗記2025

日本でお馴染みのエアラインですが…

ルフトハンザドイツ航空。ドイツのフラッグキャリアで、東京国際空港や関西国際空港、貨物便は成田国際空港へ就航するなど、日本でもお馴染みの航空会社です。

現在日本の2空港へ飛来するルフトハンザの旅客機は、ボーイング747とエアバスA350。以前は、A340や時々A330、羽田の再国際化以前には、成田へA380を就航させるなど、その時々のワイドボディー機を余すことなく日本線へ投入しています。

そんなルフトハンザのワイドボディー機ファミリーの中に、日本へ馴染みがない機材があります。今回は、日本人にとって激レアなルフトハンザ機の搭乗記です。

鉄道と共存共栄のFRA-MUC線

第1ターミナル名物の「パタパタ」がお出迎え。鬼のような便数の多さに、自分の搭乗便を見つけるのも一苦労。

4月某日、早朝からドイツはフランクフルト国際空港へやってきました。秋田ー羽田ーロンドンーフランクフルトとフライトをこなし、ここから、次なる目的地のミュンヘンに向かいます。

7:19発のLH3446便の目的地は、ミュンヘン、ニュルンベルク。短距離の経由便と思いきや、まさかの鉄道路線だった。

今回搭乗するのは、7:15発のLH94便。94便の4行下にもミュンヘン行きの表示がありますが、こちらは「Lufthansa Express Rail」のサービス名が付けられた鉄道路線のようで、よく見ると7:19発という中途半端な出発時刻が設定されています。

フランクフルトからミュンヘンは、飛行時間が30分代の超短距離路線。それゆえ鉄道で向かっても3時間台であり、日本の「4時間の壁」理論に当てはめると、鉄道の優位性が高い区間になります。フランクフルト空港には、長距離列車の発着駅も併設されているため、鉄道路線がルフトハンザと所謂コードシェアをしており、さらには航空便の出発便の一覧にもその姿が出ているというわけです。

腹ごしらえヨシ

ルフトハンザのハブ空港だけあり、様々な場所に設けられているルフトハンザのラウンジ。エントランスが洗練されており非常に良き。

この日は朝からまだ何も口にしていませんでした。早朝便には乗り遅れまいと起床に全集中した結果です。

そんな時の強い味方、ルフトハンザ・ビジネスクラスラウンジに潜入です。ANAもルフトハンザも同じ航空連合のスターアライアンスに加盟しているため、ANAの上級会員ステータスの恩恵をここで享受できました。

搭乗機とご対面

LH94便は、タイ国際航空とのコードシェア便。タイからの乗継需要を拾うこともこの便の役割の一つと思われる。

腹ごしらえを済ませ、搭乗口へ向かいます。ドイツに滞在して2日が経過していましたが、ドイツ語表示にはやはり慣れません。言語面では英語圏の国に行くハードルの低さを感じます。

ANAに続いて2社目となる789へ搭乗。JAL機よりも先に乗ることになるとは…

機内に入る前に搭乗機とご対面。日本ではお目にかかれない、ルフトハンザのボーイング787-9です。

欧州域内路線では、737やA320、リージョナル機で運航される便が大多数を占めますが、わずかながらワイドボディ機で運航される便も存在します。ルフトハンザのフランクフルトーミュンヘン線もその中の1つ。一部便で国際線仕様の787-9が投入されているのです。

ルフトハンザ航空予約サイトより。毎週月曜と火曜のフランクフルトーミュンヘン線に787-9が投入されている。

ルフトハンザの787-9のフリート数は、わずかに5機。主に大西洋路線を中心に活躍しています。搭乗機のD-ABPBは、前日夕方にボゴタから10時間のフライトを終えて、早朝のこの便へ向けて備えていたようです。

ルフトハンザのビジネスクラスシート

ルフトハンザの787-9のシートマップ。(ルフトハンザ公式サイトより)

ルフトハンザの787-9は、ビジネス26席、プレミアムエコノミー21席、エコノミー247席の計3クラス、298席仕様となっています。

その中でも今回は、ビジネスクラスで発券しました。(座席位置は赤丸)遡ること搭乗の1か月ほど前、予約画面で飛行距離に不相応な値段が表示されたものの「ルフトのB8なんてそうそう乗れねえべ」と意を決して発券したのを覚えています。

ビジネスクラスの座席はJALのビジネスクラスを彷彿とさせるヘリンボーンタイプ。国内線でこの座席を体験することになるとは、、、引退直前のJALの777-200ERを思い出しました。

リクライニングはもちろん電動。どこが稼働するのか一目瞭然のタッチパネルを操作すると…

あっという間にベッドの完成です。大西洋横断路線に投入されるにふさわしく、座面はもちろんフルフラットになります。

座席脇のテーブルの下は小物入れになっており、ヘッドホンとモニターのコントローラーに電源ポートも格納されています。

座席脇の蓋を開けて小物をしまうのはジャンボの2階席に座っているようで、これまた懐かしさがこみ上げてきました。ジャンボ乗りてえ…

この「秘密基地」感があるモニターのサイズが何とも言えない。JALの777もこんな感じだったような…

席に着くと大型モニターがお出迎えしてくれます。

この数日前、ANAのビジネスクラス「THE Room」に搭乗していたので、それと比較すると見劣りしてしまうのは否めませんが、ブロックタイム1時間の短距離路線には言うまでもなくオーバースペック。搭乗時間内に全ての機能を堪能しつくせるのか、そのことで頭はいっぱいでした。

極東の島国の存在感をアピールする「日本語」の3文字が誇らしい。

まずはモニターを起動します。お馴染みの言語選択では、日本語の選択もあり一安心。他の機材でも同じ設定になっているとは思いますが、これならいつ日本線に就航しても問題なさそうです。

マップを表示させると、残りの飛行距離は300km、186マイルの表示がでています。日本の国内線ですと、東京ー富山線が176マイル、東京ー名古屋線が181マイルなので、まさに飛行時間40分程の短距離国内線ということになります。

東京(羽田・成田)ー名古屋線にも国際線機材で運航する便がありますが、それと同じようなフライトであると言えます。

マップを見る限り、ミュンヘンまでの区間では山越えはなく、平地が広がる様子を見ることができそうだ。

出発地と目的地を両方表示させるとこのくらいの縮尺になりました。ドイツの地名は何となく分かりますが、どんな地形が広がっているのか、どんな街並みが広がっているのかについては正直疎いです。ビジネスクラスシートも楽しみつつ、機窓からの風景も逃さず目に焼き付けていきたいですね。

ミュンヘンへ向けて出発

集中してセーフティビデオを見ていると突然富士山が登場!日本を代表するランドマークの1つであることを再認識した。

いよいよ出発時刻となりドアクローズ。機外ではボーディングブリッジが外れ、機内ではセーフティビデオの放映が始まりました。日本をはじめ、世界各地の就航地が背景に映し出されるというルフトハンザのグローバルエアラインらしさを感じる作りになっていました。

各スポットの壁には、ルフトハンザのロゴマークが掲げられている。ルフトハンザのハブ空港であることをこれでもか、と言うほどにアピール。

出発準備が整い、いよいよスポットを後にします。雲一つない青空のフランクフルトから出発です。初めて乗る飛行機にふさわしい、絶好のフライト日和になりそうです。

離陸滑走路はRWY18。滑走路長は4,000m。こちらを含めて、フランクフルトには4,000mの滑走路が3本ある。

フランクフルト空港には、4本の滑走路があります。そのうち3本は、ほぼ東西に平行に設置され、残りの1本は南北に設置されています。その南北へ走る滑走路を北から南へ向けて離陸します。

ミュンヘンはフランクフルトの南にあるため、ミュンヘンまではほぼ一直線に向かうことができそうですね。

朝日を浴びながらフランクフルトを離陸。ルフトハンザの787-9は、GEnxエンジンを採用している。

7:35、ミュンヘンへ向けてテイクオフ。787らしく余裕を感じる離陸でフランクフルトの地を蹴りました。

ちなみに、この離陸した滑走路・RWY18は、基本的にこの向きでの離陸のみに使用されるようで、反対側の滑走路端には、滑走路の番号すらペイントされていないのです。なかなか贅沢な使い方がされる滑走路ですよね。

離陸するとすぐに空港南側に広がる都市の上空を通過しました。メルフェルデン=ヴァルドルフの街並みです。写真手前のメルフェルデン、奥のヴァルドルフで1つの自治体を形成しています。

奥のヴァルドルフのすぐ脇には、空港の敷地が広がっています。第二次世界大戦中には、ヴァルドルフにあった強制収容所にいたユダヤ人が滑走路の整備に従事していたようです。

短距離路線でも充実の機内サービス

ベルトサインが消えたので、さっそくテーブルを出して遊んでみました。半分に折りたためられて、モニターの前に格納されているテーブル。引き出して広げるとノートPCなどを置くには十分な大きさです。木目調のデザインが高級感を醸し出しています。

飛行時間が30分台の超短距離路線ではありますが、しっかり朝食がサーブされました。サンドイッチにヨーグルト、そしてニンジンのジュースと、いかにも朝の胃袋にやさしいメニューです。

お皿はしっかり陶器、金属のナイフとフォークも用意され、気分はもはや国際線。数日前に乗った欧州域内のルフトハンザのエコノミークラスの機内サービスはペットボトルの水1本だったため、サービス格差には正直驚いてしまいました。

やはり航空業界、資本主義の極みですね(笑)

美味しい機内食に舌鼓を打っていると、あっという間にフライト終盤に差し掛かりました。食器の回収もてきぱき進み、気づいたらベルトサインも点灯。機内食が出ると、何もない時と比べると時間の進み具合がより早く感じられますよね。

魅力的な光景を楽しみながら着陸へ

高度を降ろすと、再び街並みの様子が見えてきました。ミュンヘンの北西部にあるマルクト・インダースドルフの街並みです。

3つの集落(という表現が適切かわかりませんが)がまとまって、1つの街を作っているようです。なかなか日本では見られない宅地の広がり方をしており、どのように街が形成されたのか気になります。

着陸へ向けての旋回中、先行機の姿をとらえました。デルタ航空のA330のようです。フランクフルトと並んで、ドイツのハブ空港の一つであるミュンヘン。路線網は世界各地に広がります。

その後ろに壁のようにそびえるのは、ドイツとスイスとの国境にあるアルプス山脈です。あまりの高さと山頂付近の冠雪のせいか、ぱっと見雲のように見えてしまいました。

着陸直前には、広大な農地の上空を通過しました。遠くに街並みは見えていますが、北海道を彷彿とさせる整った農地に、少々ホームシックになってしまいました。

ミュンヘン空港が開港したのは1992年。空港建設にあたっては、空港の建設用地を巡って、地権者と国が大きくもめてしまった成田空港の二の舞にはならないと、十分な話し合いの元、空港の建設が進められたそうです。

ミュンヘン初上陸

着陸時刻は8:11。8時台とは思えない充実感とともミュンヘンへランディングした。

というわけで、ミュンヘン空港に2本ある滑走路のうち、北側のRWY08Lへ着陸。飛行時間は36分でした。ドイツの景色を楽しみ、機内食を食べ、座席周りの機能を堪能するという濃密なフライトになりました。

2003年に運用開始したミュンヘン空港ターミナル2へ移動中。世界各国のエアラインの尾翼が並ぶ。

誘導路へ出るとターミナルビルが見えてきました。ミュンヘン空港の旅客ターミナルは2つあり、スターアライアンス系の航空会社は、主にターミナル2を利用しています。

欧州域内を結ぶルフトハンザのA320シリーズとアジア、北米を結ぶエバー航空やシンガポール航空、ユナイテッド航空の飛行機が入り混じるように停まっているのは、いかにも海外らしい光景です。

隣りのスポットには、デュッセルドルフ行のA320。欧州域内の本来の主力機材はこちらを筆頭に、A321、A319が担っている。

定刻通り8:15に210番スポットへ到着。スターアライアンス系のアジアのエアラインに、国際線機材の787-9に挟まれたA320は、とても肩身が狭そうに見えました…

ルフトハンザの機材には都市の名前を冠したシップネームが与えられている。Wiesbadenは、ドイツ西部ヘッセン州の州都。

お世話になったCAさんにお礼を告げて、機内を後にします。

ボーディングブリッジはL2ドアのみの接続。国際線ばりのオペレーションではありますが、この787はこの後フランクフルトまでもと来た道を戻る、国内線の運用が続きます。

ミュンヘン空港の利用者数は、ドイツ第2位の規模を誇る約4,000万人。フランクフルトには及びませんが、ルフトハンザの第二のハブとして、ひっきりなしに離発着が行われています。

到着便が集中する時間帯はバゲージクレームも大混雑で、航空需要の高さがうかがえました。私は、相変わらず中国人らしき方に中国語で話しかけられましたが、残念ながら話すことが出来ないのでゴメンナサイして到着ロビーへ向かいました。

バス乗り場からは洗練されたデザインの管制塔がよく見えた。

この日は、空港外周の撮影スポットで撮影会の予定を組んでいたので、バスで現地へ向かいました。

初めて訪問する場所でバスに乗るのは、国内国外問わず心理的ハードルが高いのですが、何事も挑戦が大事、この精神で何とかキセルで捕まることなく無事に目的地へ到着したのでした。めでたしめでたし。

最後に

日本ではおなじみのルフトハンザ、でも日本には来ない787運航便、しかも区間はドイツ国内線。この何とも言えない絶妙なレア感が心に刺さり発券した今回のフライトは、想像以上に内容が充実していました。

航空券代はなかなかいいお値段がしましたが、7割くらいは元が取れたように思います(笑)

ルフトハンザの787は、今後順次機数が増えていくようで、もしかすると近い将来、日本路線への投入が始まるかもしれません。

現在は、羽田ーミュンヘン、関空ーミュンヘンでA350が投入されているので、どちらか片方でも別の機材をアサインしていただけると、マニア心としては嬉しい限りです。ルフトハンザの皆さん、よろしくお願いいたします。(787よりも747-400やA340が見たいというのは内緒です)

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