(※ 文章の一部は2019年内に作成済みのため、ご理解の上最後までお読みください)
2013年冬以来の仙台ーバンコク線就航
東北地方の中では最大の人口を誇る仙台市をバックに抱える仙台空港。東北地方の空港の中では最も早く、1990年より国際線が就航しています。ビジネス、観光の両面で需要が高い仙台空港発の国際線は、東北地方の空港の中でも最も就航地、就航便数が多くなっています。
かつては、シンガポール、ホノルルといった中距離国際線の就航もあった仙台空港ですが、ここ10年ほどは、東アジア、グアムといった近距離の国際線に路線展開がとどまっていました。しかし、2013年より、タイ国際航空によりバンコク線が就航しました。Airbus A330により週3便で運航開始となった当時の仙台ーバンコク線ですが、需要が伸び悩み、数か月で撤退となってしまいました。それから約6年が経過した、2019年10月、再び仙台の地にタイ国際航空の定期便が帰ってきました。私としては、使用機材があまり撮影したことがないBoeing 777-200ということもあり、就航を心待ちにしていました。
全国的にインバウンド需要の拡大を図っているのはご存知の通りですが、東北地方はその取り込みが他地域と比較するとやや劣っている統計が出ています。この東北地方全体へのアクセスが良い仙台空港へのバンコク線就航が、その現状をどう打破するのか、そちらの方も気になるところです。
例に見ない大混雑の仙台空港展望デッキ
「心待ちにしていた」ということで、就航初日は仙台空港へ向かうことにしていました。
10月30日は水曜日、思いっきり平日ですので正直そこまで混雑する予想はしていなかったのですが、ファンの行動力を舐めてはいけません。到着予定時刻の7:40に合わせ、その10分ほど前に空港へ向かうとデッキには黒山の人だかり。ファンだけでなく、取材に訪れている報道陣、関係者と思われるスーツ姿の方が目立ちました。そういえば、私自身、「就航初便」を目当てに空港を訪れる経験が初めてだったので、その実態を初めて目の当たりにしました。
混雑していたデッキではありますが、なんとかこのような写真を撮影することができる場所は抑えて、777の到着を待ちました。
仙台空港の運用時間は7:30から。それに合わせ、朝の初便は7:35に出発時刻が設定されています。これまではその初便から8時代前半までは到着便がなく、出発便のラッシュが続いていた仙台空港ですが、このバンコク線就航により、出発ラッシュの時間帯に到着便が挟まれる形になります。
ANAの中で少数派の737-700。就航する空港、路線が限られているためその姿を見ることができる空港が限られ、国内線機材の中では撮影にやや難がある機体ですが、仙台空港には2019年夏ダイヤから中部線、福岡線で各1往復が設定されています。中部空港からやってきてナイトステイ、翌朝仙台ー福岡間を1往復し、その後中部に戻るという運用が組まれています。
ANAの737は、737-800が39機という圧倒的な勢力を誇っているため、-800よりも-700の方がレアという空港が多数を占めますが、ここ仙台空港では便数だけ見ると737-800の方が少ないという状況。引退が近い737-500も1往復設定されており、ANAグループの737が全て就航する数少ない空港の1つです。
ついに姿を現す、特別塗装の777
福岡行きANA1276便、737-700が離陸して暫く、太平洋の方に機影を発見しました。遠くからでも大きく見えるその姿、777に間違いありません。勿論、フライトレーダーでモニターしていたので、間違いはないのですが…(笑)
就航初便やラストフライトといったイベント性のあるフライトでは、スポットインの際に消防車によるウォーターキャノンが実施されがちです。仙台空港でも過去にANAの747-400Dの引退記念イベントの際にウォーターキャノンを実施していることがありますので、今回も期待していると、エプロンには既に消防車がスタンバイ。着陸してくる777と一緒に撮影してみました。
因みに、消防車の脇をリージョナルジェットのE170が通過したので、その大きさを比較してみましょう。消防車の方が手前にあるため、正確に比較することはできませんが、それでも何となく大きいことが分かりますよね?ね?
7:55、仙台空港RWY27にバンコクからのTG626便、777-3D7(HS-TKF)が着陸しました。就航初便らしく、特別塗装の「Royal Barge」塗装ということで、、Royal Bargeってなんやねん。わからないことはすぐに調べた方が良いので、早速Google先生に尋ねてみました。
王室御座船というものだそうで、ざっくり説明するとお召列車の船版のようなものでしょうか。タイをはじめ、君主制を採用しているイギリスやスウェーデンでも存在するようです。この特別塗装に関しては、かつては747-400に施されていた頃もあるようで、大きな飛行機に大きく描くことで、その威厳も一層高まりそうな印象を受けます。
何がともあれ、基本的に定期便では、中型機の767以下の飛行機がメインとなっている仙台空港において、777-300の大きさはギャップが激しいです。散々見慣れた飛行機ではあるのですが、地方空港で見る777-300、羽田空港や成田空港で見るそれとはもう別物のように感じます。
早朝の時間帯ということもあり、やや霞んで見える奥羽山脈の山々をバックにエプロンへとやって来る777-300。
観光資源に恵まれた東北地方、温泉やスキー場といったベタな観光施設から、蔵王のお釜といった地域ならではの観光資源まで、奥羽山脈沿いには何でもそろいます。今回の初便で仙台入りされた方の中にも、それらの観光地へいらっしゃった方も多いはずです。
長々とタキシングを終えて、3番スポットに入ってくる777-300には、ウォーターキャノンでお出迎えです。初めて生で見たウォーターキャノンですが、非常に綺麗でしたね。朝から良いものを見させていただきました(笑)
様々見たり聞いたりしていると、このウォーターキャノン、こうして外から見る分には綺麗でいいのですが、機内から見ていると正直何がなんだかよく分からないというオチがあるようです。やはり、外から綺麗に眺めている方が良いのかもしれません。
というわけで、タイ国際航空によるバンコクー仙台線の再開初便は無事に到着となったのでした。
ここから主役が変わります
TG626便が到着すると、すぐに多くの方はデッキを後にしてしまいました。こんな朝っぱらから、わざわざ寒いデッキで張っているのも、全てはバンコク線初便の様子を眺めるためという方が殆どですので、当然と言えば当然です。
しかし、私を含む数名の方はそのままデッキへ居残り。他の方はどのように考えていらっしゃったかは分かりませんが、私の狙いは7:50発のANA732便、伊丹空港行きです。
この日のANA732便は、Boeing 767-381(JA8342)での運航でした。今や貴重となったERではない、ノーマルの-300。この時点で既にJA8669とJA8342の2機しか残っていないという希少価値抜群の飛行機でした。導入は1995年4月、この時点で機齢は24年でした。
プッシュバックが完了し、トーイングトラクターが外されたJA8342。
背後には、仙台市街と、ウォーターキャノン任務を終えた消防車の姿があります。仙台市街とのツーショットは、これからも何度も撮影することができそうですが、消防車を絡めるのは至難の業、この日を象徴するような1枚になったのではないかと思います。
一足先にIBEXのCRJ-700が離陸していきました。これまで写真を掲載した飛行機は、全て海側のRWY27から離陸していきましたが、このCRJは山側のRWY09からの離陸。
騒音抑制の観点から、早朝時間帯は、RWY09が優先滑走路となる仙台空港ですが、既に複数の飛行機がRWY27から離陸していますし、時刻も既に8:00を過ぎているため、そのままRWY27から上げてくれた方が、乗っている身としては有難いですよね。
そして伊丹空港へ向けて離陸していったANA732便、767-300を撮影してデッキを後にしました。滑走路の端に位置している仙台空港のターミナルビル、デッキの正面で高い高度まで上昇しながらギアアップする767の姿は圧巻です。777ならば一層迫力のある写真が撮影できること間違いなしです。
リハーサルもやってました
仙台空港から帰る前に、ターミナル1階のオープンスペースに立ち寄ると、仙台空港発初便に合わせたセレモニーのリハーサルを行っている場面に遭遇しました。
ステージの背景に用意されたボードには、「INAUGURAL FLIGHT TG627 SENDAI-BANGKOK」の文字が書かれています。
両就航地の有名な観光地の写真も両サイドに配置されており、左側にはタイの「ワット・アルン」。右側には仙台の「伊達政宗像」の姿がありました。冬ダイヤからの就航と言うことで、東北地方は紅葉シーズン。青葉城跡の紅葉もしっかり表現されており、季節感があって良かったですね。
というわけで、しっかり初便の空気を存分に感じ、仙台空港を後にしました。国内線を含め、これまで就航初便の場に立ち会うという経験がなかったため、その注目度の高さに圧倒されると同時に、仙台の方々にとっても大いに期待される、今回の仙台ーバンコク線の運航再開であることが分かりました。
最後に
約5年ぶりに運航再開となった仙台ーバンコク線の初便到着の様子をご紹介しました。初便から特別塗装機での運航と言うことで、タイ国際航空としても気合いを入れた路線再開であるように感じました。
就航当初は希望に満ち溢れ、前途洋々のスタートとなったこの路線も、現在は新型コロナウイルスの影響で、運休を余儀なくされています。運航元のタイ国際航空自体の経営問題もあり、今後どのような道を辿るのか目が離せません。当初777-200での運航がアナウンスされていたにも関わらず、ふたを開けてみると777-300の方が投入されているのではないか、という程、大きな需要があることは確かですので、海外への移動が再び活発に行われるようになった暁には、是非復活を果たしてほしいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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